Nirvana 25曲 (You Tube)
Nirvana (ニルヴァーナ)の概要
このバンドに関しては他のサイトでも多く語られているので説明は不要だろう。
このサイトでもグランジ・オルタナティヴの歴史のいたるところで取り上げている。
Smells Like Teen Spiritsに関してはBikini Killを参考にしてほしい。
カート・コバーンの女性ミュージシャンに敬意を払う姿勢はRiot Grrlに影響されたことが大きかったのだろう。
NirvanaのNevermind以降、メジャーが見向きもしなかった主流から外れたインディ・バンドが注目されるようになり、多くのバンドがNirvanaの開いた扉から羽ばたいてゆき、それは今でも続いているんだということは理解してほしい。
Nirvanaの音楽が好きになれない人も多いが、アンダーグラウンドなバンドに大衆の目を向けさせたという彼らの功績は認めざるをえないだろう。
結成は87年頃。
カートとクリスは不動だが、デイヴ・グロールが加入するまでドラマーの人事は安定しなかった。
Melvinsのデイル・クローヴァーが助っ人としてに加入していた時期があり、Melvinsと友達だったことでジャック・エンディーノの元でレコーディングする機会を得る。
そのテープがSUB POPの手に渡り、アルバムをリリースすることとなった。
その後、デイヴ・グロールが加入し、メジャーレーベルからNevermindをリリース、後は説明不要だろう。
(ユー・ノウ・ユー・アー・ライトの)PVって終始カートの映像しかなくて、ちょっとがっかりしたんだよね。
ニルヴァーナと仕事したことある人ならだれでも言うと思うよ、「ニルヴァーナは正真正銘のトリオだった」って。
確かにカートの歌声、彼の発するオーラは特別だったと思うけど、あの3人が集まったときに生まれるエネルギーは別格だったよ。
それがあのPVには全く反映されてなくて・・・
クリスとかもさ、凄いヤツなのに。
だけどニルヴァーナの魅力って、やっぱりカートにあるんだろうね。
何しろ一つの世代を完全に虜にしてしまったんだから、カートの歌声は。
Sonic Youth / サーストン・ムーア ロッキングオン2003年5月号から引用
結果的に最終アルバムとなった93年リリースのIn Uteroだが、この時期になるとカートはNirvanaの音楽性に限界を感じていたようだ。
94年1月のインタヴューでカートは次のように語っている。
静から動というこの公式には多少うんざり。
今から10年後もNirvanaの曲を演奏しているとは考えられない。
すべてが同じことの繰り返しになりつつあるところまできているんだ。
同じメンツで同じ仕事を繰り返していては限界がある。
少なくともレコードをもう一枚出すことは決まっている。
浮遊感のある、アコースティックな、REMの最新アルバムのような感じになる。
これを読む限りでは、もしカートが自殺していなくてもノイジーなNirvanaは打ち止めだっただろう。
アンプラグドで見せたような路線に進んでいったのだろうか。
まあ、すべては仮定の話だが。
カート死後、Nirvanaに関する事項は、クリス、デイヴ、カートの妻だったコートニー・ラヴの間で協定が結ばれたとされる。
例えばNirvanaの「新作」をリリースするには3人とも同意する必要があるようだ。
カート生前から兆候があったようだが、「クリスとデイヴ vs コートニー」という対立構造が存在すると指摘されている。
コートニーはインタビューなどでクリスやデイヴを批判。
逆に、デイヴが新たに結成したFoo Fightersというバンドのとある曲はコートニー批判だといわれたこともある。
この対立構造が目立ったのはYou Know You’re Rightという未発表曲についてだ。
ボックスセットに収録して発表することを主張したクリスとデイヴだったが、コートニーはベストアルバムに収録する形で発表することを主張。
Nirvanaに関することについてはNirvana LLC(有限責任会社)という会社が管理しているようだが、コートニーはこのLLCの協約がカート、クリス、デイヴを対等に扱っている部分が気に入らなかったようだ。
つまり、Nirvana=カート・コバーンであり、残りの2人は演奏するだけの単なるサイドマンだったのに、多数決で圧倒的有利な2人で物事を決めようとするのはおかしい、Nirvanaの遺産はカートの相続人であるコートニーが所有すべきだと主張。
また、クリスとデイヴにNirvana LLCの協約に強制的に組み込まれたとも主張している。
(コートニーがデイヴとクリスをサイドマンと扱っていることについて)
それは音楽を聞いて判断してもらうしかないね。ワシントン州タコマの彼の家の裏の小屋で、クリスとカートと俺と一緒にいたんじゃない限り、わからないだろうね。
デイヴ・グロール ロッキングオン2002年11月号から引用
コートニーはNirvana LLCの解体や、クリスとデイヴが主張していたボックスセットのリリースの差し止め請求などの裁判を起こし、コートニーが反対したので3者間協定に反するとのことでボックスセットのリリースは差し止められた。
コートニーの主張を読む限り、You Know You’re Rightをボックスセットに収録するよりも、1枚組みのベストアルバムに収録した方が売れると思っていたようだ。
逆にクリスとデイヴ側はコートニー側に対して対抗訴訟を起こした。
ミュージシャン、俳優としてのキャリアが細って行く現実に直面し、自らのキャリア・ゴールを実現するためにLLCと生存するNirvanaのメンバーを訴えている。
逆訴訟の訴状 ロッキングオン2002年11月号から引用
ラヴはニルヴァーナの音楽カタログの支配権を奪い取り、今後の映画出演や個人的なレコーディング契約や、その他自己中心的な無数のチャンスと引き換えにしようとしている。
下記のbarksのニュースも参考にして欲しい。
今後、このバンドは2つの点じゃなく、3つの点で人々の記憶に残ることになる。
第一に音楽、第二にカートを失ったこと、それに加えて今度はこの馬鹿げた争い。
なんか、汚された気分だよ。
純粋で美しかったものが、バンドがそもそも逆らっていたもの全てに汚されてしまったようで。
デイヴ・グロール ロッキングオン2002年11月号から引用
この件に関しては「天国のカートはこの争いをどう思っているのだろうか。」という御尤もな意見も多数聞かれた。
個人的にはコートニーの方が分が悪いと思うが・・・・・・
両者の合意は不可能と思われていたが、最終的にはコートニーの主張どおりYou Know You’re Rightはベストアルバムに収録されることとなった。
またWith the Lights Outと題されたレアな曲を詰め込んだボックスセットもリリースされた。
2009年にはファン待望の、92年のレディング・フェスティヴァルでのライヴパフォーマンスが収録されたDVDとCDがリリースされた。
2018年のRock and Roll Hall of Fame(ロックの殿堂)授賞式の際、ジョーン・ジェット、キム・ゴードン、Stヴィンセント、ロードという各世代を代表する女性ミュージシャンが交代でヴォーカルを務めるという形で再結成を果たし数曲が披露された。
その後は、「とあるイベントで数曲のみゲストヴォーカルをむかえて再結成」というケースが数回あった。
大規模な形での再結成はありえないと考えてよいだろう。
関連リンク
Nirvana (ニルヴァーナ)のアルバム紹介
おすすめアルバム
すぐれたライヴバンドだったと思うので、ここではあえてライヴアルバムをおすすめしたい。