Alice In Chains (アリス・イン・チェインズ)

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Alice In Chains (アリス・イン・チェインズ)のアルバム紹介

Alice In Chains (アリス・イン・チェインズ)の概要

87年にシアトルで結成。
シアトルのバンドとしては珍しくインディからリリース経験なしにメジャー・デビューを飾った。

アリス・イン・チェインズは「バービーちゃんメタル」をやってた。
ラット(80年代のメタルバンド)そっくりだったよ。
心から楽しそうだったけどね。
ヤング・メタル・バンドというのが、当時の彼らの真の姿だったんだ。
(Soundgarden / クリス・コーネル ロッキングオン1994年5月号から引用)

そんな彼らも90年に1stアルバムFaceliftをリリースする頃には個性を確立。
メタルのようだが今までのメタルとは何かが違う。
当初はこんなことが囁かれていたようだが、ジェリー・カントレルのヘヴィでメロディアスなギターとレイン・ステイリーの暗黒的な歌声と詞によるところが大きいといわれる。
ミドル・スローテンポの曲が多く、うねる様なダークサウンドはそれまでのメタルとは確実に異なるものだった。

Alice In Chains 24曲

レニー・クラビッツなんか聞いていると敬虔な気持ちになり、平和だの愛だのについての曲を書いてみたいって思ったりもするんだ。
でも、いざ書き始めるといつの間にかピース&ラヴから「このホテルの窓から、ひと思いに飛び降りたら・・・」って自殺の歌になってる。

どんなに明るい曲を書こうと取り掛かっても、俺にはどうやったってそいつをハッピーなまま最後まで持っていくことができないのさ。
それがどうしてなのかわかんないけど。
(Alice In Chains / レイン・ステイリー CROSSBEAT1993年12月号から引用)

Faceliftがメタル系バンドに気に入られ、その手のバンドとツアーをしたことによりメタル・ファンにアプローチした結果、最終的に150万枚売り上げシアトル勢としては初の大成功を収めることとなった。
その後、グランジ・ブームが勃発するとシアトル出身ということでグランジ・オルタナとしても語られることになった。

しかし、メタルを前面に出した音楽性、上述のような成功経緯、メタル系バンドとのカラミなどにより単なるメタルとして受けとめられた感もある。
日本のジャーナリストの中には「グランジの皮をかぶったメタル」と評価した人もいた。

徐々にレインがドラッグにハマっていくとともにバンドの活動も失速していった。
95年の3rdアルバムはギリギリのところで製作されたようだが、レインが嫌がる長期のツアーは行われず単発的な活動をするにとどまっていき、解散説まで噂されるようになってしまった。

レインはああだけど、俺たちはヤツと一緒にこの世界に関わっていて、そこで一緒にやることを選んだ。
だから一緒に(ツアーを)やらないと選択したことになるんだよ。
それにバンドは終わっちゃいない。
まだ分かち合うものはあるんだからね。
(Alice In Chains / ジェリー・カントレル MUSIC LIFE1997年1月号から引用)

このように語っていたものの、レインは復活することができず、ジェリーがソロ・アルバムを発表するなど他のメンバーはバンド外活動に力を入れるようになっていった。
もはやバンドは存在しないも同然で、レコード会社との契約消化のためかどうかは分からないが、ベストアルバムやライヴアルバムが続けてリリースされた。

2002年4月、ドラッグによりレインが死亡。
オリジナルメンバーでの復活は永遠に実現不可能になってしまった。

2005年、ジェリー・カントレル、ショーン・キニー、マイク・アイネズの3人はシアトルで開催されたスマトラ沖地震の津波の被害に関するチャリティイベントに参加。
Alice In Chainsの再結成だと話題になった。
Toolのメイナード・ジェームス・キーナンなどの数人のゲストが交代でヴォーカルを担当するというものだった。

この出来事が本格的な再結成に繋がっていったようで、2006年にはUSアンダーグラウンドで活動してきたウィリアム・デュヴァールが正式にヴォーカリストとして加入し、各地でツアーを行った。

2009年にはアルバムBlack Gives Way to Blueをリリース。
好評を得ているようだが、当然のことながらレイン時代のファンからは評価は様々だった。

