Nirvana (ニルヴァーナ)
最終更新日 2020年10月1日
Nirvana (ニルヴァーナ)の概要
このバンドに関しては他のサイトでも多く語られているので説明は不要だろう。
このサイトでもグランジ・オルタナティヴの歴史の至る所で取り上げている。
Smells Like Teen Spiritsに関してはBikini Killを参考にして欲しい。
カート・コバーンの女性ミュージシャンに敬意を払う姿勢はRiot Grrlに影響されたことが大きかったのだろう。
Nirvana 25曲
NirvanaのNevermind以降、メジャーが見向きもしなかった主流から外れたインディ・バンドが注目されるようになり、多くのバンドがNirvanaの開いた扉から羽ばたいて行き、それは今でも続いているんだということは理解して欲しい。
Nirvanaの音楽が好きになれない人も多いが、アンダーグラウンドなバンドに大衆の目を向けさせたという彼らの功績は認めざるをえないだろう。
結成は87年頃。
カートとクリスは不動だが、デイヴ・グロールが加入するまでドラマーの人事は安定しなかった。
Melvinsのデイル・クローヴァーが助っ人的に加入していた時期があり、Melvinsと友達だったことでジャック・エンディーノの元でレコーディングする機会を得る。
そのテープがSUB POPの手に渡り、アルバムをリリースすることとなった。
その後、デイヴ・グロールが加入し、メジャーレーベルからNevermindをリリース、後は説明不要だろう。
(ユー・ノウ・ユー・アー・ライトの)PVって終始カートの映像しかなくて、ちょっとがっかりしたんだよね。
ニルヴァーナと仕事したことある人ならだれでも言うと思うよ、「ニルヴァーナは正真正銘のトリオだった」って。
確かにカートの歌声、彼の発するオーラは特別だったと思うけど、あの3人が集まったときに生まれるエネルギーは別格だったよ。それがあのPVには全く反映されてなくて・・・
クリスとかもさ、凄いヤツなのに。
だけどニルヴァーナの魅力って、やっぱりカートにあるんだろうね。
何しろ一つの世代を完全に虜にしてしまったんだから、カートの歌声は。
(Sonic Youth / サーストン・ムーア ロッキングオン2003年5月号から引用)
結果的に最終アルバムとなった93年リリースのIn Uteroだが、この時期になるとNirvanaの音楽性に限界を感じていたようだ。
94年1月のインタヴューでカートは次のように語っている。
静から動というこの公式には多少うんざり。
今から10年後もNirvanaの曲を演奏しているとは考えられない。
すべてが同じことの繰り返しになりつつあるところまできているんだ。
同じメンツで同じ仕事を繰り返していては限界がある。少なくともレコードをもう一枚出すことは決まっている。
浮遊感のある、アコースティックな、REMの最新アルバムのような感じになる。
これを読む限りでは、もしカートが自殺していなくてもノイジーなNirvanaは打ち止めだっただろう。
アンプラグドで見せたような路線に進んでいったのだろうか。
まあ、すべては仮定の話だが。
カート死後、Nirvanaに関する事項は、クリス、デイヴ、カートの妻だったコートニー・ラヴの間で協定が結ばれたとされる。
例えばNirvanaの「新作」をリリースするには3人とも同意する必要があるようだ。
カート生前から兆候があったようだが、「クリスとデイヴ vs コートニー」という対立構造が存在すると指摘されている。
コートニーはインタビューなどでクリスやデイヴを批判。
逆に、デイヴが新たに結成したFoo Fightersというバンドのとある曲はコートニー批判だといわれたこともある。
この対立構造が目立ったのはYou Know You’re Rightという未発表曲について。
ボックスセットに収録して発表することを主張したクリスとデイヴだったが、コートニーはベストアルバムに収録する形で発表することを主張。
Nirvanaに関することについてはNirvana LLC(有限責任会社)という会社が管理しているようだが、コートニーはこのLLCの協約がカート、クリス、デイヴを対等に扱っている部分が気に入らなかったようだ。
つまり、Nirvana=カート・コバーンであり、残りの2人は演奏するだけの単なるサイドマンだったのに、多数決で圧倒的有利な2人で物事を決めようとするのはおかしい、Nirvanaの遺産はカートの相続人であるコートニーが所有すべきだと主張。
また、クリスとデイヴにNirvana LLCの協約に強制的に組み込まれたとも主張している。
(コートニーがデイヴとクリスをサイドマンと扱っていることについて)
それは音楽を聞いて判断してもらうしかないね。
ワシントン州タコマの彼の家の裏の小屋で、クリスとカートと俺と一緒にいたんじゃない限り、わからないだろうね。
(デイヴ・グロール ロッキングオン2002年11月号から引用)
