オリジナル盤レコードとリマスターCD(序章)

何回か書いたリマスターに関する投稿があちこちからリンクを貼られ、予想外にも大ごとになってきたなあと思う今日この頃です。

今日も音質の話です。
興味のある方だけどうぞ。
音質の話は興味ある方は熱心に読んで下さるけど、興味のない人は素通りするって感じで、極端に分かれるようです。

まあリスナーはともかく、バンド自身が音質に関して何のこだわりもなくなったらおしまいだと思いますよw
例えば、レコーディングを終えた後、「僕らは音質にこだわりないんで後はよろしくお願いします。」とミックスダウンにも立ち会わずエンジニアに丸投げ、出来上がったサウンドは商業主義的海苔波形とかねw

iPod、MP3世代のミュージシャンたちはどうなるんですかねえ…


以前にも書きましたがリマスターという概念が生まれたのは、レコードしかなかった時代の作品がCD化されてからです。
CD化されたのはいいけど、レコードと比べて音が悪いぞ!ってことになったようです。

昔の作品から「当時の音」が失われる瞬間にも書きましたが、The StoogesのRaw PowerがCD化された際(1989年?)、イギー・ポップはレコードと比べて音が悪くなったとの苦情が多かったと言っています。

マスターテープをデジタル化し、ストレートにCD化してもレコードと同じ音は出ないようです。
それでデジタルリマスターという概念が注目され始めたようです。
相応の処置を施してレコードに近い音にしようと。

ただ、そういうリマスター盤って本当にレコードの音に近づいているのでしょうか?
近年ではリマスターという作業にリミックス的要素を期待して、レコード時代当時の音からかけ離れたサウンドになることもあるようです。

Beatlesのリマスター盤も、マニアの方々からはオリジナル盤のレコードの方が良いという意見が聞かれます。

レコードで最強なのはオリジナル盤だと良く言われます。
オリジナル盤っていうのは書籍でいうところの初版です。
リリース当初に製作された盤のことです。

なんでオリジナル盤が良いかっていうと、第一にマスターテープが最も劣化していない時期に製作されたからです。

テープを知らない世代にアナログレコーディングのマスターテープと言っても説明しにくいんですがw、まあGoogleでmaster tapeと画像検索すれば多少なりとも理解できるでしょうか?

音をハードディスクにデジタルデータとして録音するデジタルレコーディングと違って、「モノ」に録音しているわけですから、年月と共に劣化していきます。
紙とか絵画とかと同じです。
コピーを取るにしてもデジタルデータではないんで、コピー先はコピー元と比べて劣化します。

もう一つの理由はオリジナル盤こそが、当時にバンドが意図した音が詰め込まれているってことです。
オリジナル盤のカッティングという作業にはだいたいバンドが立ち会って、高音を強くとか低音を弱くとか、製作意図を伝えていたようです。

ですがレコードはエンジニアや製作環境によって音が変わってしまうようです。
今、当時のオリジナル盤と同じものを作るのは不可能なようです。

ですから、バンドが当時にOKを出したであろう音はオリジナル盤しか聞けないってことになります。

以前もリンクを貼りましたけど、【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第1回 「僕とオリ盤」にはオリジナル盤の魅力が書かれています。

「良い音」っていうのは、ハッキリ言って個人の嗜好によるんですがw、個人の価値観を除けば、一位はマスターテープでしょう。
古いマスターテープを馬鹿にしてはいけません。想像を絶するようなサウンドが入っているようです。
ただ、マスターテープはごく限られた人しか聞けません。

第二位はオリジナル盤でしょう。
レコードがマスターテープを最も忠実に再現できるのかは知る由もありませんが、オリジナル盤は当時のバンドがOKを出した音ですからねえ。

あなたの好き嫌いを除けば、これが高音質だと言えるでしょう。
オリジナル盤が「リリース当時にバンドが意図したの音」なわけです。
後に失敗だったと語ったとしてもね。

それで、リマスターCDとオリジナル盤はどっちがいい音がするのか?って思うわけです。オリジナル盤が最強だというのは私が実体験したわけじゃないんでね。

オリジナル盤は上記の理由からマニア受けするのでプレミアが付いているのが多くてなかなか買えないんですよ。
それこそBeatlesのオリジナル盤なんて凄い値段が付いていますからねえ。

そういう状況なんですが、プレミアが付いていないオリジナル盤を数枚入手したんでCDと聞き比べてみました。

年代的にCDが存在しなかったPatti SmithのEaster、年代的に微妙なMetallicaのMaster Of Puppetsです。
とりあえず次回はPatti SmithのEasterを取り上げる予定。

コメント

  1. VWQ より:

    こんばんは。
    音質の問題は、いろんな要素が関わっていて、とても奥が深いですね。
    少し前に、コーネリアスのFantasmaのリマスターをした人が何かの雑誌のインタビューで、「自分リマスター」について語っていました。細かい内容は覚えていませんが、概要としては、自分で好きなように音源をミキシングするのも楽しいよ、みたいなことを言っていたと思います。
    今はパソコンでそういった作業が比較的簡単にできるので、自分好みに音源をいじってみるのも楽しそうだと思いました。少し前のマイブラのアルバムの話題にもつながることですが・・・。
    ただ、それをやり始めると、本物志向で一段とオリジナル音源のほうが気になってくるかもしれません(苦笑

  2. Hyottoko より:

    自分でやるリマスターも面白いかもしれませんね。
    NINなんかはリミックス用ファイルを配布してコンテストやってましたし。

    まあリマスターしないまでも、再生機のイコライザーを使えばある程度音質は変えられますが、オリジナル嗜好なんで自宅では原音主義です。

    マイブラの再発盤レコードとCDをヘッドホンを使ってじっくり聞き比べましたが、かなり違いますよ。
    アナログレコーディングされた作品を高音質で聞くならレコードが一番だと思います。
    マイブラもアナログレコーディングでしょうしね。

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