My Bloody Valentine / m b vの感想と音圧

実を言いますと、今回のMy Bloody Valentineの単独来日公演はチケットが取れなくて見れません。
発売日に即刻売切れてしまったのでチケットを取れませんでした。
フェスで再び日本に来るようなので、そのときは見れるかなあ?

今日は突然リリースされたMy Bloody Valentineの新作m b vについてです。

私はレコードとCDのセットを買いました。
ダウンロードはもちろん96khz/24bitのwavです。
これさえあれば44.1khz/16bitのwavもMP3も作れますしね。


個人的にはこのアルバムは結構気に入っています。
前半は過去の焼き直しって言ってしまえばそれまでなんですが、マイブラらしくて良い曲が並んでいます。
まあ実際に過去に作っていた曲のようですけど。
マイブラともなると、バンド名=ジャンル名みたいなもんですからね。

後半は最近の曲のようで、ドラムンベースが使われている曲です。
別におかしなことになっていませんし、上手く取り入れていると思います。
最後のwonder 2のカオスは見事だと思います。

このmbvは音が小さいだの低音が篭り過ぎだの言われることがあるようです。
人によってはマスタリングされていないとか言う人もいるようです。
マスタリング=低いボリュームでも大きな音が出るキンキンサウンドにする作業、だと思っているのでしょうか?

更にはミキシングされていないとか言い出す人もいるようです。
マスタリングには極力音をいじらないというフラットトランスファーという概念もあるんですが、各トラック一つにまとめてをステレオ音源化しているわけですからミキシングしていないなんてありえない。

音質の調整をマトモにしていないってことでしょうか?
聞けばかなりバランスを考えて作られている感じですし、そんなことありえないと思いますけどね。

「12年12月21日に新作マスタリング終了!」という公式発言も残っているじゃあないですか。
On 21-12-12 we finished mastering the new album!
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズ、新作は2、3日のうちにリリースすると語る

更に追記しますと、オフィシャルサイトのmbv詳細ページにこう書いてあるじゃあないですか。

This album has been recorded as an analogue album. It was recorded on 2 inch 24 track analogue tape and mixed onto half inch analogue tape and mastered with no digital processing involved.

レコーディングとミキシングはアナログテープ、マスタリングで複雑なデジタル処理はしていませんと。
だからこのサウンドは意図的なもの。

私はこのアルバムの音量は適正だと思います。
聞いた感想はともかく、むしろ波形を見ると少し大きいかなあと思います。

1曲目のshe found nowの波形です。
0dBまでかなり余裕があります。

My Bloody Valentine she found nowの波形

次はアルバム中最も音が小さいis this and yesです。

My Bloody Valentine is this and yesの波形

この2曲だけだともっと音量を上げてもよさそうですけど、次は最も音が大きいwonder 2です。

My Bloody Valentine wonder 2の波形

この曲の音の大きさは現代的です。
徐々に音が大きくなっていき、曲の最後は0dBを超えています。

何が言いたいのかといいますと、こういうアルバム中の曲ごとの音量の強弱も表現手法だということです。
最後の曲は大音量にしたいから他の曲の音量は抑え気味っていう意図もあるわけで。
まあ曲単位でしか聴かない人には縁のない話ですけどね。
アルバムというフォーマットはもっと大事にされても良いと思いますが。

で、最後の曲は聞いていても音が割れているとは感じないんですが0dBを超えているイマドキの音の大きさなんで小さくても良いかなあと。
だから、このアルバムの音の大きさは適正もしくはもう少し小さくても良いってことです。

某ミュージシャンがマスタリングされていないようだと言って、自分で波形上の音を大きくしている画像をアップしていましたけど、そんなことしたらアルバム全曲の音量バランスは崩れます。

音圧というのは聴覚上の音の大きさです。
単にこのようなデータ上の音の大きさを表した波形だけではありません。
同じレベルでも聴いた感じ大きく聞こえる音、小さく聞こえる音があります。
特に高音は聴覚上良く聞こえます。

is this and yesは波形ほど小さな音とは思えません。
まあシンセサイザーの高音がメインの曲だからそう聞こえるのでしょう。

mbvは高音をキンキンにしてドラムが飛んでくるような現代的な音圧至上主義的iPod向けサウンドではありません。
むしろ完全に対極にあるサウンドです。
「新作」だからそういうサウンドを期待した人も多かったのでしょうか?

そういう現代的サウンドに浸りきっている人からすると、ドラムの音は小さいし低音が篭りすぎているって感じるのでしょう。

それが本人の意図ですし、大音量で聞くと本当によい音するんですが。

金正日のように言えば「資本主義に毒された者」ならぬ「音圧主義に毒された者」でしょうか。
去年のジャック・ホワイトが音の小さいアルバムで1位を獲得したこともあって音圧至上主義の終焉を感じましたが、やっぱり革命のように突然変わりはしないんだなあと思います。

現代的なキンキンサウンドが当たり前だと思っているから、その対極にあるmbvのようなサウンドはマスタリングされていないとかミキシングされていないとか、そういう意見が出てくるのではないでしょうか?

まあ好みの問題もありますけどね。
でもキンキンサウンドしか受け入れないっていうのもどうかと思いますが。

mbvはジャック・ホワイト以上に現在の主流のサウンドを完全に無視してやりたい放題作ったって感じです。
よくここまでやったなあと。

現在はいろんな音楽性のバンドがあふれかえっていますが、いろんなサウンドがあふれかえっているわけではありません。
みんな似たようなキンキンサウンドですから。
mbvのようなサウンドも認められるようになるといいんですけどねえ。

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