ジョン・フルシアンテのThe Empyreanはアンチ音圧至上主義アルバム

コンニチハ、レッチリを脱退したジョン・フルシアンテです。

僕のソロアルバムThe Empyreanは普段よりもボリュームを上げて聞いて下さい。

続きを読むをクリックする人が少ない音圧の話も今日を最後にひと区切りです。
まあ理解し難いかもしれませんが、以前も書きましたけど、昔のアルバムって最近のアルバムよりも音が小さいと感じたことってありません?

それは最近のアルバムの音の大きさが限界地点まで高められ、アルバムによってはその大きな音が絶えず出るように制作されているからです。

そのように制作される理由は主にビジネス的なものです。
ラジオなどでかかったときに聞き手にインパクトを与えるとか。

でも、そのような音圧至上主義マスタリングはダイナミックレンジ(最も大きな音と最も小さな音の差)が失われ、音の強弱の幅がなくなり不自然になる、バンドの意図した音ではなくなるとの弊害も指摘されています。

そういう話です。

そういう音圧至上主義に逆らった例としてベン・フォールズを例に出しましたけど、私はそのアルバムを持っていません。

それで、最近リリースされたアルバムの中で音が小さいと感じたアルバムってあったかなあ?と考えたところ、ジョン・フルシアンテのThe Empyreanのことを思い出しました。


このアルバムは確か音が小さいと感じた記憶があります。

それで棚の中からCDを引っ張り出してライナーノーツを読みながら聞いていたんですが、ライナーにジョンのアンチ音圧至上主義声明文があるじゃないっすか!

演奏の強弱の幅がとても広かったので、それを生かすようにしました。
したがって、このCDの全体の音量は、業界の標準よりも低いです。

最近のCDは、全ての音にコンプレッションがかかっているので、全体的にフラット(強弱のない平らな)サウンドになっており、平均音量から変動しないようになっているのです。

だから音量を上げて聞いてくれよ!
-ジョン(The Empyreanの日本盤ライナーノーツより)

つまり、音圧を上げるために小さな音を大きな音に加工しなかったし、大きめの音を更に大きくすることもしなかったと。

音楽は聞くもので見るものではない気がするので今日は波形を掲載しませんけど、確かにThe Empyreanはダイナミックレンジ(最も大きな音と最も小さな音の差)を生かしていると思います。
曲単位だけでなくアルバム単位でです。

だからCDを再生して1曲目のBefore The Beginningの音が小さいなあとボリュームを上げると、3曲目のUnreachable辺りから結構な音量になりますよw

それが嫌だという人も多いと思います。
1曲目に音量を合わせていたら途中から爆音になるわけですから、音量を下げてしまう人もいるでしょう。

特に電車内でIpodで聞いている場合なんかは音漏れも気になりますし、耳に悪いと思って音量を下げたくもなるでしょう。

強弱の幅が狭いサウンドが主流なのでビジネス的にも不利です。
でも敢えてそういうことはしなかったと。
ジョン・フルシアンテはやっぱりオルタナティヴですよねw

こういう強弱、メリハリをつけることも表現手法の一部ですしね。
1曲の中で強弱をつけることも重要だと思いますが、アルバム全体として強弱をつけることも重要だと思います。
まあ最近は曲単位で聞く人が多そうですけどね…。

NINのCloserは以前紹介したように強弱の幅が狭い海苔波形で、The Downward Spiralというアルバム全体でも突っ走るような曲が多いんで音圧が高めなんですが、Piggyやアルバムタイトル曲は音圧が低いですし、Warm Placeなんかはボリュームを上げたくなるぐらい極端に音が小さいです。
Hurtは強くメリハリが付いています。

まあ音楽性も関わってくる話ですけどね。
極端な話、単刀直入ハードコアな曲しかないアルバムで強弱をつけろ!なんて無理な話で。
海苔波形を避けたとしてもせいぜい昆布波形がいいところなわけで。

海苔波形も、前回紹介したMetallicaのリマスター盤のように、海苔波形化したにもかかわらず音割れもしていないし従来盤と比べて強弱の幅が狭まったとは感じられないのもあるわけで、全否定はできないです。

最終的には製作者がどういうサウンドにしたいのか?、聞き手はどういうサウンドが好きなのか?って話になるわけで。

でも、強弱を意識してアルバム全体をじっくり聞くのも面白いですよ。
途中でボリュームを上げたり下げたりしたくなるかもしれませんが、製作者の意図を考えると我慢すべきかなw

ジョン・フルシアンテのThe Empyreanは音楽性も素晴らしいのでオススメです。

以上で音圧の話はひと区切り。
次回はSoundgardenのTelephantasmの写真を掲載する予定です。

コメント

  1. 田吾作 より:

    ゆらゆら帝国の「わかってほしい」や「でっかいクエスチョンマーク」なんかアルバムの1曲目からいきなりでかい音で初めて聴いたときはビックリしましたねえ。そして中盤の「つきぬけた」や「午前3時のファズギター」でまた音がでかくなってビックリしたり。

    自分は未聴なのですがBeastie Boysの3rdはオモチャのマイクで録音したそうで、どんな音なのか気になります。

    単純にバンドの音へのこだわりなのか、聴いた人をビックリさせたり混乱させたりするのが目的なのか。そういうところをあれこれ想像するのも面白いですよね。とりあえず僕もThe Empyrean聴いてみようと思います!

  2. yuriyurayuri より:

    だから音量を上げて聞いてくれよ!だけ覚えていて、あとはピンときてませんでした。すみません…。(iPodだしね)でも初めのほうの音が小さいのはそういうわけなんですね。
    音が大きくクリアであればライブ感が増しそうで良い、ぐらいにしか思ってなかったのでちょっと気にして聴いてみます。

  3. Hyottoko より:

    >田吾作さん

    Beastie BoysのCheck Your Headはどんなアルバムだったか忘れてしまいましたがw、レーベルの指図なんて気にせずに好き放題やっている人は沢山いると思いますよ。
    ジョンのThe Empyreanのその他のこだわりは、CDマスタリング以外は全てアナログでやったそうです。

    音圧を上げればリスナーに与える第一印象としてはインパクトあるんでしょうけど、音圧に限らずサウンドの奥の深さも追求して欲しいですね。

  4. Hyottoko より:

    >yuriyurayuriさん

    日本盤のライナーにストレートなジョンの声明文が載っていたので、ひょっとして見抜かれたのかと一瞬自意識過剰になってしまいましたw

    1曲目以外にも結構音の大きさに起伏がありますよ。
    これだけ音量の差があってもアルバムとしての統一感が失われていないのが凄いと思います。

    ただヘッドホンで大音量で聞いていると途中で耳が痛くなったりするんで、同じ音量で聞き続けるのが難しいアルバムでもあります。
    正直言いますと、音量を上げたり下げたりしてしまうこともありますw

    iTunesのサウンドチェック機能を使用していないなら、iPodでもじっくり聞けば音の強弱が味わえると思いますよ。

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