Blankey Jet Cityの2024年~2025年のレコードの音質(全アルバム完全版)

CBJImのインナー アナログ・レコード

2024年~2025年にリリースされたブランキー・ジェット・シティのレコードの音質について、全アルバムの思うところを書いています。

結論としては、一目瞭然ならぬ一聴瞭然でCDと比べて明らかに音質が違うのはRed Guitar And The Truth、BANG!、C.B.Jim、Metal Moon、THE SIX、Harlem Jetsです。他のアルバムは聞き比べて違いがすぐにわかるものではないです。

個人的に自信を持っておススメしたいのはRed Guitar And The Truth、C.B.Jim、Harlem Jetsです。

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Red Guitar And The Truth

あてのない世界の波形

「僕の心を取り戻すために」と「あてのない世界」で聞き比べました。両曲ともにCDの方がアタック感が強くて少しキンキンで、特にスネアの音が飛んでくるような感じです。レコードはそれが弱くなったかわりに低音が厚くなるという「レコードらしい」すばらしい音です。

ただ、元々本人たちはこのアルバムのサウンドを気に入っていないとか。

BANG!

以前に別の記事に書きました。高音が鮮明なので私は好きではないです。

「CDはマスタリングされていない。」「アナログ・レコーディングについてレコード会社がウソを書いた。」などネタが満載のアルバムです。

C.B.Jim

D.I.J.のピストルの波形

「D.I.J.のピストル」と「ライラック」で聞き比べました。こちらもRed Guitar And The Truthと同じパターンで、CDの方がアタック感が強くて少しキンキンで、特にスネアの音が飛んでくるような感じです。レコードはそれが弱くなったかわりに低音がよく聞こえます。素晴らしい音質なのでおススメです。

Metal Moon

奇麗な首飾りの波形

「お前が欲しい」と「綺麗な首飾り」で聞き比べ。意外なことにCDの方がこもっていて不鮮明。レコードの方が「お前が欲しい」はスネアの響きは自然な感じはします。「綺麗な首飾り」は少し鋭すぎてうるさい気がします。Bang!ほどではないにせよ、レコードの方が高音がシャープです。好みがわかれそうです。

それにしてもCDのレフトチャンネルの波形は不自然ですね。

幸せの鐘が鳴り響き 僕はただ悲しいふりをする

嘆きの白の波形

「風になるまで」と「嘆きの白」で比較しましたが、違いはわずかです。CDが少しだけアタック感が強くて少しキンキンだとは思いますが、気のせいかもしれません。

1994年ともなるとCDのマスタリング技術は円熟期をむかえたのでしょうか。アンチ音圧至上主義者としてはCDの音質が最もよい時期だったと思ってしまいます。

THE SIX

胸がこわれそうNew Versionの波形

オリジナルレコードも比較対象とします。

「冬のセーター」はBangと同様にレコードの方が高音が鮮明。1995年のレコードはCDとほとんど同じだと思います。わずかに低音が弱い気がします。CDが最もバランスがよいと思います。

「胸が壊れそう」は3つとも大きく変わらない同じような音。2025年のレコードがわずかに鮮明かな? つまり聞いてすぐにわかる違いはないということです。

Skunk

Dynamite Pussy Catsの波形

人によってはこのアルバムから音圧戦争に巻き込まれ始めたと思うでしょう。CDの波形だけ見ると音圧は高いですが、実際に聞いてみると私はギリギリ許容範囲ではあります。音質は悪くないですし、もっと酷いキンキンサウンドは巷に溢れていますからね。

これもオリジナルレコードも比較対象とします。

Dynamite PussycatとFringeともに2025年のレコードとCDは同じような音です。すぐに判別できるような違いは感じられません。レコードの方がくっきりしている感はありますがどうでしょう?

