1996年のメジャー2作目。前作リリース後に長らくベーシストとして在籍してきたジェフ・ピンカスが脱退したが正式メンバーは補充せずに3人編成で制作された。
このアルバムの特徴は数曲とはいえラップ・ヒップホップ・ダンスミュージックへの傾倒だろう。
「オルタナティヴ・ロックが新しい商標になってしまった今、真にパンクでありオルタナティヴな音楽の可能性はテクノにある(ロッキングオン1996年8月号)」という持論の元、様々な音楽を吸収してバンドを新たな境地へと導いた作品だといえる。
ラップ調のPepperはバンド史上最大のヒット曲となった。
だが全体的にポップ化したとの印象は否めず、彼らの特徴である狂人性や変態的な部分があまり感じれなくなったのは事実。
Cough Syrupの後半の怪しい弦楽器の調べやJingle of a Dog Collarの緊張感、エクスペリメンタルなMy Brother’s Wifeなどもあるのだがポップな印象の方が上回ってしまっている。
ポップ化について問われたギビーはどこまで本気か冗談なのかは不明だが次のように答えている。
俺らがレコードを作るに当たって狙ってるのはステイーヴ・アルビニとソニーやEMIの株主の両方を喜ばすってことなんだよ。そんなことが可能なんであればな、ガハハハ。
こいつは難儀なポジションだぜ。両方を満足させなきゃいけないんだからな。
悪趣味の権化と、どっかの核兵器の制御装置を製造してる企業の株主と。ガハハハハ。
クロスビート1996年1月号
俺らとしては、その真ん中あたりを狙いたいと思ってるんだ。
日本盤のアルバムジャケットはかわいい動物に差し替えられているが、これは表ジャケットに問題があるというより裏ジャケットの3本足の犬が原因だったようだ。
アルバムタイトルは元々「オクラホマ」だったが、「オクラホマ」という言葉は商標登録されているため訴訟をおそれたキャピタルが変更を指示した結果、ジミ・ヘンドリックスのElectric LadylandをパロったElectriclarrylandとなった経緯がある。