昨日のThe Stooges / Raw Powerのサウンドの歴史の続きです。
簡単に書くと、現在主流のRaw Powerは1997年にリミックスされたもので、1973年当初のデヴィッド・ボウイがミックスしたRaw Powerとは全く違うものとなっています。
デヴィッド・ボウイによる1973年オリジナル・ヴァージョンを合法的に入手する方法は次の3つです。
その1.リミックスされる前の1997年以前のCDを中古で入手する
ただし、このCDはまともなマスタリングがなされていないようで、イギー本人も「Raw PowerがCD化された際、レコードと比べて音が悪くなったと苦情が多かったし、自分もそう思う。」と言っていますので、音質は悪いでしょう。
入手は難しいのかはわかりません。
さっき見た限りでは、ヤフオクとamazonのマーケットプレイスには出品されていません。
その2.2010年にリリースされたデヴィッド・ボウイ・ミックスのリマスター盤を入手する
これが最も現実的な方法です。
リマスターされているんで、1997年以前のCDよりも音質が向上しているかもしれません。
その3.デヴィッド・ボウイ・ミックスの古いレコードを中古で入手する
これが最もリリース当初の音を体験できる選択肢です。
私はこれ。
中古屋行ったら偶然売っていたんで。
別にプレミアが付いているわけではないので安く買えると思います。
そういうわけで、私がゲットした盤の紹介です。

CDとレコードです。

カタログ番号はPC32111です。
残念ながらオリジナル盤ではありません。
76年の再発盤なんですが、この再発盤は長年に渡り販売されていたようなので、何年にプレスされたのか全くわかりません。
マトリックスはG2F G1です。

裏ジャケに記載されているクレジットです。
Mixed by David Bowie and Iggy Popと記載されています。

ちなみに、私が持っているリミックスCDはSRCS 8320です。
帯にはリマスターと書かれていますが、マスタリングの前の作業であるミキシングからやり直していますから、リミックスと書いた方が正しいです。
まあリミックスすればリマスターすることにもなるんですが。
淫力魔人というわけのわからん邦題はついていませんw
で、肝心のデヴィッド・ボウイによる1973年オリジナルヴァージョンの音質ですが、まあイギーがリミックスに踏み切ったわけがわかりますよw
1997年ヴァージョンと比べるとスカスカでパワー不足なのはしょうがないにしても、バランスが悪すぎるかなあと。
Search and Destroyは低音がスカスカすぎます。
そうかと思ったらPenetrationでは低音が強すぎてギターの音が弱く、音がこもりすぎのような・・・
統一感がなくて聞いていると疲れてしまいます。
Your Pretty Face Is Going to Hellは結構良かったですけど。
私は基本的にオリジナル嗜好を気取っていますけどw、さすがにこれは厳しいかなあと。
どちらが良いか?
これは難しい問題です。
サウンド面では迫力、バランス共に1997年ヴァージョンの方が勝っています。
当時の予算と技術では表現できなかったThe Stoogesの勢いを表現したかったというイギーの意見にはうなずいてしまいます。
ただ、1973年に一度完成させたものをミックスからやり直して大幅に変えてしまうのはどうかと思うんですよ。
マスターテープを作り直したわけですから。
しかも1973年オリジナルヴァージョンを廃盤にしちゃてね。
時代性を捨ててしまったようでね。
でも1973年ヴァージョンは確かにショボいと思います。
だからどっちが良いかと言われても答えに困ってしまいます。
まあ、あれですよ、例えばMetallicaのAnd Justice For Allがリミックスされてベースの音が聞こえるようになったら喜ぶ人は多いでしょうが、当時のバンドの意向を捻じ曲げちゃってもいいのかな?と思う人も多いでしょう。
リミックスではなくリマスターでも、例えばNine Inch NailsのPretty Hate Machineなんかは大幅に音が変わっているようです。
レコードのリリースは遅いんで私はまだ聞いていません。
この場合はジャケットも新調し、旧ヴァージョンとは全くの別物だとアピールしているのでアリだとは思うんですが。
まあ旧ヴァージョンを廃盤にしちゃったらさすがにどうかと思いますけどね。
だからまあ、昔の音を大幅に変えてしまうのは正しいことなのかと考えてしまうわけです。
答えを出すのは難しいです。
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