意外なことに1995年のオリジナルレコードは低音が弱すぎてスカスカな音です。音質を期待して購入するのはやめるべきです。ひどすぎる。

Love Flash Fever

Puddingの波形

1990年代の後半にリリースされたということで、CDは間違いなく音圧競争に影響されているでしょう。

個人的にはこのアルバムのCDが音圧的には最悪だと思っています。高音を強調しすぎていますし、ドラムの音が悪い意味で目立ちすぎです。奥行きも感じられませんし聞いていて疲れる音です。マスターテープを忠実に再現できるようにレコードを制作するなら、CDのマスタリングでこのように改悪される前のサウンドが聞くことができると期待していたのですが…

結果としてPuddingや「海を探す」、他にもいろいろな曲で聞き比べてみましたがCDとレコードの音質はほとんど同じです。

ということはミキシングの段階でこのような音質だったということですね。ミックスが最悪だったと。期待外れで非常に残念でした。

amazonのレビューで「ミックスが違う」とか書かれていますが、そんなことはありえません。レコードは「リミックス」されていません。ミックスが違うということは全く別のマスターテープを作るということですから。

ロメオの心臓

幸せな人の波形

CDは波形で見ると音圧は低そうですが、全般的に平面的な音だという印象です。

ただ「赤いタンバリン」の波形は不自然です。最大音量は出ていませんが、上の方をバッサリ切って海苔波形にしましたって感じです。

赤いタンバリンの波形

こちらもラウドネス・ウォー真っただ中にリリースされています。CDは前作Love Flash Feverほどひどいサウンドだとは思っていませんけど、このアルバムのレコードにもCDのマスタリングの段階で音圧主義的サウンドに改悪される前のサウンドを期待していたのですが、残念ながらCDとの違いを見つけるのは難しいです。

ですが集中力を高めてじっくり聞くとCDは全体的に中域を上げたようなシャーシャーした音だとわかります。「君の手のひらに」はレコードの方が少し不鮮明で「レコードらしい音」がよくわかります。

「幸せの人」のCDはクリッピングノイズらしきものが多い最悪のマスタリングです。わかりやすいものだと3分ちょうどあたりからのヴォーカルに付随したものや3分23秒あたりからのギターに付随したノイズです。レコードではそれらのノイズが消えています。これだけでもレコード化した意味はありましたでしょうか。

ただ全般的には次のHarlem Jetsのように「CDとレコードは全く違う」と感じられるほどではないです。Love Flash Feverと同じくトラックダウンの段階でこのようなサウンドだったということでしょうか、残念です。「ぼくはヤンキー」や「彼女は死んだ」などは平面的な音が適している曲ではあるんですがね。

そこそこおススメのレコードです。

HARLEM JETS

以前に記事にしました。

レコードでは音圧至上主義的サウンドに改悪される前の音らしきものを聞くことができます。劇的に違います。最高です。自信を持っておすすめします。

最後に主張したい

人間の聴覚は音が小さいと低音と高音を弱く感じてしまうようにできており、音が大きい方が高音質だと判断してしまいがちです。また人間の五感は記憶や思い込みによって脳が補正をかけるようです。

この記事では「違い」について書いてきましたが、レコードの方がよい音のような気がするって感覚さえあればレコードを聴く理由としては十分だと思います。

レコードはカートリッジで音が変わるというのも醍醐味の一つです。個人的には素朴な音がするM97xEが好きです。DL-103ではCDとあまり変わらない音がする作品もカートリッジを変えれば印象が変わってくるかもしれません。

ですから今回のレコードを否定したいわけではありません。私は全部購入しましたが後悔はしていません。Love Flash Feverのジャケットは最高ですし。

カッティングを担当された北村勝敏さんは、マスターテープの音を忠実に再現するという意味で、よい仕事をしたと思います。マスターテープの音が私の嫌いな音だったならもうしょうがないです。

レコードとCDの音質比較方法

ここでいう音質とは、低音が強いとか高音が弱いとか、ぶ厚い音がするとかそういうものです。音の大きさを比較しているわけではありません。

レコードのカートリッジはDL-103です。レコード盤で繰り返し聞き比べるのはしんどいので、レコードからPCに録音したものを最終的にFlacにして、CDからリッピングして生成したFlacを聞き比べました。

foobar2000でReplaygainを使用して音の大きさを揃えて聞き比べています。人間の聴覚は音が小さいと低音と高音を弱く感じてしまい、音が大きい方が高音質だと判断してしまいますから、Replaygainで音の大きさを同じにするのは重要だと思います。それでfoobar2000のABXテスト機能を利用して聞き比べれば「音質」の違いはすぐにわかります。

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