先日、ダイブやモッシュの賛否というのを書きましたが予想外に閲覧者が多くてビックリ。
まあロックインジャパンが関係しているからでしょう。
書いてから思い出したんだけど、俺はグランジ・オルタナの流行の最後に「オーディエンスのステージ・ダイヴはこの頃からメジャーになった。」と書いていました。
忘れていたけど、そういえば少しはダイヴについて研究したんだよなあw
というわけで、今日はダイヴとモッシュ研究です。
まず誤解されていそうなことですが、ロックインジャパンだけでなくサマソニやフジロックなどのフェス、その他のコンサートの殆どはダイヴとモッシュは禁止です。
今年のRIJのように厳しく取り締まっていないだけです。
「ダイブやモッシュでの事故の責任は負わない。当事者同士で解決してもらいます。」といった感じです。
「ダイブ」っていう日本語の意味は、英語でいうところのStage DivingとCrowd Surfingの両方を指しているようです。
ステージから観客の上に飛び込むのがStage Diving、その後観客に支えられて移動するのがCrowd surfing。
Stage divingのWiki(英語)
Crowd surfingのWiki(英語)
MoshingのWiki(英語)
Wikiを読むとダイヴの先駆者としてイギー・ポップの名前が出てきます。
そういえば観客の上に立っているイギーの映像を見たことがあります。
あとはシド・ヴィシャスが開発したポゴとかね。
その後はやはり80年代USハードコア。
この頃のライヴ映像なんかを見ると、観客がステージに上がってくるのなんて当たり前だし、観客同士のぶつかり合いも激しいです。
Wikiによると、モッシュという言葉を生み出したのはBad Brainsのようです。
Bad Brains – “Big Takeover” – CBGB 1982
「警察のヤツらに口実を作ることになるんだ。
客席にステージダイブしたらライヴは打ち切り・・・だとよ。
ライヴを中止させる口実だ。
みんなで決めてくれ。
客席にダイブして警察を呼び込むか、それともライブを続けるか。
打ち切られちまったらそれまでだぞ。
ステージに上がってダイブしようとするヤツをみんなで止めてくれ。
ライヴを中止させちゃ馬鹿みたいだろ。
言いたかないけど、アメリカ中で締め付けが強くなってるんだ。」(Dead KennedysのThe Lost Tapesのライヴ映像から引用)
80年代は現在とは比較にならないほど「パンクは悪しきもの」だととらえられていた時代。
警察が介入してくることも珍しくありませんでした。
ダイブという危険行為は警察が介入する口実になったこともあったようです。
木村カ〇ラやパ〇ュームでダイブしようとする人には想像すらできないでしょう。
ダイブが大衆化してしまったことを実感させます。
80年代USハードコアでは頻繁にダイブとモッシュが繰り広げられていたようですが、そのハードコアに影響され、またハードコア同様にアンダーグラウンドで活動していた80年代USオルタナティヴバンドのライヴでもダイブとモッシュは受け継がれていったようです。
カート・コバーンが客席に飛び込もうと宙に浮いている写真は有名ですし、SoundgardenのLouder Than Liveという89年頃のライヴビデオには観客のダイブとモッシュが映っています。
それに対してメインストリームではダイブとモッシュは殆どなかったようです。
Metallicaの89年のライヴ映像を見ても観客がダイブしているところを発見できませんでした。
それどころかモッシュもあまり激しくなさそうな・・・
Metallicaの場合、92年になってもダイブは発生していないようです。
みんな手を振って喜んでいるぐらいです。
つまり、ダイブとモッシュはアンダーグラウンドなものだったわけです。
それがオーバーグラウンド化、大衆化したのはNirvanaの成功がきっかけだったのは間違いないです。
80年代アンダーグラウンドの要素がメインストリーム規模で掘り起こされていったわけですから。
クリスマスには皆ネルシャツを欲しがり、それを腰に巻いてステージダイブをしていたわ。
アメリカ中でね。(SUB POPの元社員 hypeからの引用)
グランジオルタナティヴを契機に広まっていったダイブとモッシュは、その後完全にメインストリームなものとなり現在に至るわけです。
ライブでのお約束って感じで大衆ポップでも発生すると言いますか・・・
ただ、メインストリーム化すると事故が目立つようになります。
企業が絡んでくると責任が生まれるわけです。
80年代USアンダーグラウンドでは死者が出ていたのかはわかりませんが、グランジオルタナ以降はたまに死亡事故のニュースが流れます。
モッシュでの圧死が多い気がします。
ダイブで死んだというのはあまり聞きません。
前回書いたPearl Jamの事故は、英語のWikiではCrowd surfingとなっていますが、実際は観客が前に押し寄せすぎて潰された人が亡くなったようです。
まあモッシュの一種でしょうか。
ただし、怪我や後遺症というのはニュースになりませんからどれくらい発生しているのかはわかりません。
大袈裟に言うと80年代のステージダイブは反逆の象徴だったのかもしれません。
警察が介入してくるわけですから。
アンダーグラウンド界の危険な遊びって感じがします。
今じゃあそんなことなんて考えられませんが、RIJで激しく取り締まるのなら逆にやってやろうという反逆心が生まれるのかもしれませんw
まあ俺はどっちにしろダイブとモッシュは好きじゃありませんけどね。
以上で研究報告は終わりです。