コートニーはNirvana LLCの解体や、クリスとデイヴが主張していたボックスセットのリリースの差し止め請求などの裁判を起こし、コートニーが反対したので3者間協定に反するとのことでボックスセットのリリースは差し止められた。
コートニーの主張を読む限り、You Know You’re Rightをボックスセットに収録するよりも、1枚組みのベストアルバムに収録した方が売れると思っていたようだ。
逆にクリスとデイヴ側はコートニー側に対して対抗訴訟を起こした。
ミュージシャン、俳優としてのキャリアが細って行く現実に直面し、自らのキャリア・ゴールを実現するためにLLCと生存するNirvanaのメンバーを訴えている。
ラヴはニルヴァーナの音楽カタログの支配権を奪い取り、今後の映画出演や個人的なレコーディング契約や、その他自己中心的な無数のチャンスと引き換えにしようとしている。 (逆訴訟の訴状 ロッキングオン2002年11月号から引用)
下記のbarksのニュースも参考にして欲しい。
ホールのコートニー・ラヴがニルヴァーナの管理をめぐって訴訟を起こす
元ニルヴァーナのメンバー、コートニー・ラヴと全面対決
Kurt Cobainの家族がニルヴァーナのGrohlとNovoselicに反応
コートニー・ラヴの弁護士がニルヴァーナの訴訟について語る
今後、このバンドは2つの点じゃなく、3つの点で人々の記憶に残ることになる。
第一に音楽、第二にカートを失ったこと、それに加えて今度はこの馬鹿げた争い。
なんか、汚された気分だよ。
純粋で美しかったものが、バンドがそもそも逆らっていたもの全てに汚されてしまったようで。
(デイヴ・グロール ロッキングオン2002年11月号から引用)
この件に関しては「天国のカートはこの争いをどう思っているのだろうか。」という御尤もな意見も多数聞かれた。
個人的にはコートニーの方が分が悪いと思うが・・・・・・
両者の合意は不可能と思われていたが、最終的にはコートニーの主張どおりYou Know You’re Rightはベストアルバムに収録されることとなった。
またWith the Lights Outと題されたレアな曲を詰め込んだボックスセットもリリースされた。
2009年にはファン待望の、92年のレディング・フェスティヴァルでのライヴパフォーマンスが収録されたDVDとCDがリリースされた。
2018年のRock and Roll Hall of Fame(ロックの殿堂)授賞式の際、ジョーン・ジェット、キム・ゴードン、Stヴィンセント、ロードという各世代を代表する女性ミュージシャンが交代でヴォーカルを務めるという形で再結成を果たし数曲が披露された。
その後は、「とあるイベントで数曲のみゲストヴォーカルをむかえて再結成」というケースが数回あった。
ニルヴァーナ再結集ライブを行ったデイヴ・グロールとクリス・ノヴォセリック、「普通のライブと同じように扱えるものではない」と想いを語る(ロッキングオン)
大規模な形での再結成はありえないと考えてよいだろう。
関連リンク
Nirvana (ニルヴァーナ)のアルバム紹介
1.スタジオアルバム
Bleach
SUB POPから89年にリリースされた1st。
ジャック・エンディーノの元で低予算で製作された。
インディならではの素朴でスカスカなサウンドならこれ。
BlewやSchoolといった名曲も収録されているし、Negative Creep以降の中盤から後半のドロドロした雰囲気は圧巻。
そんな中でAbout A Girlだけは異常にキャッチーで浮いている。
Toolのメンバーのように、人によってはこれを最高傑作に上がることもあるが極少数だし、内容はこの後のアルバムの方が充実しているので後回しにしても良いと思う。
初心者にはオススメしない。
この頃のカートはMelvinsのフォロワーだと思われることを恐れていたこともあったとか。
2009年にリリース20周年としてジャック・エンディーノがリマスターを施したデラックスエディションがリリースされた。
それには初期のライヴ音源も収録されている。
Bleachのデラックスエディション(輸入盤)
Bleachのデラックスエディション(日本盤)
Bleachの日本盤(2009年、SHM-CD)
Bleachの日本盤(2003年)
Nevermind
91年にリリースされた時代を変えたアルバム。
詳しくはNirvanaの功績を見て欲しい。
2009年現在もインディに注目が集まっているが、そういう状況はこのアルバムの恩恵といえるだろう。
アンセムとなったSmells Like Teen Spiritsを筆頭に、収録曲全てが名曲と言っていいのではないか。
初心者はこれから聞くべき。
カートがBikini Killのトビ・ヴェイルにフラれたことが色濃く反映されたアルバムだといわれる。
わかりやすい例はDrain Youだ。
