コンニチハ、ニール・ヤングです。
現代の音楽のサウンド・クォリティは音楽史上最悪の状態です。
ニール・ヤング、現代の音楽のサウンド・クォリティは音楽史上最悪の状態だと語る
ニール・ヤング、スティーヴ・ジョブスが生きていたらアナログ・サウンドの復活に取り組んでいたはずだと語る
今日は人気のない?音質の話です。
この話はニールが音圧至上主義に対して怒っていたと思ったのですが、実はMP3などの圧縮音源に対して怒っていたようです。
ニール・ヤングがアンチ音圧至上主義者なのかはよくわからないところですが、現時点でのノイズの多い最新作Le Noiseはともかく、Chrome Dreams IIやFork In The Roadを聞くと、ニールのような音楽性にとっては不利なご時勢だなあと思います。
個人的にはニールの意見には同意できる部分もありますが、100%同意はできません。
ABXテストをやってみればわかるでしょうが、192kbpsを超えるとWAVとの判別は難しくなります。
集中して聞けば判別できますが、BGM的に聞いていて判別できるものではないです。
96khz/24bitと44.1khz/16bitの判別も集中して聞かないと結構難しいです。
ただし、どちらの比較もピュアオーディオで大音量で聞けばすぐにわかるかもしれません。
我が家はDenonのミドルクラス機器で、ロックを主に聞くんでジャズやクラシックに関してはなんとも言えません。
今まで96khz/24bit、SACD、レコードなど様々なメディアの音質について書いてきましたが、結局のところ音質に最も影響が出るのはマスタリングでありミキシング、つまり製作者がどのような音を目指して作ったかということです。
後はレコード会社の意向とか。
NirvanaのNevermindのリマスターはCD以上の96khz/24bitも存在しますが、マスタリングが酷いんで従来のCDの方が良いです。
SHM-SACDに関しては、音を極力いじらないフラットトランスファーというコンセプトの元にマスタリングされたのが素晴らしいだけであって、SACDでなくCDでも同じような音質で出せるのでは?という疑いは晴れません。
色々と聞いてきて思ったのは、入れ物よりもマスタリングやミキシングの技術者の方が重要だということです。
海苔波形に関しては、一概に悪いとは思いません。
色んなリマスターを聞いてきましたが、多少0dbを振り切っても理論上は音が割れているんでしょうが、聴覚上は全くそんなことを感じない場合もありました。
でもやっぱり、小さい音でボリュームを上げて聞いた方が良いかなあ。
これは気のせいかもしれませんが、アンプのボリュームのノブをある程度回さないと音が痩せる気がします。
まあその辺のことは別のの機会に書くとして、音を大きくしただけでなくそこから更に音圧を上げようと尖ったドラムの音やキンキンした高音を強調するように加工してしまうと最悪です。
これが憎むべきLoudness War(音圧競争)でしょう。
単純に波形だけの問題ではない気がします。
私が勝手に悟ったのは、音圧とは音量だけでなく音質も関係してくるということです。
目立つ音質、音が大きいと感じる音質、目立つ音質ってありますから。
音圧って「聴覚上の音の大きさ」なんでしょ?
音が小さくても素晴らしい音質のものもありますし、リマスターで音量が上がったからといって音質面では変化がないのもあります。
ただし、リマスターで音量が上がると、音質も良くなったと騙されやすいです。
最も酷い音圧のアルバムは?と聞かれて真っ先に思い浮かぶのはMetallicaのDeath Magneticです。
曲そのものは結構良いんですが、このアルバムは音がデカすぎです。
奥行きのないサウンドは彼らの音楽性から考えて許容できないことはないんですが、音が割れている気がしますし、何よりやりすぎてノイズが発生しています。
マスタリングした本人も不本意だったようです。
テッド・ジェンセン Wikipedia
テレビゲーム用にマスタリングしたものの方が良いとはお笑いです。
「death magnetic マスタリング」で検索すれば色々と出てくるんですが、最も興味深いのは「MetallicaのDeath Magneticがこんな音質になってしまったのはiPodの責任でもある」という意見です。
メタリカの新譜『Death Magnetic』がうるさい原因の一端はiPodにもある
音圧至上主義の最大の目的は、他のバンドの曲よりも大きい音やキンキンサウンドで目立ってリスナーにインパクトを与えることです。
アマチュアの方々は音圧を上げるのに苦労しているようですが、なぜ音圧を上げたいかというと、音が小さいとまともに相手をしてもらえない、聞いてもらえないからではないでしょうか?
だから、最近のサウンドは「iPodで再生されたときにどれだけ他のバンドよりも目立つことができるか」ということしか重視していないとも言えるでしょう。
疲れない音とか厚いサウンドとか二の次です。
リスナーはこういうサウンドに慣れてしまっていますから、こういうサウンドじゃないと迫力不足の一言で済まされてしまいます。
話はニール・ヤングに戻りますが、ですから現在はニール・ヤングのような音楽性には不利だと思うわけです。
2000年代のアルバムは、それなりの音量はありますが、飛んでくるような尖ったドラムの音でもキンキンサウンドでもありません。
ただ、自分と対極にあるようなキンキンサウンドが主流でチヤホヤされている状況ですから、怒っているのも無理はないかなあ。
アナログサウンド、つまりレコードが最高っていうわけでもないです。
先ほども書いたように全てはケースバイケース、つまり作り手しだいです。
基本的にレコードは良い音がしますが、中にはCDの方が良いものもあります。
まあ人それぞれ好みの問題もありますし、レコードの音をサンプルで聞いてもらうには色々と制約があるんですが次回はその辺のことを書く予定。
最後にNeil Youngの2007年のアルバムChrome Dreams IIからOrdinary People。
18分にも及ぶ大作です。
結構良い音しますよ。
コメント
音圧至上主義ですか。「キンキンサウンド」っていわゆる「ドンシャリ」とは違うんですか?高音だけを強調しているという事なんでしょうか。
高音が強調されているだけでなく、音が飛んでくるような感覚とか、鮮明過ぎる音とでもいいましょうか。
キンキンしていて長時間聞いていると疲れるようなサウンドのことです。