コンニチハ、Metallicaのラーズ・ウルリッヒです。
And Justice For All(メタル・ジャスティス)のときに選択してきたことは、あの時点ではそれがベストだと思っていたからです。
ですから、今の私(Reloadリリース時)がAnd Justice For Allについてどう思っていようがどうでもいいことだと思います。(ソース不明、うろ覚えだから私の記憶違いの可能性あり)
Metallicaの旧作のリマスター盤がリリースされると書きましたが、And Justice For Allのベースの音が聞こえるようになるんじゃないかと期待している人は多いんじゃないっすか?
amazonのレビューなんか読んでいると結構多いです。
ベーシストのジェイソン・ニューステッドがMetallicaを脱退した後、あれは意図的にベースの音を下げられたと発言したことで話題となったこともあります。
まあ再生機のイコライザーで低音を大きく強調すれば現在の盤でもベースの音は聞こえますけどね。
でもベースの音ではなくギターのミュート音の様な気がしますが。
私の予想では大幅に良く聞こえるようになることはないと思います。
理由はいくつかあります。
今回はリマスターであってリミックスではないからです。
レコーディング→ミキシング→マスタリング
これが基本的な流れです。
ミキシング Wikipedia
マスタリング Wikipedia
マルチトラックレコーダーについて簡単に説明するのは難しいw
まあレコーディングではバンドとして同時に演奏している音を録音することが多いと思うんですが、録音は各楽器ごとに別々に行われていると考えると簡単です。
例えばギターの音とベースの音は別のトラックに録音しているってことです。
その録音した各楽器の音量を調節したり音を加工したりして、それらをくっつけてステレオ音源化するのはマスタリングの前に行われるミキシングという作業です。
それをやり直すのがリミックス。
だから今回のMetallicaはリミックスではなくリマスターですから、大幅にベースの音が大きくなることはないだろうと思います。
各楽器の音を調節するのはミキシングですから。
リミックスの例では、StoogesのRaw Powerは以前書いたんでNirvanaのIn Utero。
NirvanaのIn Uteroは売れる音楽を作らせろに書いたように、アルビニがミキシングしたものを数曲だけミキシングをやり直しています。
Heart-Shaped Box、All Apologiesの2曲です。
まあこのことでアルビニと諍いがあったりしたようですし、リミックスすることになった経緯も書籍によっては記述が異なり、イマイチ真相はわかりません。
本人たちの発言も、仮にレーベルからの圧力があったとしてもそれを正直には言えないだろうとw
(アルビニが手がけたIn Uteroを気に入らないスタッフは多くいたが、やり直せとは言われなかった、Nirvanaはレーベルから何曲か変えるように圧力をかけられているというアルビニの発言は被害妄想という話の後)
はじめて家に持って帰って(完成したIn Uteroを)聞いたときから、何かが間違ってるとは感じてた。
…
クリスとデイヴと3人で聞き直し、ポイントに迫ろうとしたんだ。
そして様々な議論の末達した結論は、ヴォーカルが聞こえない、ベースラインも聞こえない、歌詞が何を言っているのか理解できない、の主な3点だった。
そう、たったそれだけのことだったんだよ!
しかし、全ての基本となっているのは典型的なスティーヴ・アルビニ・サウンドで、それこそ俺たちが心のそこから求めてるものだった。
だから録り直しは非現実的な話で、結局実験的に気に入ってる曲を2曲だけリミックスすることに決めたんだ。
それ以上は手をつけないってね。
だってあまりいじくってると、アルバムの雰囲気を壊しかねないだろう? (カート・コバーン / クロスビート1993年10月号)
まあこんな感じでリミックスしてヴォーカルとベースの音を変えようとしたようです。
だから大幅に変えるとなるとリマスターではなくリミックスじゃないとダメなんじゃないかと。
しかし、昨日のSACDの記事を読んで下さった方の中には「お前は昨日Paranoidのうねるようなベースとか言ってたじゃねえかよ!」と思う方もいると思います。
まあそこがリミックスとリマスターの難しいところw
ミキシングを終えて各楽器の音をドッキングしてステレオ音源化した後の、マスタリングでも音質の調整はできます。
でもどれだけできるのか?
これはプロの技術者じゃないとわからないなあ。
各楽器の音をストレートに編集できないまでも、たぶん高音を強くしようとか低音を抑えようとかイコライザーをかけるんじゃないっすか?
デジタルデータの波形を編集すればできるかな?
カートのインタビューの続きです。
そしてマスタリングではいちかばちか賭けてみることにした。
正直言って、マスタリングって最後の最後にテープからレコードに移植する単純な作業だと思ってたんだ。
ところが実際にスタジオに行ってみたら、その段階でもヴォーカルを希望通りに取り除くことができるって言うじゃないか!
