Faith No More (フェイス・ノー・モア)

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最終更新2016年5月15日

Faith No More (フェイス・ノー・モア)のアルバム紹介

Faith No More (フェイス・ノー・モア)の概要

レッチリやJane’s Addictionらと共に、90年代オルタナ期に様々な音楽ジャンルを横断するという意味でクロスオーバー、ミクスチャーと呼ばれ、「音楽ジャンルの崩壊」に一役買ったバンドの一つ。

音楽性はキーボードを多用したへヴィメタルを土台にファンクやラップ、プログレなどの要素を垣間見せ、ときにはカントリーや民族音楽なども感じさせるもので、特定のジャンルにカテゴライズするのは難しい。
全盛期にはファンクメタルと呼ばれることが多かったようだが、当人たちはそのことを面白く思っていなかった。

俺たちみんなそんなそのフレーズが大嫌いなんだ。
だいたいファンクメタルっていったい何なんだ?
何の意味もないだろ?全く馬鹿げてる。
どこかのジャーナリストがそういう造語を作り出してみたら、みんながみんな急にその言葉に当てはまる音楽を作ろうと躍起になり始めてさ・・・
そんなジャンルが存在すること自体が嘘偽なんだよ。間違っているのさ。
まあ、レコード屋の連中の中には喜んでいるやつもいるかもしれないけどな(笑) (Faith No More / マイク・パットン CROSSBEAT1992年7月号から引用)

またヴォーカルのマイク・パットンのカオスも魅力の一つであった。
1993年の来日公演では観客の帽子を奪い取りその中に放尿、そしてそれを飲んでしまうという伝説を残した。

Faith No Moreの母体となったのはベースのビル・グールドとドラムのマイク・ボーディンが1979年にサンフランシスコで結成したバンドだ。
1982年にキーボードのロディ・ボッタムが加入、1982年には一時的にコートニー・ラブがヴォーカルだった時期もあったが1983年にはチャック・モズレイがヴォーカルとして加入、ギターのジム・マーティンも同年にバンドに加わっている。

1985年にインディからWe Care A Lotというアルバムをリリースし、カレッジラジオでオンエアされるようになり注目を集めていった。
その後メジャーレーベルと契約を結び1987年にIntroduce Yourselfというアルバムでメジャーデビューした。
しかし1988年にチャック・モズレイが解雇される。
クロスビート1993年6月号のインタビューによると長期のツアーに出たがらなかったからとのこと。

その後、Mr.Bungleというバンドと掛け持つかたちでマイク・パットンが加入、結果的にこの交代劇は吉と出た。

1989年にリリースされたアルバムThe Real Thingは、ラップとメタルを融合させたEpicというシングルカットされた曲(リンク先はYou Tube)が大ヒットしたこともあり全世界で300万枚以上売り上げ大きな商業的成功を収めた。

続いて1992年にリリースされたAngel Dustは、ファンクメタルと呼ばれ続けてきた反動からか、意図的にファンクの要素を排除したようだが、もはや形容する言葉が思い浮かばないほど雑多な音楽が高いレベルで融合したものとなり、彼らの最高傑作とされる。
しかし、当時のアメリカではセールスが前作を下回ってしまった。
時代を先取りしすぎたのだろうか?

レコード会社の人間とか制作に関わる連中も含め、特定のバンドからは特定のものを期待する奴が多いんだろ。
俺達は同じことを繰り返すタイプのバンドじゃないから、安全パイのレコードは作らない。

「エンジェル・ダスト」は前のアルバムみたいな音になってないんで、それが癇に障った奴もいるだろうし、そういえばレコード会社の連中も言っていたよ、「今度のにあんまり満足していない」って。

あいつらがこういう音にすべきだって思っていたような音に、ちゃんとなってなかったからな。
そういった部分が一部のファンを遠ざけちゃったのかもしれないが・・・。
けど、俺たちは方程式に乗っ取ってやってるわけじゃないし、同じレコードを2度作れって言われたってできやしないんだよ。
やろうとも思わないしな。 (Faith No More / マイク・パットン CROSSBEAT1993年6月号から引用)

Angel Dust制作中からギタリストのジム・マーティンと他の4人との間で人間的にも音楽的にも不和が生じており、Angel Dustツアー終了後に解雇された。
曲のクレジットには他のメンバーほどジムの名前が表記されることは多くなかったし、「Angel Dustの俺のギターパートは意図的に抑えられている。本当はもっと弾いているんだぜ」(King For A Day, Fool For A Lifetimeのライナー)という発言もあるので、ジムのバンド内での貢献度がどれぐらいあったかはわからないが、ジム解雇後はギタリストが頻繁に交代することとなった。

1997年までに2枚のアルバムをリリースしたものの商業的にも内容的にもピークを過ぎていた。
1998年3月に「個々のプロジェクトを追求するため」に解散した。

解散後、マイク・パットンはFaith No Moreと並行して活動していたMr. Bungleの他にFantomas、Tomahawkなので活躍した。
またIpecac Recordingsというインディレーベルを立ち上げた。
有名どころだとIsis、1999年以降のMelvinsがIpecacから作品をリリースしている。