ウィリアムが加入してから2020年までにアルバムを3作リリースしており、現メンバーでの活動が板についてきた感がある。

関連リンク


Alice In Chains (アリス・イン・チェインズ)のアルバム紹介

1.スタジオアルバムとEP

Facelift

メタル界隈から高評価を受けシアトル・バンドとして初の大成功を記録した1stアルバム。
リリースはNirvanaのNevermindより1年以上前の90年8月。

日本盤の帯に書いてある宣伝文句は「境界線のない世界へようこそ」だ。
従来のメタルのようで何かが違う、歌詞はパーティーライフについてではなく自信の闇についてという、今までのメインストリームには存在しなかったものが今作にはある。

後のAlice In Chainsと比べるとアップテンポな曲が多く、最もメタルを連想させるアルバムかもしれない。
序盤は名曲のオンパレード、後半は多少失速するが、なかなかの傑作だ。

今思うとアルバムのオープニングを飾るWe Die Youngが現実になってしまったのがとても残念だ。

この時期のライヴ映像としてLive Facelift(VHS、輸入盤)がリリースされた。
フォーマットはVHSのみ。

FaceliftとAlice in Chains(3rdアルバム)のセット(2007年、輸入盤)
FaceliftとDirtとJar of Fliesのセット(2008年、輸入盤)

Faceliftの日本盤
Live Facelift(VHS、日本盤)


Sap

92年にリリースされた5曲入りのEP。
EPといえども、後のJar Of Filesを考慮に入れれば無視できない。

曲はアコースティックギターをメインにしたもので、Alice In Chainsらしいヘヴィな面影はないが、曲は1級品。
特に冒頭のBrotherとGot Me Wrongがオススメだ。

Right TurnはSoundgardenのクリス・コーネルとMudhoneyのマーク・アームが参加していてAlice Mudgardenとクレジットされている。

Jar Of FilesとUnpluggedが気に入ったなら聞いてみるべきだ。

SapとJar of Fliesのセット(2008年、輸入盤)

Sapの日本盤


Dirt

最高傑作と称されることが多い92年リリースの2ndアルバム。
1stでは比較的アップテンポな曲が印象的だったが、今作ではスロー・ミドルテンポの曲が目立つ。

レインのカリスマ的な声と情念的なメロディライン、演奏隊が生み出すドロドロとしたヘヴィネスは、破壊的でもあり美しく儚いものでもある。

楽譜上ではAlice In Chainsよりも低音を出すバンドは多く存在するが、このDirtに匹敵するほどヘヴィだと感じるバンドは、Dirtリリースから15年以上経過した今も数少ない。
それほどAlice In Chainsというバンドが生み出すグルーヴが強烈で危険なものだったのだろう。

歌詞は、Rain When I Dieの「俺が死ぬ時は雨が降りそうだ」、Sickmanの「幸運なことに俺はいつか死ぬ」、Roosterの「俺を殺す方法はまだ見つからないのか?」、Dirtの「もう生きていたくない」など、自殺を連想させるものが多い。

自殺願望だけでなく、恨み、自己嫌悪、ジャンキー宣言、埋められない孤独感、疎外感、人生の虚しさなどばかりで、良く言われる「陰鬱」という面ではNirvanaのカート・コバーン以上に病んでいるとしか思えない歌詞ばかりだ。

このアルバムリリース後、べーシストのマイク・スターは多忙なバンド活動が嫌になり脱退。
マイク・アイネズが後任として加入した。

FaceliftとDirtとJar of Fliesのセット(2008年、輸入盤)

Dirtの日本盤


Jar Of Files (アナザー・サイド・オブ・アリス)

1994年にリリースされた7曲入りのEP。
邦題通りにヘヴィなAlice In Chainsとは違った一面、アコースティックギターを基とした曲が収録されている。

Sapで垣間見せていた才能が開花し、ヘヴィな音を出すだけのバンドではないことを知らしめた。

歌詞は暗いがサウンドは陰鬱一辺倒ではなく、I Stay Awayではクラシックな楽器を取り入れていたりと、曲によっては穏やかで非常に美しい。

DirtのRoosterやDown In a Holeが好きな人は絶対に聞いてみるべきだと思うし、良い曲ばかりが収録されているのでヘヴィで暗いのが嫌いな人にも聞いて欲しいEPだ。

