L7 16曲(You Tube)
L7 (エルセブン)の概要
SUB POPからアルバムを1枚リリースしているもののシアトルとはあまり関係がないのでシアトル以外のオルタナ・バンドで掲載することにした。
女性版グランジとして取り上げられるのはコートニー・ラヴのHoleばかりだが、個人的にはL7の方が良いバンドだと思う。
1985年にLAで結成され、当初はドラマーのみ男性だったがアルコール中毒が原因で解雇され、最終的にディー・プラカスが加入してバンドメンバー4人全員が女性というガールズバンドとなった。
音楽性はこの時代によく存在したメタルとパンクの融合といってしまえばそれまでだが、その種のサウンドでは先駆者の一つとして挙げられるバンドであるし、何よりギターリフのセンスは抜群によい。
当時としては存在自体が反主流的だったガールズバンドという形態や従来の女性ミュージシャンから一線を画す活動内容からライオットガールの枠組みで語られたこともあった。
あまり細かいことは気にしてなかったけど鋭い視線はずっと感じてた。
女のバンドは色メガネで見られる。説明が難しいけど性を強調しすぎるとダメだった。
たとえばキュートの度合いが過ぎるとミュージシャンとして扱ってもらえなくなる。
性別はどうでもいい。私たちはミュージシャンよ。
女であることについて聞かれるのにはうんざり。
ただロックを聞いて判断して欲しかった。
L7 スージー・ガードナー / プリテンド・ウィ・アー・デッドから引用
レコード会社がああいう売り方(女性アーティストを音楽よりも外見的な美しさやセクシーさをアピールして売り出すこと)するのも仕方ないかもしれない。
でも、ああすることによって自分たちを安く売っていると思う。音楽ってもっと深いでしょ。
自分たちを単なるピンナップガールみたいな売り方をしてる。
イメージを重要視して、音楽は二の次になっている。
別に彼女たちを否定するわけじゃないのよ。私たちはそういう売り方をしないというだけ。
オーディエンスと同じ格好をして、単にロックしたいだけなの。
L7 ジェニファー・フィンチ / 1stアルバムL7の日本盤ライナーノーツから引用
あんなバンドは初めてだった。
とにかく生々しかったわ。
美しく魅せるためのメイクもしない。性を売りにしていない。
だからこそL7は多くの人の心を動かしたんだと思う。
The Donnas アリソン・ロバートソン / プリテンド・ウィ・アー・デッドから引用
バンドは1991年から2001年まで女性の中絶する権利を擁護する目的でRock for Choice(リンク先はWikipedia)というベネフィットコンサートを主宰し、それにはBikini KillはもちろんNirvana、Pearl Jam、Fugazi、Rage Against The Machine、Radiohead、Bad Religionなど有名なバンドが数多く出演した。
バンドの経歴としては、1988年にBad Religionのレーベルであるエピタフから1stアルバムをリリースし、1990年にはサブ・ポップから2ndアルバムをリリース。
その後はメジャー傘下のスラッシュというレーベルに所属した。
ロラパールーザやレディングといった大規模なフェスティバルへの出演や、有名バンドとのツアー、来日公演を数回行うなどそれなりの成功をおさめたが、アルバムを何十万枚も売るほどではなかった。
その裏で長いツアーに疲弊したり、ドラッグ問題を抱えてしまったりしたこともあった。
また、やはり「女性だから」という理由だけで軽視されたり妨害されたりしたこともあるようだ。
逆にそれを逆手にとった有名なエピソードとして、1992年のレディングフェスティバルでの出来事がある。
ヤジを飛ばしてくるオーディエンスに対して、ドニータ・スパークスが血だらけの使用中のタンポンを投げつけた。
1996年にオリジナルメンバーの一人であるジェニファー・フィンチが脱退。
それを乗り越え5thアルバムをリリースするもメジャーレーベルとの契約を切られてしまった。
1999年にインディからアルバムをリリースしたが、2001年にはスージー・ガードナーの脱退に合わせて無期限の活動休止を宣言した。
それから13年後の2014年、再結成することを発表し2015年からコンサート活動を再開した。
2017年にはバンドのドキュメンタリー映画の発表に合わせて新曲をリリースした。
2019年5月にはニューアルバムをリリース。
関連リンク
L7 (エルセブン)のアルバム紹介
おすすめアルバム
メジャーレーベルが期待するほど売れなかったが、中身は傑作。
一般的に名盤とされているメジャーデビュー作。
SUB POPからリリースされたインディ時代の名盤。