Big Black解散後は、元Scratch Acidのリズム隊とともにRapemanを結成。
これはRapemanとしてリリースされた唯一のアルバムで、リリースは1988年。
機械的だったBig Blackとの最大の違いはドラマーが人間であるということだろう。
レイ・ウォシャムの手数の多いドラムに導かれ、アルビニの殺伐とした金属ギターがロックンロールのように、ジャムセッション風に躍動しているのは聞きごたえがあるし、3人のエネルギーのぶつかり合いが素晴らしい。
衝撃的なタイトルのKim Gordon’s Pantiesという曲についてはブログで記事にしたので参考にしてほしい。
アルバムのそのものは良作なのだが、バンド名ばかりが議論され音楽的に正当に評価されていないイメージがある。
結局のところRapemanは短命に終わってしまう。
バンド名が解散理由だったと語られる場合もあり、バンド活動に支障をきたしたのは間違いないだろうが、実際のところは人間関係、価値観の相違が解散理由であった。
レイプマンはむしろ純粋に音楽に特化したバンドだったんだ。
メンバー同士の結びつきはそれほど重要ではなくて、挑戦しようとする音楽にのみ3人が集中した。
ただ、個人的な繋がりを重視しなかったが故に結果的に短命に終わった。
所詮バンドを作るのは構成する人間なわけで、生み出す結果ばかりに気を取られて人間関係をおざなりにすれば、内側から食いつぶされていく危険がある。
レイプマンは正にそうだった。
スティーヴ・アルビニ / クロスビート2008年11月号