このような路線のAlice In Chainsをもっと聞きたかったのだが・・・。

FaceliftとDirtとJar of Fliesのセット(2008年、輸入盤)
SapとJar of Fliesのセット(2008年、輸入盤)

Jar of Flies(アナザー・サイド・オブ・アリス)の日本盤


Alice In Chains

95年にリリースされた3rdアルバム。
Dirtツアー終了後、疲労と成功によるストレスからだろうか、レインの薬物問題が深刻化してしまう。
そのような状況下、解散の噂も飛び交う中で製作された。

日本では、3本足の犬のジャケットや3本足の男の写真などが問題となった。
バンド側はジャケットを変更することを拒んだため、日本盤のリリースは見送らることとなった。
最終的にはバンド側が妥協し、ジャケットの変更を受け入れることで96年に日本盤がリリースされた。

覚えやすいメロディはHeaven Beside Youぐらいしかない。
その代わり奥が深いアルバムとなっているので何回も聞けば凄さが理解できるだろう。
レインのヴォーカルの元気の無さを指摘する声もあるが、このアルバムを最高傑作に挙げる人も多いと思う。

ヴォーカルにエフェクトをかけた曲が目立ち、テンポは更にスローになった。
サウンドはDirtほどドロドロしておらず乾いたような印象を受ける。
Alice In ChainsらしいがDirtとは違ったヘヴィネスがある。

歌詞は以前と同様に陰鬱。
当時は、最後のOver Nowという曲の歌詞から、解散してしまうのかと不安になったファンもいた。

FaceliftとAlice in Chains(3rdアルバム)のセット(2007年、輸入盤)

Alice In Chains(3rdアルバム)の日本盤


Black Gives Way to Blue

2009年にリリースされた、新ヴォーカリストであるウィリアム・デュヴァールと製作したアルバム。

1曲目のAll Secrets Knownの歌詞はレイン時代を振り切って、再び前進しようという意思の表れだろうか?

サウンドはジェリーのソロアルバムの延長上にあるといって良いと思う。
アルバムごとに多少の違いはあるが、ジェリーが製作した曲はバンド名義ソロ名義だろうとジェリーらしさに溢れている。

ジェリーのリードヴォーカルが目立つが、ウィリアム・デュヴァールも良いヴォーカリストだ。
収録曲の質は非常に高く、このアルバムは概ね高評価を得ている。
今できることを全力で取り組んだ結果だと思うし、これ以上のアルバムを望むのは酷だ。

だが、やはり「物足りなさ」を感じてしまう人もいるし、再結成Alice In Chainsを認めたがらないファンも少なからず存在する。

個人的には複雑な思いが交錯しているが、バンド名を変えるのがベストな選択だと思う。

Black Gives Way to Blueの日本盤


2.コンピレーション、ベストアルバム

Nothing Safe: Best of the Box

1999年6月にリリースされたベストアルバム。

アルバムを全て持っている人の目を引いたのは新曲Get Born AgainとWe Die Youngのデモぐらい。

収録曲はNothing Safe: Best of the BoxのWikipediaで確認して欲しい。

Nothing SafeとMusic Bank(DVD)のセット(2008年、輸入盤)

Nothing Safe: Best of the Boxの日本盤


Music Bank

1999年10月にリリースされた3枚組。

中身はGet Born AgainとDiedの2曲の新曲、初期のデモ、各アルバムから選択された曲など、全48曲が収録されている。

初心者向けというよりも、どちらかというと熱心なファン向けか。

収録曲はMusic BankのWikipediaで確認を。

またプロモーションビデオやドキュメンタリーを収録した同タイトルの映像作品も別途リリースされている。

Music BankのDVD(輸入盤)
Music BankのDVD(日本盤)

Nothing SafeとMusic Bank(DVD)のセット(2008年、輸入盤)


