前作から8年ぶりとなる2023年にリリースされた10thアルバム。政治的なテーマからは距離を置き、再び自身の内面を表現したものとなった。
2022年に出版された自身の物語詩集Orlamをモチーフに、とある少女の成長をキリスト教の世界観や自然描写、シェイクスピア、エルビス・プレスリーに言及しながら描いたもののようだ。
音楽的にはハードではなくリラックスして聞くことができるものだ。古い楽器や昔のシンセサイザーを取り入れた不思議で夢見心地なサウンドを耳にしていると、ヨーロッパのおとぎ話でも聞かされているような感覚に陥ってしまう。年老いたからこそ、このような深みまで達することができたのだろう。「古いようで新しい」という表現が的を射ていると思う。
Autumn Term、Seem an I、I Inside the Old Year Dying、I Inside the Old I Dying、August、A Noiseless Noiseが個人的に好きな曲だ。