2009年、解散前のラインナップでUKのフェスティバルで再結成ライヴを行った。
以後数年間はライヴだけの活動だったが、2015年には18年ぶりにアルバムSol Invictusをリリース。
2016年3月現在バンドは今も活動中だ。

関連リンク


Faith No More (フェイス・ノー・モア)のアルバム紹介

1.スタジオアルバム

We Care a Lot

Mordamという地元サンフランシスコのインディレーベルから1985年にリリースされた1stアルバム。

このアルバムを聞けば、1985年という早い段階で音楽ジャンルを無視した活動をしていたのかがよくわかる。
時期的にはレッチリが2ndアルバムをリリースした頃だ。

1曲目のWe Care a Lotはファンクやラップとメタルを組み合わせた名曲で、次のメジャーデビューアルバム制作時に再レコーディングされて収録され、シングルカットされた。
Chinese Arithmeticも次のアルバムに再録された
As the Worm TurnsはAngel Dustの日本盤のボーナストラックとして再録された。
他にも後のメジャー時代のシングルのカップリング曲などに再録されている曲もある。

良いアルバムだが最高傑作というわけではないので代表作の後に聞いてみるとよいと思う。

We Care a Lot収録曲の試聴リンク
We Care a Lotのフォーマット一覧

Introduce Yourself

UKを拠点としていたLondon Records傘下のSlashというレーベルからリリースされたメジャーデビューアルバム。
リリースは1987年。

前作同様にメタルを土台にファンク、ラップ、パンクの要素を組み合わせたもの。
ファンキーなリズムとスラップ奏法のベースが印象的だ。

マイク・パットン加入後と比べると音楽性の幅が狭くシンプルで、メンバーには悪いがファンクメタルという言葉が適切だと思う。
だが、そのシンプルな部分がチャック・モズレイ時代の魅力でもある。

Introduce Yourself収録曲の試聴リンク
Introduce Yourselfのフォーマット一覧

The Real Thing

1989年作でこのバンドがブレイクするきっかけとなったアルバム。
チャック・モズレイが解雇され、今作からヴォーカルはマイク・パットンが担当している。

音楽性は更に雑多になり、単純にファンク・メタルという言葉だけでは表現しきれなくなった。

パットンはメロディアスでキャッチーなフレーズを甲高い声で歌ったかと思えばSurprise You’re Deadでは混沌とした骨太な声も出すなど変化自在。

ラップとメタルを融合させたメロディアスな曲であるEpicが大ヒットしたこともありバンド史上最も売れたアルバムとなった。

個人的には次のAngel Dustが最高傑作だと思うが、このアルバムも名作なので聞いてほしい。
90年代後半から勃発したニューメタルに最も影響を与えたのは、実はRage Against The MachineではなくFaith No Moreではないかと思わせるアルバムだ。

The Real Thing収録曲の試聴リンク
The Real Thingのフォーマット一覧

Angel Dust

1992年の4thアルバム。
制作にあたり、ファンクメタルというレッテルを貼られたことへの反動からか意図的にファンクの要素を抑えたそうだが、それが功を奏し、メタルを土台に様々なジャンルの要素を飲み込んでいくというこのバンドの音楽性が頂点に達した。

3拍子で展開されるCaffeine、カントリー調のRV、泣きのピアノとラップメタルを融合させたEverything’s Ruined、音楽性とミスマッチな女性コーラスが面白いBe Aggressive、中国の民謡っぽいメロディとラップを組み合わせたA Small Victory、カオスな面が存分に発揮されたMalpracticeとJizzlobber、パットン曰く唯一ファンクの影響が出た曲Crack Hitlerなど、どの曲も素晴らしい。

盤によって収録されていたりいなかったりするライオネル・リッチーという黒人ポップスターのカバーであるEasyは本気なのか冗談なのかよくわからないが、こういうカバーが飛び出すあたりがこのバンドの音楽性を物語っていると思う。

またアルバム全体のトーンを決定づけているパットンの変化自在で情念的なヴォーカルと、ヨーロッパ的でゴシック調なシンセサイザーも聞きどころし、ジム・マーティンのギターリフは見事だ。

前作のようにポップで陽気な雰囲気ではなかったためか、売り上げという面では前作に劣ってしまったが、彼らの最高傑作なのはこのアルバムに間違いないので、是非とも聞いてほしい。

Angel Dust収録曲の試聴リンク
Angel Dustのフォーマット一覧

King for a Day… Fool for a Lifetime

1995年の5thアルバム。
ジム・マーティン解雇後、Mr.Bungleでマイク・パットンと活動していたトレイ・スプルアンスが加入して製作されたアルバム。

Angle Dustほどの複雑怪奇な部分は鳴りを潜め、Get OutやThe Gentle Art Of Making Enemiestといったストレートなスラッシュメタル風の曲や、Cuckoo For CacaやUgly In The Morningなど単純でカオティクな曲が目立つ。