Greatest Hits

レインが存命していた2001年にリリースされたベストアルバム。

2枚目のベストアルバムということで、当時は契約消化作品なのかと思ったし、Alice In Chainsの終焉を感じた記憶がある。
だが勿論ファンとしてレインの復活を待ち望んでいたが・・・。

これといってレアな曲は収録されておらず、純粋なヒットソング集。
収録曲はGreatest HitsのWikipediaで。

Greatest Hitsの日本盤


The Essential Alice in Chains

2006年リリースの2枚組のベストアルバム。

ヒット曲に加えGet Born AgainとDiedのレアトラック、その他リミックス曲が収録されている。

個人的にはベストアルバムは好きじゃないが、このベストアルバムが最も入門には適していると思う。

収録曲はThe Essential Alice in ChainsのWikipediaで確認して欲しい。

The Essential Alice in Chainsの日本盤


3.ライヴアルバム

Unplugged

1996年にMTVのアンプラグドに出演したときの演奏を収めたもの。
“プラグなし”という文字通り、ヘヴィなギターは一切無くアコースティックギターで演奏されている。

Jar Of Files同様に、ヘヴィなサウンドだけでなく、このようなサウンドでも優れたバンドであることを知らしめた重要なライヴアルバムだ。
静なるAlice In ChainsにはJar Of Filesから入っても、Unpluggedから入門してもどちらでも良いと思う。

レインのヴォーカルにキレがないとの評価もあるが、レインとジェリーのハーモニーがとにかく素晴らしい。

映像もリリースされており、現在はDVD化されている。
ただし、DVDはリージョンコードや映像形式に注意して欲しい。

Unpluggedの日本盤

UnpluggedのDVD(輸入盤)
UnpluggedのVHS(輸入盤)
UnpluggedのVHS(日本盤)


Live

90年から96年の、全5ヶ所14曲のライヴ音源を収録したもの。
リリースは2000年。

オリジナルメンバーでのライヴを見ることは不可能なので、上のアルバムが気に入ったなら聞いてみるといいだろう。

後期のライヴ音源はUnplugged同様にドラッグ問題で体調不良のレインのキレの無さを指摘する声もあるが、全盛期のライヴと思われる音源ではダークでヘヴィな迫力に打ちのめされる。
最後のDam That Riverは本当にヘヴィだ。

レイン時代のライヴ映像もリリースしてもらいたいところ。

Liveの日本盤


4.ソロアルバム

Boggy Depot (ジェリー・カントレル)

1998年にリリースされたジェリー・カントレルのソロアルバム。

Alice In Chainsとは違った要素も少しはあるが、本人がバンドとソロとで曲を書き分けることはしないと語っていた通り、Alice In Chainsを連想させるものとなった。

Alice In Chains的であるがゆえ、レインのヴォーカルが欠けているの意識しないのは不可能。
それでメディアの評価は「物足りなさが残る」というのが多かった。

ジェリーはレインのドラッグ問題が原因でソロ活動をせざるをえなかった事情を考えると酷評なんてできないし、何より曲自体は良い。

Alice In Chainsに本格的にハマッた人は聞いてみるといいだろう。

Boggy Depotの日本盤


Degradation Trip (ジェリー・カントレル)

2002年にリリースされたジェリー・カントレルの2ndソロアルバム。

レーベルから契約を切られたりと、ジェリーは辛い時期を過ごしていたようで、製作が思うように進まず、結果的にレインの死から数ヵ月後にリリースされることとなってしまった。

内容は多少の違いこそあれ全体的には相変わらずのジェリー節。
リリースのタイミングが悪く、当初はこのソロアルバムもAlice In Chainsを意識しないことは不可能だった。

Boggy Depotと比べると、よりAlice In Chainsを連想してしまうサウンドなので、ジェリーのソロならこちらから聞いた方が良いと思う。

ジェリーは2枚組でリリースすることを望んでいたが、実現せずに曲を1枚にまとめたものがリリースされた。
だが後に2枚組が限定盤でリリースされた。

Degradation Tripの日本盤(2009年)
Degradation Tripの日本盤(2002年)

Degradation Tripの2枚組(輸入盤)
Degradation Tripの2枚組(日本盤)


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