前回書いた海外バンドの日本盤レコードの音は悪いといわれる理由の続きです。
日本盤はおろか、そのバンドの本国盤以外は音質的にダメだと考えられている理由を書きましたが、あくまで一般論です。
作品によって事情は異なるでしょうし、机上の空論で終わる可能性もあります。
それに「良い音質」というのは個人の好みとも言えるわけで、日本盤の音が好きという人もいるかもしれません。
結局のところ作品ごとに聞き比べて判断するしかないのですが、結構カネも手間もかかります。
まあ楽しいことでもありますけどね。
これから検証するMetallicaのMaster Of Puppetsの日本盤レコードはこの記事のために買いました。
まあジャケ不良帯なしということで500円ぐらいでしたが、このアルバムを買うのはこれで6種類目でした。
6枚ともマスタリング(カッティング)が違うんですが、同じアルバムを6種類も揃えたのには何だかなあと思うこともあります。
今回聞き比べたのはUSオリジナル盤(60439-1)、UKオリジナル盤(MFN 60)、日本オリジナル盤(26AP 3169)です。
ただマトリクスは一番最初のものなのか良くわかりません。
1じゃないのが一番最初だったりすることもあるんで。
詳細は以下のリンク先のDiscogsで。
Metallica - Master Of Puppets Elektra – 60439-1 (USオリジナル)
Metallica - Master Of Puppets Music For Nations – MFN 60 (UKオリジナル)
Metallica - Master Of Puppets CBS/Sony – 26AP 3169 (日本オリジナル)
ちなみにMaster Of Puppetsは現在全部で68種類紹介されています。
Metallica - Master Of Puppets (Discogsの一覧)
では検証開始です。
理論上は、もっとも音の良いマスターテープを使用し、カッティングに本人たちが立ち会ったと考えられるので最もバンドが望んだ音に近いと考えられるUSオリジナル盤が最高なはずですがどうでしょうか?
まずは画像を見てください。
クリックすると拡大します。
これはレコードを録音したwavの波形です。
録音条件は3枚とも同じです。
録音時の音量が同じなのに、3枚とも音量が違うということはマスタリング(カッティング)が違うということが良くわかります。
USオリジナル盤が圧倒的に音が大きいですね。
ちなみにUSオリジナル盤の時間が長いのは、録音時にA面からB面に切り替えるのに少々時間がかかったからです。
20分代後半辺りです。
それでは、高音が強いとか低音が強いとか音がクリアだとか音質面での違いはどうでしょうか?
音質面で完全に仲間ハズレなのはUKオリジナル盤であるMFN60です。
以前、オリジナルレコード盤とリマスターCD(Metallica / Master Of Puppetsを聞き比べ)で大絶賛したこともありますが、他国盤と聴き比べてみると異質な音がします。
おそらくカッティング時にドンシャリサウンドにしたのでしょう。
特に低音の強さが目立ちます。
US盤と日本盤はCDと同じような方向性です。
UK盤のようにCDとは全く違う音質ではないです。
US盤と日本盤をBatteryで聞き比べてみると、音の大きさが違うだけであって音質的にはあまり変わりないように思えます。
ただ、日本盤は一瞬だけ音が捩れるような箇所がありました。
これはレコードの盤面の状態が原因ではないような気が・・・。
日本盤のマスターテープが原因のように思ってしまいます。
ただそれ以外ではUS盤と日本盤の音質は大幅には変わらないんじゃないかと思います。
以上で検証は終了ですが、結局お前はどれが一番良いと思うんだ?と聞かれればUKオリジナル盤だと答えるでしょう。
恐らく、バンドの意思とは無関係なところで大幅に音をいじくり回したのだとは思いますが、初めて聞いたときはインパクトありましたし、最も迫力があると思います。
このように好みの問題でもありますからねえ。
ちなみにMater Of Puppetsの2010年リマスター盤(UICY-94664)については以前書いたように、Mater Of Puppets1988年の日本盤(25DP 5234)と比べて音は大きくなっていますが音質的には変わらないという印象を持っています。
海外バンドの各国盤レコード聞き比べは機会があれば書いていこうかと思います。
まあ同じアルバムを何種類も集めなければならないんで、あまり頻繁には書かないでしょう。
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