デフ・ジャムやリック・ルービンと決別してキャピトルと契約を結んで制作された。リリースは1989年。
新鋭のDust Brothersと共にヴォーカル以外のものを100%ではないにせよ、ほぼサンプリングで制作された画期的なアルバム。
サンプリングで使用された曲はロック、ジャズ、ファンクなどの105曲。
全体的な印象としては、いわゆるヒップホップ感が強くてロック、クロスオーバー感は前作Licensed To Illと比べて弱い。
だがThe Sounds Of Science、Shadrach、A Year and a Dayといった曲からはロックのような躍動感があるし、Looking Down The Barrel of a Gunはラップメタル的。
High Plans Drifter、3-Minute Ruleのベースとドラムは素晴らしいと思う。
ロックのリスナーは、最初は好きになれないかもしれないが何回も聞いてほしい。
Licensed To Illの二番煎じを期待していた人たちからソッポを向かれたのか、Licensed To Illのだけの一発屋で終わると思っていた人が多く、今作リリース前から世間の関心が薄かったのかはわからないが、商業的には惨敗してしまった。
リリース当初からジャーナリストからの評価は高く、時が経つにつれ評価が上がっていき、現在では傑作とされている。
俺たちが音楽に過度にコマーシャルな味つけをしかけると奴らはすぐに「うーん、それイマイチだな」って反応したよ。
そんなことでトラックを台なしにしてしまいたくなかったんだな。
あの時、ヤウクは「このアルバムは一切プロモーションをしない。宣伝しなくても世間がその存在を発見する、って感じの、クールなレコードにしたいんだ」と言ってたよ。
Dust Brothers / ジョン・キング ロッキングオン1999年10月号