Twitter内からリンクを貼られると人が押し寄せるなあと思う今日この頃です。
昨日は「アナログレコードが最強なんですよw」と書きましたが、こういう話は最終的には論理、科学ではなく、個人の感想、好みなどがモノをいうと思います。
正解はありません、自分で見つけて下さい。
音圧至上主義ですが、英語版Wikipediaにもあるじゃあないですか。
少ししか読んでいないんですが、アナログ時代にも音圧競争は存在したようですねえ。
Alice In Chains、Faith No More、Soundgardenといったバンド名が出てきますが、ちょうどこの頃からCDの音圧競争が本格化したのでしょうか?
面白いのはBeatlesのSomethingの音圧の変化のアニメーションGIF。
リマスターされる度に音圧が上がっていったってことでしょう。
今日はリマスターと音圧について。
リマスターっていうのは基本的にマスターテープがアナログテープで、それを性能の良い最新機器でデジタル化して、それをいじるのでしょう。
目標は2つに分かれると思います。
マスターテープの音に近づけようするのか、それとも現代的な音に仕上げるのか?
リマスター盤を聞いてみると、以前の盤よりも音が大きく聞こえるので迫力があると思ってしまうのですが、それって音圧至上主義に騙されているんじゃないかとも思ってしまうわけです。
音圧が上がっただけで高音質になったと勘違いしているんじゃないかと。
そこでFoobar2000のReplaygainという機能を利用して主にウチのサイトに載せているバンドのリマスター盤を聞き比べてみました。
Replaygainっていうのは、複数の曲の音の大きさを自動的に同じぐらいにしてくれる機能です。
同じくらいの音の大きさで、ABX機能を利用して聞き比べればリマスター前後の違いがよくわかるのではないかと。
まあReplaygainがどこまで正確なのか、音質が変わってしまうのかどうかはわかりませんが。
まずはPearl JamのJeremy。
これがリマスター前。
こちらがリマスター後。
波形を見る限り、典型的な音圧至上主義的リマスターなのでは?と思ってしまいますw
これをはじめて聞いたときは、音がクリアになって迫力が出たなあと感心した記憶があります。
私も音圧至上主義にドップリ漬かっているのかもしれませんw
同じ音量で聞き比べてみると、確かに音質は違います。
リマスター盤の方が迫力があります。
特に低音が強いです。
音がクリアだと感じるのは高音を上げているからなんですかねえ?
ダイナミックレンジ不足も感じませんし、良い音だと思います。
やっぱり私も音圧至上主義的マスタリングが好みなのかもw
続いてMudhoneyのTouch Me I’m Sick。
リマスター前
リマスター後。
音圧は上げているようですけど、もともと音圧が高めなだけあって、ほんの少ししか上げていないように見えます。
音圧を上げたというより、音圧が高かった音を抑えたようにも見えます。
絶えずレベル最大ってわけでもないですが、音圧を均一化して変化を少なくしたようにも見えます。
最高レベルに達しないまでも微妙に海苔波形化したかなあ。
聞き比べると、Jeremyと同じような感想です。
特に低音に迫力が出ています。
波形の変化は大きくないのに音質の変化は大きい。
音って不思議ですねw
次はJesus LizardのMonkey Trick。
上の2曲とは全く違う結果です。
リマスター前。
リマスター後。
波形上でも実際に聞いてみても、リマスターの方が音は大きいです。
ですが、同じ音量で聞き比べてみると同じような音質です。
低音が強いとか迫力があるとか、そういう音質の大きな違いはありません。
よく聞いてみると、リマスター盤の方が少しクリアなサウンドだと思います。
特にスネアの音が。
でも違いは聞き分けにくいです。
これをリマスターしたのはスティーヴ・アルビニだったと思いますが、アルビニ先生は昔の音を変えることについて否定的っぽいからなあw
タッチアンドゴーの財政危機を救うために嫌々やったとしか思えませんw
スネアの音が綺麗に聞こえるのは、マスターテープを最新機器でデジタル化した結果でしょうか?
次はウチのサイトに載せていない少し古いUKバンドです。
Joy DivisionのShe’s Lost Control。
リマスター前。
リマスター後。
波形だけ見るとこれも音圧至上主義的リマスターかなあとw
同じ音量で聞き比べた結果、上のMonkey Trickと同じような感想です。
低音に迫力が出たとか一切ありません。
それどころか、全く同じ音源に聞こえます。
違いが全くわかりません。
つまり音圧は上がっていますが、音質は全く変化がないってことです。
良くも悪くも音質は変わらず、ただ全体の音が大きくなっただけ。
旧盤のボリュームを上げればリマスター盤と同じ音が出ます。
これをリマスターと称して高音質だと思い込ませて売り出すのは卑怯じゃないかと思われてもしょうがないでしょう。
最後にPavementのCut Your Hair。
リマスター前。
リマスター後。
波形上は、細かいところは違いますけど、同じに見えます。
聞き比べてみても全く違いがわかりません。
Replaygainをオフにしても同じに聞こえます。
音圧も音質も全く同じ。
これは本当にリマスターしたのか?と疑ってしまいます。
オフィシャルストアのCrooked Rain, Crooked Rain: LA’s Desert Originsには、The entire remastered original albumって書いてあるんですが…。
まあ波形は微妙に違うんでリマスターはしたのでしょうw
ベストだと思ってやったリマスタリングがオリジナルとそっくりだったのかもしれません。
それとも少し変わっていればリマスターだろ!って手抜きをしたのかもしれません。
私は今までこれを高音質だと思って聞いていました…。
思い込みって怖いですねw
以前書いたように、アナログレコード時代の作品に限っていえば「バンド自身がOKを出したであろう本国オリジナル盤(書籍でいうところの初版)の音を目指したリマスター」は、言葉は格好良いんですけどオリジナル盤と聞き比べないと、その目標を達成できたのかは理解できませんw
人によっては低音が強くなったとか、音質そのものの変化を喜ぶ場合もあるでしょう。
音の大きさだけ変わっていて、音質変化無しっていうのも詐欺だとはいえません。
アルバムごとにプレーヤーの音量を変えるのは面倒だと思う人もいるでしょうし、ましてやデジタルプレーヤーでシャッフル再生している人にとっては、曲ごとにボリュームを上げたり下げたりすることになってしまいますから、昔の音の小さい作品を現代に合わせて音を大きくすることは100%悪いことだとはいえません。
先ほど紹介したFoobar2000のReplaygainという機能は、音量を1曲ごとに調節するのが面倒だから、自動的に均一にしようという目的から生まれたようですし。
そう考えるとアルビニ先生は上手くやったのかなあ。
音質を大きく変える必要がないなら無理して変えなければいいわけで。
波形も見事ですし。
まあリマスターにも色々あるってことで。
こういうのは最終的には個人の嗜好がモノをいうってことで。