レコードの弱点は内周歪み

前回の記事から随分と間が開いてしまいました。
今日はレコードの弱点のひとつである内周歪みについてです。

実は今まで紹介してきたレコードの中にも内周歪みが酷いものもあります。

Blankey Jet City Last DanceのLPのA面

これはBlankey Jet CityのLast DanceのLPのA面です。
A面に限ったことではないんですが、このアルバムは歪みが目立つLPのひとつです。

盤の外側から針が溝をトレースして再生されていくわけです。
写真の数字のとおり最も外側の1曲目から内側の5曲目まで。

内周歪みというのは、簡単言うと盤の内側に収録されている曲ほど針が溝を正確にトレースできずに音が歪んでしまう現象です。

この場合は5曲目、「ガソリンの揺れかた」という曲なんですけど、再生すると歪みが目立ちます。

この歪みに対する対策は作り手側と聞き手側ともにあることはあるんですが、限界があります。
だからまあ諦めも肝心ではあります・・・
それゆえレコード最大の弱点といえるかもしれません。

レコードを製作する側としては、盤の内側が歪んでしまうのだから、内側まで使用しないという手段があります。

Blankey Jet City Last DanceのLPのA面のアップ

こうしてアップにすればわかりやすいと思いますけど、Last Danceは本当にギリギリまで音溝を掘っているのがわかります。
無音部分は赤い円の内側からアルバム名が印刷されたシールまで。
とても狭いです。

BJCのLast Danceは2枚組×裏と表の2面ということで、全部で4面ありますけど、全部こんな感じにギリギリまで音溝が掘られています。
最も内側の曲は4面とも全て歪みが目立ちます。
特にC面の「赤いタンバリン」が最も酷いです。

ジョン・フルシアンテのThe EmpyreanのLPのB面

今度は極端な例を挙げます。
ジョン・フルシアンテのThe EmpyreanのLPのB面です。

ジョン・フルシアンテのThe EmpyreanのLPのB面のアップ

ご覧のとおり無音の部分が広いです。
これは12インチシングルかと思ってしまうほど、内側まで音溝が掘られていません。

とまあ、極端なほど対照的な2枚をご覧いただきましたけど、内側まで掘らないとなるとと、全体的に音質を落とす、アルバムの収録時間(収録曲)を減らす、盤の枚数を増やすとかそういう妥協をするしかないです。

盤の枚数を増やすのは妥協というより予算的な話ですが、金が絡んでくる以上は簡単に増やすわけにはいかないかもしれません。

その他の対策としては、この内周歪みを考慮して音溝を掘るということでしょうか。
歪んだ音を音溝に彫って、再生時にお互いの歪みを打ち消すみたいな。

だから内周歪みは盤によって違います。
内側まで音溝で使用していても歪みが気にならないものあります。

詳しくはコロムビアLPファクトリーコラム第18回:SSSレコーディングとマスター・ソニック、4チャンネル・レコードを読んで下さい。

カッティングエンジニアの腕の見せどころといえるかもしれません。

再生する側の対策としては、プレーヤーの調整なんですけど、カートリッジを変更できないプレーヤーを使用している場合は何の対策もできません。
もう諦めるしかないです。

DENON DP-1300mkiiの説明書

私が使用しているDENON DP-1300mkiiの説明書です。
図のように54mmの位置に取り付ければ所定のオーバーハングが得られる、つまり最も音が歪まないよと。

図を見ると簡単ですけど、手作業なんで精密に54mmで取り付けるのは難しいです。
正確に取り付けても歪むものは歪みます。

レコードの達人ともなると、自分で適切な数値を計算したり、歪まないポイントを研究したりしているみたいです。

あとは歪みにくいカートリッジを選ぶとかですかねえ。
私が所持しているのだと、DL-103よりM97XEの方が内周歪みが目立ちます。

そんなこんなで内周歪みについて書きましたけど、スマパンのメロンコリーのリマスターLPは、この内周歪みでとても評判が悪いです。
次回はオリジナルLPと比較しながらその辺のことを。

コメント

タイトルとURLをコピーしました