The Jesus Lizard (ジーザス・リザード)
The Jesus Lizard (ジーザス・リザード)のアルバム紹介
The Jesus Lizard (ジーザス・リザード)の概要
88年の秋頃にシカゴで結成された90年代ヘヴィネスを代表するバンドの一つで、ステーヴ・アルビニのお気に入りのバンドでも知られる。
音楽性は、爽快にヘッドバンキングをしたくなるようなヘヴィネスではない。
苦しみもがいて、のた打ち回る様子を再現しているような、陰鬱でドロドロした90年代ヘヴィネスそのものだ。
他のバンドと違いアップテンポな曲が目立ち、ギタリストのデュエイン・デニソンのフレーズは、ジャズやクラシックの影響を感じさせると言う声もある。
The Jesus Lizard 20曲(You Tube)
90年代にヘヴィネスを追求したバンドは数多いが、その中でもトップクラスに位置する。
このバンドを聞けば、Stone Temple Pilotsが大衆的だという意見に反論できないだろう。
楽器隊の力量は相当なものだが、このバンドの目玉は何と言ってもデヴィッド・ヨウのヴォーカルだ。
切羽詰った断末魔のようなキレ具合が凄まじく、時より変態的でユニークな面ものぞかせる。
大好きなバンドに変態カルトバンドのButthole Surfersを挙げているので、ギビー・ハインズからの影響が強いのだろう。
前身バンドは、テキサス州オースティンで82年に結成されたScratch Acid。
最後のアルバムは、シカゴの有名なインディレーベル”Touch And Go”からリリースされている。
その後シカゴに移り住み、元スクラッチ・アシッドのデヴィッド・シムズ(B)はステーヴ・アルビニのRapemanで活動したが、Rapemanの活動が頓挫すると、Scrach Acidでともに活動していたデヴィッド・ヨウと共にThe Jesus Lizardを開始した。
グランジ・オルタナティヴ・ムーヴメントの勃発、Nirvanaとのスプリット・シングルを発売、ロラパルーザに参加したことで知名度が上昇。
メジャーレーベルが契約を勝ち取ろうと動き出したが、インディ・レーベル”Touch And Go”から離れず、インディ主義者のSteve Albiniとタッグを組んでアルバムを製作し続けた。
インディーズとしての筋を貫いて、なおかつちゃんとレコードを売っているのはフガジとジーザス・リザードだけだ。
(Fugazi / イアン・マッケイ)
そんな彼らも、94年にリリースしたアルバムを最後にアルビニと関係が悪化、96年にはメジャーレーベル”Capitol”からメジャーデビューを飾った。
Capitolを選んだのは、一番バンドを理解しているように思えたからさ。
他のレーベルは、俺達が”第二、第三のNirvana”になれるような言い方を頻繁にしてきた。
でも、俺達はミリオン・セラーを出せるようなバンドじゃない。
Capitolの社長は、そういうことを口にしなかったし、期待もしていなかった。
(デュエイン・デニソン)
バンドは98年にメジャー第二弾アルバムをリリースした後に解散。
デュエイン・デニソンは、元Faith No Moreのマイク・パットンたちとTomahawkというバンドで活動している。
現在のデヴィッド・ヨウは、グラフィック・デザイナー業に精を出したり、Quiというバンドで活動しているようだ。
2006年のTouch And Go設立25周年記念イベントでは、Scrach Acidを再結成して話題になった。
2008年11月現在、Jesus Lizardが再結成するというニュースが流れ、 2009年に実現。
各地でライヴを行い、Touch and Go時代のアルバムHead/Pure、Goat、Liar、Downの4枚がスティーヴ・アルビニとボブ・ウェストンにリマスターされ、ライヴ音源などが追加されてリリースされた。
関連リンク
The Jesus Lizard (ジーザス・リザード)のアルバム紹介
1.The Jesus Lizardのアルバム
Goat
91年の2ndアルバム。
コアなファンにとってはこれが最高傑作か。
インディらしい素朴なサウンドならこれ。
“Then Comes Dudley”、”Mouth Breather”、”Nub”など、収録曲の殆どがlast.fmのランキング上位を独占している。
ヨウのヴォーカルが埋もれてしまっているが、緊迫感は健在。
Liar
92年の3rdアルバム。
まずはこれから聞いて欲しい。
一曲目の”Boilermaker”からアップテンポでパワー全開、デヴィッド・ヨウのキレっぷりが凄まじく鳥肌モノ。
比較的キャッチーな”Puss”でさえ怨念のようなものを感じるし、楽器隊の強靭なグルーヴに歌とは言えないヴォーカルが被さるWhril。
緊張感やスリルはこのアルバムが一番。
これに波長が合わなければ、このバンドに深入りしない方がいい。
Down
94年の4htで、インディ最後の作品。
ステーヴ・アルビニが関わった最後のアルバムでもある。
Liarと比べると失速した感は否めないが、このバンドらしさと狂気の世界は健在。
上で紹介した作品が気に入ったなら聞いてみるといいでしょう。
リマスター前のDownの日本盤(2008年)
リマスター前のDownの日本盤(1994年)
Shot
96年の5thで、メジャーデビュー作。
切羽詰った緊張感は相変わらずで、本人が言うように、ミリオンセラーとは無縁だ。
とは言うものの、多少聞きやすくなった感があるので入門としてオススメ。
“Blue Shot”や”Skull Of A German”はメロディがしっかりしていて聞きやすい。
完全にイっちゃってる”Thumbscrews”、変化自在のギターも聞いていて面白い。
Blue
結果的に最終作となった98年の7th。
バンド至上、最もポップでキャッチーな仕上がりになっている。
聞きやすいのは確かだが、往年の迫力が失われているのも事実。
プレミアがついて入手が難しいので、本気でハマった人のみオススメしたい。
2.Scratch Acidのアルバム
The Greatest Gift (Scratch Acid)
前身バンドであるスクラッチ・アシッドの音源を一枚にまとめたもの。
Touch and Goから91年にリリースされた。
Jesus Lizardのような奥深さは無いが、対照的に直球勝負という印象だ。キャリアの初期だけに最も荒々しい。
ヨウの恐ろしいヴォーカルは、この頃からインパクト大。
日本盤は無い
The Greatest Gift – iTunes Store