NirvanaのIn Uteroのサウンド(20周年記念盤はリリースされるのか?)

コンニチハ、1993年のIn Uteroのサウンドについて語ったカート・コバーンです。

そしてマスタリングではいちかばちか賭けてみることにした。
正直言って、マスタリングって最後の最後にテープからレコードに移植する単純な作業だと思ってたんだ。

ところが実際にスタジオに行ってみたら、その段階でもヴォーカルを希望通りに取り除くことができるって言うじゃないか!
びっくりしたよ。
まるでリミックスと同じなんだね。

結局ベースに少し高音域を与え聞こえるようにして、ヴォーカルも上げてちょっと圧縮したら問題は無事解決したよ。
正しい選択をしたと確信している。
そして今はアルバムに100%満足している。
変えたい部分は何一つない。 (カート・コバーン / クロスビート1993年10月号)

昔はマスタリングは微調整という認識でしたが、この頃からマスタリングでミキシングに匹敵するほど音質を変えることができたんですねえ。

前回書いたMy Bloody Valentineの記事は主にTwitter上であちこちからリンクを貼られ、想像以上に大事になってしまったんで驚きました。
このブログは普段は1日500人ぐらい訪れますが、そのときは1日1000人以上も来ましたからねえ。
さすがにマイブラともなると注目度が違うのかなあと思いました。
ビビリはしましたけど、これで音圧主義も変わってくるかもしれないという希望が持てる出来事でした。

今日はNirvanaのIn Uteroについてです。


90年代の名作が続々とリリース20周年を迎えるようになり、それにともない20周年記念盤がリリースされていますが、今年はいよいよIn Uteroが20周年を迎えます。
それで、20周年記念に何かリリースするのかなあと思うわけです。

そうなると真っ先に思い浮かぶのがリマスター盤です。
俺は断固反対!

基本的に90年代のアルバムはリマスターする必要性は感じません。
オリジナルから逸脱したキンキンサウンドにするぐらいしかないですから。
特にNirvanaはNevermindのリマスターが最悪でしたしね。

インタビューでの発言なんて本人はテキトーに言っていたかもしれませんが、1993年当時は「今はアルバムに100%満足している。変えたい部分は何一つない。」とのことですから、音圧至上的改悪は必要ないと思います。

個人的には20周年記念盤を出すなら、その頃の4人編成のライヴ映像やら音源やらをつけて欲しいと思います。

In Uteroのサウンドの話をしますと、ご存知のとおりレコーディングはスティーブ・アルビニです。
あまり知られていないかもしれませんが、ミキシングもアルビニが行いました。

バンドは当初そのアルビニミックスを気に入っていたようです。
ですが完成から数週間後に「ヴォーカルが聞こえない、ベースラインも聞こえない、歌詞が何を言っているのか理解できない」、以上の3点が問題で、ミックスし直すべきだと思うようになりました。

ただ、この心変わりにはレコード会社の圧力が原因だという説もありました。
当然レコード会社のスタッフや重役も完成した音を聞くわけですが、アルビニサウンドが気に入らない人もいたようです。

カート本人は「気に入らない人もいたけど、やり直せ!と言われたことはない」と言っていましたが、まあ真実はよくわからないところです。

それはともかく話を戻すと、ミキシングを決意したもののアルビニとの契約条項のひとつに「録音した作品に変更が加えられる場合はアルビニ自身が作業をする」というのがあったようです。

アルビニ自身は、In Uteroはこれ以上いじる必要はないというスタンスでしたが、結局はバンドが望むならばということで彼以外の人間がリミックスをするということを承諾したようです。

そいういうわけでスコット・リットがリミックスをすることになったわけですが、リミックスされたのはHeart-Shaped BoxとAll Apologiesの2曲だけです。

それで冒頭のカートの発言に戻るわけですが、他の曲はマスタリングの段階でリミックスに匹敵するほど大幅に音質が変えられています。

アルビニ自身はリミックスやマスタリングで大幅に音質を変えるのはバンドの権利だという意見に賛同しながらも、やはり気に入らなかったようです。

いじったりする前の方がいいサウンドだって気がしたよ。
ニルヴァーナは完成品を送ってくれたときにすぐに聴いたけど、あのマスタリングの具合にはがっかりしたよね。(ロッキングオン2002年5月号)

前置きが長くなりましたが、そういうわけでIn Uteroには幻の真のアルビニヴァージョン(マスタリング時に大幅に音質が変えられる前のヴァージョン)が存在します。
ブートでは出回っているようですが、これをオフィシャル作品として聞きたい人は多いんですかねえ?

私はブートでも聞いたことがありません。
興味を持った時期もありましたが、レコード会社からの圧力説もあったにせよバンドが気に入らなかったとされるヴァージョンですからリリースする必要はないと思います。
だから20周年記念盤に付けて欲しいとは思いません

ただ、カート・コバーンは日記に次のようなアイデアを記しています。
真のアルビニヴァージョンをレコードとカセットテープでのみリリースし、音を大幅に変えたヴァージョン(つまり現行ヴァージョン)をCDで「ラジオ向けの妥協ヴァージョン、Nirvanaもお気に入り」というステッカーを貼ってリリースするというもの。

そうすればメジャーにもインディにも納得してもらえると考えたのでしょう。
メジャーとインディの狭間で苦しんでいたことを端的に示す記述だと思います。

まあ日記に書いてあったことですが、これを実現するなら反対はしませんよ。

後はリマスターでもオリジナルUSレコード盤の音に近づけるのなら良いと思います。
CDとオリジナルUSレコードとは少し音が違うんですよねえ。

オリジナルUS盤については次回にでも。

20周年記念盤がリリースされるとすれば9月頃だと思います。
改悪だけはやめて欲しいですね。
何もやらないっていうのもありかなあ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました