PJ Harvey / Dryの紹介

1992年にインディレーベルからリリースされた記念すべき1stアルバム。USアンダーグラウンドを連想させるようなハードなサウンドと女性の欲情を連想させるような歌詞で注目を浴び、高評価を得た。裏表紙のポーリー自身の裸の写真も話題となった。

若かりし頃の初期のアルバムだけあって、よい意味で衝動的で勢いまかせ。トリオ・バンド特有のぶつかり合いは聞きごたえがあり、とくにロブ・エリスの手数の多いドラムは印象的だ。

Plants and Ragsではチェロを使用するなど、後の彼女を連想させるような部分も垣間見える。

「私と同時に彼女も愛していいのよ。」と言ってまでも意中の男性を手元に置いておきたいと願う情念的なOh My Lover、性行為を連想してしまうVictory、Happy and Bleedingは生理について歌っていると思われる。

アルバムに先駆けてシングルとしてリリースされたDressは、ドレスで着飾ってとある男性の心を掴もうと奮闘したものの、男性はそのドレスが好みではなかったようで「君に素敵なドレスを買ってきた。」と言われて失望してしまうというストーリーだ。「窮屈なドレスを男性のために着る」という、男性の気を引くために女性が外見的美しさを追い求めるという価値観に対して疑問を呈しているのだろうか?

Sheela-Na-Gigは、腰や唇などを見せつけて誘惑しようとしてくる女性に対して、男性がシーラナギグ(イギリスやアイルランドの古い教会や城にみられる女性の性器を強調したような女性像)を引き合いに出して「お前は露出狂だ! その淫らな穴に金を突っ込め!」と罵るという、衝撃的な曲。シーラ・ナ・ギグに関してはリンク先を参考にしていただきたい。

O StellaやHair、Waterのように、彼女の代名詞ともいえるキリスト教やギリシャ神話をモチーフにした作品はデビュー当時からすでに健在であった。

アルバムタイトルはDryだが、シングルとしてリリースされたDressの3曲目に収録されていたDryという曲は収録されていない。次作のRid of Meに収録されている。

Dry
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