サウンドは当時のメインストリームの音楽と比べると異質なものだったが、Nirvana至上最もポップな仕上がりになっているし、アングラ的な要素も少ない。
それがこのアルバムの長所でもあり短所でもある。
プロデューサーのブッチ・ヴィグとエンジニアのアンディ・ウォレスのミックスがポップなサウンドになった元凶だと言う声もあるが、完成当初はメンバーも気に入っていた。
Nevermindの日本盤(2009年)
Nevermindの日本盤(2008年、SHM-CD)
Nevermindの日本盤(2007年、紙ジャケ)
Nevermindの日本盤(2006年)
In Utero
93年の最終作。
Nirvanaを聞き込んだ人はこれを最高傑作に挙げることが多い。
ポップな曲が減り大衆性は後退したが、奥が深くなった。
スティーヴ・アルビニの録音技術によって空虚なサウンドに仕上がっており、とても痛々しい。
歌詞も更に陰鬱になり、心の痛みがリアルに伝わってくる。
Heart Shaped Box、Rape Me、Pennyroyal Teaが比較的ポップで聞きやすい。
最終的にNirvanaの意向でHeart-Shaped BoxとAll Apologiesの2曲だけリミックスされた。
だがラジオ向けにリミックスしたとの推測もあり、アルビニ、レーベル、バンドの間でゴタゴタがあった。
アルビニが仕上げたヴァージョンをI Hate Myself And I Want To DieというタイトルでLPとカセット飲みとして販売し、後にラジオ向けにリミックスしたものをVerse Chorus Verseというタイトルで「ラジオ向けの妥協ヴァージョン」というステッカーをつけて販売するというアイデアもあった。
IncesticideとIn Uteroのセット(2009年、輸入盤)
In Uteroの日本盤(2009年)
In Uteroの日本盤(2008年、SHM-CD)
In Uteroの日本盤(2007年、紙ジャケ)
In Uteroの日本盤(2006年)
2.コンピレーション、ベストアルバム
Incesticide
SUB POP時代も含めたレアな曲を集めたもの。
リリースは92年。
レアトラック集とはいえども、Dive、Sliver、Been A Son、Aneulismは是非とも押さえておきたい名曲だし、The Vaselinesのカバーも見事。
Nevermindが気に入ったら絶対に聞いてみるべきだ。
Bleachの後半のようなドロドロとした曲も収録されているが、全体的にNirvana至上最も楽しそうな雰囲気に包まれているのが特徴。
IncesticideとIn Uteroのセット(2009年、輸入盤)
Incesticideの日本盤(2008年、SHM-CD)
Incesticideの日本盤(2007年、紙ジャケ)
Incesticideの日本盤(2006年)
Nirvana(ニルヴァーナ・ベスト)
上述したように、複雑な経緯でリリースされた2002年のベストアルバム。
Nirvanaはオリジナルアルバム自体が少ないのでベストアルバムはいかがなものかとも思うが、選曲的に初心者にオススメ。
従来のファンにとっては未発表の名曲として知られていたYou Know You’re Rightが最大の目玉であった。
後はIncesticideに収録されているものとは別ヴァージョンのSliverとBeen a Son。
そしてPennyroyal Teaのリミックスヴァージョン。
In Uteroではアルビニがミックスしたものを、更にスコット・リットが再ミックスした曲はHeart-Shaped BoxとAll Apologiesしか収録されていないが、Pennyroyal Teaのリミックスも存在し、このベストがリリースされるまではシングルでしか聞くことができなかった。
カートのインタビューによると、Pennyroyal Teaはリミックスヴァージョンでリリースすべきだったとのこと。
ニルヴァーナ・ベストの日本盤(2009年)
ニルヴァーナ・ベストの日本盤(2008年、SHM-CD)
ニルヴァーナ・ベストの日本盤(2007年)
ニルヴァーナ・ベストの日本盤(2006年)
With the Lights Out(ニルヴァーナ・ボックス)
2004年にリリースされた、アウトテイクやでもヴァージョンなどのレアな曲を詰め込んだ4枚組みボックスセット。
内容からして熱心なファン以外は購入する必要はない。
良く知らない、もしくは全く知らないバンドのデモなどを聞いても退屈だと思うし、価格的に初心者が手を出すべきではない。
DVDにはリハーサルの映像が収録されている。
Sliver: The Best of the Box(スリヴァー~ベスト・オブ・ニルヴァーナ+3)
ベストという言葉に騙されてはいけない。
上のWith the Lights Outから選ばれた曲が収録されており、Nirvana(ニルヴァーナ・ベスト)のように一般的なベストアルバムではない。
