オリジナルレコード盤とリマスターCD(Metallica / Master Of Puppetsを聞き比べ)

前回からの続きです。
まあ検索エンジンから来た人のために簡単に書きますと、アナログマスターテープをストレートにCD化したら、レコードと比べてCDの音が悪くなってしまいます。

イギー・ポップはRaw PowerがCD化された際、レコードよりも音が悪くなったという苦情が多かったと語っています。

それでデジタルリマスターという概念が生まれ、音質を向上させようとするようになりました。
本来ならばリマスターでは、バンドがリリース当時に意図した音であろうオリジナルレコード盤(書籍でいうところの初版)の音を目指すのが筋でしょうが、現在では全く違う音質となってしまうことも多いようです。

そういうわけで、リマスターは「当時の音」に近づいているのか、本当に高音質なのかと疑問に思うわけです。
オリジナルレコードとリマスターCDを聞き比べてやろうと。

今日はMetallicaのMaster Of Puppetsです。


ただこのアルバムがリリースされた86年は微妙な時期です。
CD普及期にあたるからです。
Wikiには、86年にCDの販売枚数がレコードを超えたと書いてありますが、まだまだレコードもそれなりのシェアを誇っていたようですし、海外では事情が違うでしょうしね。

実際のところ、Master Of PuppetsはCDとレコードが同時にリリースされています。
だからCDもレコードも「当時の音」と言えるわけです。

ただ、Master Of Puppetsはアナログレコーディングです。
CDにするにはデジタル化しなければなりません。

この時期にCDとして再発されたレコード時代のアルバムは評判が悪いこともあり、デジタルマスタリングの技術が確立されていないっぽいですから、新作だったMaster Of PuppetsもアナログマスターテープをストレートにCD化しただけという可能性があります。

アナログレコーディングされたアルバムはレコードの方が良い音するだろうってことで。
今日は長くなるので結論を先に書きます。
オリジナルレコード盤は凄い音がします。

超ヘヴィです。
特にギターの音が本当にヘヴィで、攻撃的でドス黒さ感じさせます。

これを聞いた後ではCDなんて聞いていられません。
シャーシャーしていてスカスカな音に思えてしまいます。

メタル系の人にはレコード特有の音に興味を持つ人が少なさそうですが、Metallicaの熱心なファンを自称するならオリジナル盤を聞くことを強くオススメします。

これが本物、86年当時の音だと断言できます。
しかも最高の音だと思います。

レコードは、マスターテープの劣化、技術者など製作環境が変われば音が変わってしまいます。
再発レコードでは音が代わってしまっている可能性もあります。
少なくともMetallica / Master Of PuppetsのMFSL盤で紹介したMFSL盤は全く違う音がします。

まあ私は中古で1000円ぐらいで買えたんで、自称Metallicaマニアは是非ともこれを目指してください。

Master Of Puppetsのオリジナル盤と2010年リマスターCD

オリジナル盤と最近リリースされた2010年リマスター盤です。
リマスター盤はオリジナル盤を再現しているのが良くわかります。
ただレコードを買い始めてから、こういう紙ジャケは幼稚なものに見えてしまいますw

Master Of Puppetsのオリジナル盤の盤面

カタログ番号はMFN 60で、残念ながらMusic For NationsからリリースされたUK盤です。
本当はMetallicaの本国であるUS盤の方がいいんですけどねえ…
バンドがOKを出した音ではないかもしれません。
長くなるので理由は省略。

Metallicaともなると凄くマニアックなサイトがあります。
metallipromoのMaster Of Puppetsのレコードのページ

これを見るとMFN 60にもいろいろ種類があります。
いろいろ検証した結果、私のはMusic For Nations England 1986, first label with inner sleeve, white detail down spine & insertsであることがわかりました。

理由はいくつかあるんですが、盤にMade In Englandとの記述がない、裏ジャケにElektraのロゴがない、Music For Nationsのロゴが白だからです。

Master Of Puppetsのオリジナル盤の裏ジャケ

これは限りなく真のオリジナルUK盤に近いです。
少なくとも86年秋までにはプレスされたものです。
中にこんなものが入っていたんで。

Master Of Puppetsのオリジナル盤に入っていたヨーロッパツアー日程

86年のヨーロッパツアーの日程です。
まあ9月27日のコペンハーゲンでのライヴが予定されていた日にクリフは他界してしまったわけですが…
まあこれが入っているってことは86年にプレスされたことは確実。

これに対するCDですが、Metallicaの2010年リマスター盤の研究と感想(3rdと4thのみ)に書いたように2010年リマスター盤は私が所持している旧盤と比べて、音圧は高くなっていますけど、高音が強いとか低音が出てるとか音質面ではほとんど変わらないと感じたので、旧盤と比較すればいいかなあと。

まあリマスター盤も比較に使用しましたけど、どっちもオリジナル盤には勝てなかったですよw

Master Of Puppets 25DP 5234

カタログ番号は25DP 5234で、88年の日本盤です。
cbs/sony japan 88, with obi strip & lyrics

Master Of PuppetsのCD一覧はmetallipromoのMaster Of PuppetsのCDのページで、ただし2009年から更新が止まっているようで2010年リマスター盤は掲載されていません。

metallipromoのトップページはこちらを。

このサイトではじめて知ったんですが、Master Of Puppetsは95年にデジタルリマスターされています。
それ以降のCDは95年リマスターが採用されていたんでしょうか?

聞き比べの結果は上述の通りで、旧規格のCDも2010年リマスターもオリジナル盤には勝てません。

現代ならこの音をデジタルで再現することはできると思うんですがね。
私がオリジナル盤をハードディスクに録音して何の処理もせずに再生しても、それなりにレコードの音を再現できていると思いますし。

熱心なMetallicaファンならオリジナル盤を目指せってことで終了です。

※この話は続きがあります。後にこの記事の内容は間違っていることが判明しました。
Metallica / Master Of Puppetsの各国オリジナル盤を聞き比べ

コメント

  1. meiz より:

    うわーー、欲しい。
    あちこち検索かけてみたけど見つからないなぁ。

  2. Hyottoko より:

    まあ気長にヤフオクなどでこまめに探せば見つかるんじゃないでしょうか。
    どうせなら、オリジナルUK盤ではなくオリジナルUS盤である9 60439-1を探した方がいいと思います。

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