89年にリリースされた4thで、ジョン・フルシアンテとチャド・スミスが加入し、黄金ラインナップでの初のアルバム。
ディストーションの効いたメタリックなギターが印象的。
1曲目のGood Time Boysの歌詞ではLAのアンダーグラウンドで活躍していたFishboneやマイク・ワット関連のバンド名などが巧みに散りばめられたかと思えば、Punk Rock Classicでは商業的成功願望を歌っている。
Knock Me Downはドラッグにより死亡した前任ギタリストのヒレルについて歌っているようだ。
Higher Ground、Subway to Venus、Magic Johnson、Stone Cold Bush、Fireなどのように、エネルギッシュで疾走感溢れるレッチリとしては最高の楽曲が揃っており、他の曲の質も高く捨て曲無しの傑作で、これを最高傑作だとする人は多いだろう。
しかしジョン・フルシアンテはこのアルバムに対してよく思っていないようだ。
プロデューサー(マイケル・ベインホーン)の「チリ・ペッパーズはこうあるべきだ」っていう思いから生まれたアルバムだよ。 そ
れに俺たちメンバーが集中していなかったから、プロデューサーが決めた方向性に流されてしまったんだ。
へヴィ・メタル・ファンクっぽい音楽をやるってアイディア自体は、俺たちもいいと思っていたけど、どこか無理やりやってる感じだったな。
俺たちのナチュラルな演奏は、もっとライトなものだったんだよ。
(中略)
ギターで”ギッ、ギッ、ギッ”って音を出すアイデアはプロデューサーのマイケル・ベインホーンのアイデアだったのさ。
自分から自然に出てきたサウンドじゃなかったのに、俺はそれに流されちゃって。
(中略)
「マザーズ・ミルク」は無理矢理しぶしぶプレイしながら作ったアルバムだったね。
(中略)
あれが完成した時、メンバーはあのアルバムをあまり誇りに思わなかったのさ。
それにレコード会社の人間が勝手に編集しちゃって・・・俺たちがやって欲しくなかったのに、曲を切り貼りしたんだ。
俺たちの意見も聞かずに、「これが完成品だよ」って渡されて、それを聞いたときは「何だこりゃ?」って感じだったもんな。
クロスビート2003年1月号から引用
上のインタビューでは「このアルバムをけなしているわけではない」といっていたが、他のインタビューでは「俺にとってはクソみたいなアルバム」だと発言している。(クロスビート2003年12月号)
本人たちが気に入っていないが世間的には名作扱いされている珍しいアルバムだ。
メタルの要素をどの様に捉えるかが評価の分かれ目か。
個人的には次作が最高傑作だと思うが、今作も傑作だと思う。
このアルバムが気に入ったなら3rdアルバムThe Uplift Mofo Party Planをオススメしたい。