With the Lights Outに収録されていない未発表音源が3曲収録されているが、多くのファンは卑劣なNirvanaビジネスが始まったとイライラしたことだろう。
Nirvanaの完全制覇を目指している人以外は全く購入する必要はない。
スリヴァー~ベスト・オブ・ニルヴァーナ+3の日本盤(2008年)
スリヴァー~ベスト・オブ・ニルヴァーナ+3の日本盤(2005年)
3.ライヴアルバム
MTV Unplugged in New York
93年のMTVアンプラグド・ライヴでの演奏を収録したもの。
リリースは94年11月で、カートはすでにこの世を去っていた。
アンプラグドは言葉どおりプラグ無しでアコギで演奏される。
ノイズがない分、曲のメロディが際立っていてデイヴのコーラスも見事。
ただし、デヴィッド・ボウイの”世界に魂を売った男”のカヴァーではディストーションを使用している。
その他Meat Puppetsなどのカヴァーも披露、クリスがアコーディオンを弾いている曲もある。
アコースティックなNirvanaならこの一枚、と言うよりこれしかない。
純粋なオリジナル・フル・アルバムではないが新境地を開拓した1枚といっても良いのではないか。
「この先」が永遠に聞けないのは本当に残念だ。
MTV Unplugged in New Yorkの日本盤(2009年、DVD付、SHM-CD、紙ジャケ)
MTV Unplugged in New Yorkの日本盤(2009年)
MTV Unplugged in New Yorkの日本盤(2008年)
MTV Unplugged in New Yorkの日本盤(2007年、紙ジャケ)
MTV Unplugged in New Yorkの日本盤(2006年)
Unplugged in New YorkのDVD(輸入盤)
Unplugged in New YorkのDVD(2009年、日本盤)
From the Muddy Banks of the Wishkah
96年にリリースされたライヴアルバム。
2009年のLive at Readingと違い、特定のライヴを通して収録されているものではない。
89年から94年までの様々なライヴからクリスとデイヴが選曲した音源が収録されている。
Nirvanaが如何に優れたライヴ・バンドであったかが分かる。
疾走感溢れるSmells Like Teen Spiritを聞けば、爆発的なエネルギーを感じることができるだろう。
個人的にはこれが最高傑作。
でも収録曲が少ないのが残念。
2009年にはライヴやテレビ番組出演時、インタビューなどの映像が収録されたLive! Tonight! Sold Out!!という映像作品とセットになったものがリリースされたのでオススメしたい。
Live! Tonight! Sold Out!!を単品で購入する場合、字幕がないと会話の内容が理解できないので日本国内盤をオススメする。
From the Muddy Banks of the Wishkahの日本盤(2009年、Live! Tonight! Sold Out!!のDVD付き、紙ジャケ)
From Muddy Banks of Wishkahの日本盤(2007年、紙ジャケ)
From Muddy Banks of Wishkahの日本盤(2006年)
From the Muddy Banks of the Wishkahの日本盤(2005年)
From the Muddy Banks of the Wishkahの一覧
Live! Tonight! Sold Out!!のDVD(2009年、日本盤)
Live at Reading
Nirvanaのライヴの中でベストパフォーマンスの一つとの評価があった92年のレディング・フェスティヴァル出演時の演奏を収録したもの。
ブートレグは多く出回っていたようだが2009年にようやくオフィシャル盤がリリースされた。
当時はカートのドラッグ乱用の噂や「ヴァニティ・フェア」誌のカートとコートニーのゴシップ記事などにより、バンドは崩壊寸前だと思われていた。
Nirvanaは本当に出演するのか?とか解散説まで飛び出していた。
そのような噂を逆手にとって、カートは車椅子に乗って登場するパフォーマンスを敢行した。
CDとDVDがセットになったものや、CD単品、DVD単品など色々リリースされているのでお好みに合わせて購入して欲しい。
個人的には、DVDの5.1chマルチチャンネルはMTVアンプラグド同様にサウンドが素晴らしいのでオススメしたい。
Live at Readingの日本盤(DVD付き、紙ジャケ、SHM-CD)
Live at Readingの輸入盤(CDのみ)
Live at Readingの日本盤(CDのみ)
Live at Readingの輸入盤(DVDのみ)
Live at Readingの日本盤(DVDのみ)