びっくりしたよ。
まるでリミックスと同じなんだね。
結局ベースに少し高音域を与え聞こえるようにして、ヴォーカルも上げてちょっと圧縮したら問題は無事解決したよ。
正しい選択をしたと確信している。
そして今はアルバムに100%満足している。
変えたい部分は何一つない。 (カート・コバーン / クロスビート1993年10月号)
カートはどうやらレコーディングとミックスを終えたら後は人まかせだったようですw
マスタリングのことを「まるでリミックス」と認識しています。
だからMetallicaのAnd Justice For Allに話を戻すと、リミックスではなくリマスターでもベースの音が良く聞こえるようになる可能性はあります。
ただ元の音があまりにも小さいんでミキシングからやり直さないとダメなんじゃないかと素人ながらに思います。
それに何より仮にベースの音が聞こえるようになったとしても、良い悪い好き嫌いは別として、製作当時にバンドが意図した音ではなくなります。
事故ではなく意図的にベースの音を抑えたわけですから。
そういう事情を今回のリマスターを担当した技術者が無視してベースの音を上げるのか?
それとも全体の音を綺麗にするぐらいで終わらせるのか?
私は後者だと思います。
あのAnd Justice For Allの低音が弱くて華奢な音は結構好きなんですよ。
機械的で無機質で冷たい感じがして。
ベースの音が良く聞こえるAnd Justice For Allも聞いてみたい気がしますけど、私の予想では大幅に変わることはないということで。
まあ私の予想は良くハズレますけどね。
こんなこと書いたらAnd Justice For Allのリマスター盤を買わなきゃダメかなw
コメント
どうも。
自分も同じく、過度な期待はしないようにしてま。
スラッシュメタルと言えば、デイブ・ムスティンが2004年に
メガデスの全アルバムにリミックス&リマスターを施して、その音の変貌ぶりにファンからの評判はすこぶる良かった記憶があります。
これと同じことを期待しちゃいけないと思ってます。
リマスターで初期の作品の音の「ぬけ」をよくしてくれれば満足かなと。
一番心配なのは本当に発売されるのかどうか?
My Bloody Valentineもリマスター出すとか言いながら一向に出ないので、同じことにならないか気になります。
Nirvanaの『IN U TERO』の話で、
オフィシャルなのかブートなのか分からないのですが、
『In Utero (Alternate Alibini Mix)』
というCDを持ってて、聞くとデモみたいな感じなんです。
この謎のCDの詳細をご存知でしょうか?
タイトル通り、手を加えられる前のアルビニミックスとやらなんでしょうか?
長々と書き込み失礼致しました。
まず知らない方のために補足説明します。
記事中に引用したカートのインタビューの後半部分はリミックスしたHeart-Shaped Box、All Apologiesの2曲以外の全ての曲に関してです。
つまり、リミックスしたのは2曲だけですが、その他の曲もミキシングの次のマスタリングの段階でリミックスと言っていいほど大幅に手を加えられていて、In Utero全曲でアルビニが制作したマスターテープとは違うサウンドになっているってことです。
カートは別のインタビューで「(Heart-Shaped Box、All Apologiesの2曲以外の)他の曲はマスタリングで改善できた。ヴォーカルを4~5dB上げることができた。」と発言しています。
ですからアルビニがミキシングを終えたマスターテープからは懸け離れた音になっています。
実際のところHeart-Shaped BoxとAll Apologiesのサウンドは他の曲と比べて大きな違和感はないですよね。
この辺の経緯は気が向いたらブログに書きます。
ここからはshatoruさんへのレスです。
In Utero (Alternate Alibini Mix)ですが、私はこれを聞いたことがありませんし、今日までその存在すら知りませんでしたw
でもオフィシャルでリリースされるはずは無いので間違いなくブートだとは思います。
だからアルビニが作ったマスターテープを聴いたことがある人にしか本物かどうかはわからないと思います。
ただ、アルビニのマスターテープをCD化するにはマスタリングを施す必要があります。
これは間違いなくブートですから仮に本物だったとしても、まともなマスタリングを施されているとは思えません。
ブート業者がカネをかけて、まともな技術者に依頼するなんて考えられないです。
曲によって音量が違う場合は完全ド素人がCD化したものだと思います。
ですから、仮に本物だったとしても粗悪でマスターテープから懸け離れた酷い音になっている可能性は非常に高いと思います。
まあそれでもアルビニのミックスの雰囲気は味わえるかもしれませんが。
デモみたいな感じなのはそれが原因かもしれませんし、アルビニのマスターテープが元々そんな感じだったのかもしれません。
だから、アルビニが作ったマスターテープを聴いたことがある人にしかわからないんで、真相は闇の中ですかねえ。
レスありがとうございますm(__)m
改めて聞いてみたら音というか録音状態がかなりお粗末な代物でした。
Hyottokoさんがご指摘された
「曲によって音量が違う場合は完全ド素人がCD化」
ですし
「粗悪でマスターテープから懸け離れた酷い音になっている」
これも当てはまると思います。
楽器の音量レベルが演奏中に上下されるし、音割れするわで聞きづらい。
多分、何かしらの理由で出回ってしまったブートなんでしょうね!
うーん、本物なんでしょうかねえ?
まあIn Uteroアルビニミックスがオフィシャルリリースされる日が来ればいいんですけどね。
2013年に20周年記念ということでIn Utero2枚組デラックスエディションをリリース!とか期待したいんですが無理かなあ。
聞きたいですね!デラックスエディション♪
ただ、大人の事情ってやつが複雑に絡んで実現は
難しそうですね。。。