先日こんなニュースが流れました。
アナログレコードの売上高が前年比25%以上もアップすると予測されているアメリカの音楽市場
ああやっぱりなあといった感じです。以前にも書いたとおり、「アメリカではアナログレコードを聞くのが音楽好きのステータス」みたいになりつつあるのかなあと思っていましたから。
デジタル大国の日本じゃあありえないと思いますけどね。
「音楽を持っていたい」という所有欲を満たす存在として、簡単にパソコンへ取り込むことのできないアナログレコードが注目を集めることになり
こんな風に分析されていますが、肝心の音質について触れられていないのがちょっと残念です。レコードの方がCDよりも音が良い場合が多いですから。今日はわかりやすいサンプルを聞いてもらいながらレコード普及活動します。
なんでレコードの方が音が良いかというと、要因は色々あると思いますが、最も単純なのがCDとレコードではマスタリングが全く違う場合があるということです。
おもしろい掲示板を見つけました。
RHCP Stadium Arcadium CD & LP mastering comparison(レッチリのステイディアム・アーケイディアムのCDとLPのマスタリングの比較)
掲示板からリンクを貼られている音源は、2024年4月現在リンク切れなのでYou Tubeの動画を見て(聴いて)下さい。
Stadium Arcadium – CD vs LP – STOP THE LOUDNESS WAR!
曲名にmegauploadへのリンクが貼られており、そこからMP3をダウンロードできます。
一曲だけ貼るとDANI CALIFORNIA
最初の45秒がCDから製作したMP3で5秒の無音の後はレコードから制作したMP3です。
音が全く違うでしょ?
Stadium Arcadiumは個人的には微妙なアルバムで私はCDしか買っていないんですがw、CDのマスタリングはVlado Meller、レコードのマスタリングはSteve HoffmanとKevin Grayによるものです。
マスタリングした人が全く違うわけです。
レコードのマスタリングを担当したKevin Grayについては、彼のマスタリングスタジオを訪ねた方の面白い記事を見つけました。
HEレポート17:レコードプレス工場見学記(2) マスタリング・カッティング編
読んで欲しい文が下の方なんで少し引用させていただきます。
聴かせてくれた実例は、Red Hot Chili Peppersというロック(?)バンドの製品版CD。
波形を画面で見ながら聴いたのだが、実際に0dBFを超えまくり、歪みまくりのとんでもない音質である。
幸いこの「操作」はマスタリング段階で行われていたので、ケヴィンが同じアルバムのアナログ用リマスターを依頼された際、もとのマスターテープにはちゃんとした音源が残されていた。
ケヴィンが「まともに」マスタリングした音は、当たり前だけれど、圧倒的によかった。
つまりStadium ArcadiumのCDのマスタリングは、ノリ波形、音圧至上主義、Loudness War(音圧戦争)に毒された最悪のビジネス優先マスタリングなんですよ・・・
先ほど紹介した比較用のサンプルMP3を聞けば違いがわかるでしょう。CDから生成したMP3は音が飛んでくるような感じでしょう。
先ほどのYou Tube動画で聞くとCDの方が高音がキンキンしていてドラムの音も明らかに違うでしょ?
DANI CALIFORNIAはレコードの方が低音が厚いですよね。
レコードから生成したMP3の方が厚みがあって温かみがあって、大音量でも疲れない素晴らしい音です。
「良い音」なんて価値観は人によって違いますし、こういうキンキンなサウンドが好きな人もいるでしょうけど。
悪く言えば音圧至上主義に毒された人でしょうか。
まあこういうキンキンなサウンドの方が適している場合もありますけどね。
CDの中にもLPとほとんど変わらないと感じるものもあります。
Primal ScreamのScreamadelica、Rage Against The Machineの1st、Jane’s AddictionのRitual De Lo Habitual、BeckのMellow Goldとかはそうです。
PavementのCrooked Rain, Crooked RainとBrighten The Cornersは大差とはいかないもののレコードの方が良いです。
全てオリジナルレコード盤とCDを比較した結果です。
90年代前半にはデジタルマスタリングの技術が確立していた印象を受けます。この頃のCDが最も良い音だったのかもしれませんね。
その後は音圧至上主義が蔓延するわけですから。
レコードの音質面の魅力はカートリッジとか色々ありますけど、一番大きいのはマスタリング、エンジニアの方向性でしょうか。
CDもやればできるんですから
音圧至上主義が蔓延しているこのご時勢、特にレッチリのような売れているバンドは音圧一辺倒にならざるをえないんでしょうかね…
コメント
全然違いますね。
自分も断然アナログレコーディングの方が良いです。
ただ日本のあるバンドがアナログかどうか分かりませんが
それに近い音のアルバムを出したのですが、これがファンの
間で不評だったんで日本で流行るのは難しいだろうなと思います。
あと今回の記事とは少し関係ないことですが
2万前後のレコードプレイヤーを買おうと思っています。
ただこのクラスだと音が悪いと聞くのですが実際のところ
どうなんですか?
今は小さいヴォリュームで大きな音が出るようなアルバムが好まれますから、そういう音は一般的に普及しないかもしれませんね。
レコードプレーヤーはDP-500Mしか使用したことがないんで何とも言えないんですが、音が出ればOKならそういうので充分だと思います。
いずれサウンド的に本格的なレコードの世界へ入ろうと計画しているならば、カートリッジを交換できるプレーヤーの方が良いと思います。
でもプレーヤーも高くなりますし、場合によってはフォノコライザーが必要になったりと出費はかさんでしまいます。
質問に答えてくれてありがとうございます
この記事、衝撃でした。
CDのほうは、ギターがヒステリックな金切り声みたいでした。
8月に出るアルバム、楽しみです。
レコードは音にこだわる人を対象に売られることが多いんで、こういうことが多いのかもしれません。
ただレッチリに関しては、Californicationのレコードの音は最悪らしいですw
NINのThe Downward SpiralもSACD5.1chを除けば2008年再発レコードの音が最も好きです。
まあトレント自身はこの再発について「レーベルが勝手にやったこと。」と言っていたらしいですがw
さっき聴いてみて結構違うもんだなと驚きました
たしかにLPのほうが温かみがあってカドがとれた感じがしました、またこのような違いでアーティストの印象も変わってくるのかな思いました。
CDのが好みなので俺も毒されているのかw
同時にLPもいいかもと感じました
マスタリングによって作品の印象は随分変わりますよね。