その合間に繰り広げられるジャズやボサノバ、ブラックミュージックを連想させるEvidence、Star A.D.、Just a Manといった曲が聞きどころ。

全体的にシンプルになったと感じる要因の一つには、キーボードのロディ・ボッタムが父親の死が原因でレコーディングに参加しておらず、キーボードやシンセサイザーの音が入っていないことが挙げられる。
ロディのキーボードはFaith No Moreの個性的なサウンドの一端を担う重要なパートだと思うが…。

だがこの路線はAngel Dustほどのインパクトはないものの成功していると思うし、代表作の次にはこのアルバムをおススメしたい。

トレイはこのアルバムリリースに伴う長期のツアーに難色を示し脱退、新たなギタリストとしてディーン・メンタが加入した。

King for a Day… Fool for a Lifetime収録曲の試聴リンク
King for a Day… Fool for a Lifetimeのフォーマット一覧

Album of the Year

1997年作で結果的に解散前の最後のアルバムとなった。
ギタリストはディーン・メンタからジョン・ハドソンに変わっている。

マイク・パットンが歌いあげる曲が目立ち凶暴性が薄れてしまった印象を受ける。
へヴィではあるがサウンドは小奇麗だし、ミドルテンポの曲が多くて生ぬるい。

「彼らの新境地」とか「円熟味を増した」とか言われれば否定できないし、ミドルテンポでじわじわくる感じは悪くないので決して駄作ではないが、やはり物足りない。

後回しにするべきアルバムだと思う。

Album of the Year収録曲の試聴リンク
Album of the Yearのフォーマット一覧

Original Album Series

ここまで紹介してきたThe Real Thing、Angel Dust、King For A Day Fool For A Lifetime、Album Of The Yearの4枚のアルバムと、この下で紹介する予定のライヴアルバムLive At Brixton Academyの計5枚が一度に購入できるお得なセット。

iTunesでもMP3が販売されている。

Original Album Seriesのフォーマット一覧

Sol Invictus

前作から18年後の2015年リリース。
大雑把に言ってしまえば、前作Album of the Yearの枯れた円熟路線の延長上にある作品だ。

だが音楽性は今作の方が幅広く、アップテンポの曲がインパクトがあるのでアルバム全体が円熟味一辺倒ではなく起伏があり、聞いていて飽きないし、凶暴性も感じられる。
らしさを維持しながらも進化したと言っていいだろう。

2009年の再結成から直ちに取りかかるのではなく、感触を確かめながらリラックスした状態でじっくり作り込んできただけあって、なかなかのアルバムに仕上がっている。

Sol Invictus収録曲の試聴リンク
Sol Invictusのフォーマット一覧

2.ベスト・コンピレーションアルバム

Who Cares a Lot?

解散した年の1998年11月にリリースされた。
レア曲集がついた2枚組限定盤が存在する。

収録曲はWho Cares a Lot?のWikipediaで。

Who Cares a Lot?のフォーマット一覧

This Is It: The Best of Faith No More

2003年のベストアルバムで全19曲入り。
収録曲はThis Is It: The Best of Faith No MoreのWikipediaで。

This Is It: The Best of Faith No Moreのフォーマット一覧

Epic and Other Hits

2005年リリース。
収録曲が10曲と他のベストアルバムより少ないのでおススメはできない。

収録曲はEpic and Other HitsのWikipediaで。

Epic and Other Hitsのフォーマット一覧

The Platinum Collection

2006年リリースで18曲入り。
収録曲はThe Platinum CollectionのWikipediaで。

The Platinum Collectionのフォーマット一覧

The Works

2008年リリース。
3枚組なので44曲も収録されている。
収録曲はThe WorksのWikipediaで。

The Worksのフォーマット一覧

The Very Best Definitive Ultimate Greatest Hits Collection

2009年に再結成に合わせてリリースされた。
2枚組で1枚がベスト、もう一枚がレア曲集。
収録曲はThe Very Best Definitive Ultimate Greatest Hits CollectionのWikipediaで。

The Very Best Definitive Ultimate Greatest Hits Collectionのフォーマット一覧

MidLife Crisis: The Very Best of Faith No More

2010年リリース。
2枚組でレアな曲も多少収録されている。
これを書いている時点ではWikipediaのページが存在しないので収録曲はamazonで見て欲しい。

MidLife Crisis: The Very Best of Faith No Moreのフォーマット一覧

3.ライヴアルバム

Live at the Brixton Academy

1990年3月にイギリスのブリクストン・アカデミーで催されたライヴを収録したもの。
リリースは1991年。
ライヴ音源8曲とおまけ2曲が収録されている。
ライヴアルバムとしては収録曲が少ないが、現在のところオフィシャルとしてはこれしかライヴアルバムがリリースされていない。

時期としてはThe Real Thingの頃にあたるので、The Real Thingが好きな人は聞いてみると良いと思う。

当時は映像作品としてビデオもリリースされており、現在ではミュージックビデオ集とLive at the Brixton Academyの2枚組としてDVD化されている。
ただし日本盤は存在しないし、輸入盤はリージョンコード1なので注意してほしい。

Live at the Brixton Academyのフォーマット一覧

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