1998年作で、ドラマーのビル・ベイリーの脱退を乗り越えて制作されたアルバム。
ビル脱退前からドラムマシーンやドラムループを取り入れるアイデアはあったようだが、ビル脱退を受けてそうせざるを得ない状況になった。
ドラムマシーンの素朴なビートにエレキやアコギ、ピアノやオーケストラサウンドをかぶせ、壮大で悲しみ溢れるサウンドを作り上げている。
またSonic YouthのノイズやSuicideのビートを連想させる瞬間もあり、実験的な作風となった。
当時のファンはあまりの変貌ぶりに戸惑った方も多いと思うし、リアルタイムでなくても彼らの代表作を聞いた後だと大胆な変化に驚かされるはず。
アップテンポな曲は数曲で、大半はミドル・スローテンポの暗い曲でキャッチーさは皆無。
だが、何回も繰り返して聞くとこのアルバムの奥が深い魅力が理解できるはず。
3人編成となった彼らの新しいサウンドも、マイケルの沈んだヴォーカルも、アルバムの世界観も素晴らしい。
名曲のオンパレードといっても過言ではない。
New Adventures in Hi-Fiとは違った意味での隠れた名盤だ。