1995年の3rdアルバム。リリースから30年以上経った現在では前作のRid of Meだけが注目されがちだが、このアルバムもPJ Harveyを語る上で無視できない傑作だ。
前作までは3人編成のバンドとして活動してきたが、バンドというフォーマットに限界を感じて解散し、PJ Harveyはポーリー・ジーン・ハーヴェイのソロとしてスタートを切ることになり、今作はソロ第一作目となった。
前作以上にUSインディ・ロックの要素が後退し、彼女のルーツの一つである「ブルース」という言葉が浮かんでくるようなサウンドとなった。ヴォーカルレッスンに取り組んできたとのことで、表現力が豊かになった。
また、トリオ・バンドから解放されたため、ギター、ベース、ドラム以外の楽器の存在感が増した。ドラムの打ち込みを効果的に使用するようになったり、ベースは全てキーボードで作るなど、機械の音を積極的に取り入れるようになった。
フラッド、ミック・ハーヴェイ、ジョン・パリッシュといった、後に毎度お馴染みとなる面々が参加した初のアルバムというのも特筆すべきだろう。
歌詞の面ではフェミニズム的な内容や性的な表現、攻撃性は激減し、「あなた」に対するドロドロとした情念的な迷走した愛を連想させるものが多い。
「あなたに愛をもたらすために大変な思いをしてきた」としゃがれ声でブルージーに歌うタイトル曲、売春婦の心情をボソボソ歌っていると思われるWorking for the Man、妊娠しているにも関わらず男に捨てられたC’mon Billy、自分の娘を溺死させたと解釈されるヘヴィなDown by the Water、堕胎や中絶を思わせるI Think I’m a Motherがインパクト大だ。
アルバム最後のエピローグであるThe Dancerを聞き終えると、どこかの精神世界を旅してきたかのような感覚に陥ってしまう。


