流行一筋!わかっていない奴ら

旗を振りかざすような、洗脳された連中は大嫌いだ。
すると突然そいつらが俺たちのレコードを買い始めた。
「お前ら何もわかっちゃいない。」と思わずにいられなかったよ。
(Nirvana / クリス・ノヴォゼリック カート・コバーン・トリビューとから引用)

チャートの上位にランクインされ、アリーナ・スタジアム級の会場でライヴを行うということは、落ちこぼれでも負け犬でもないロックとは無縁な優等生や、世の中に何の不満もない、流行を追いかけているだけの「わかってない奴ら」も巻き込んだということだ。

コアなロック・ファンから見れば当然面白くない。売れる前からのファンとしてはもっと面白くない。
売れ線狙いのアイドルなどと同じ次元でそのバンドが取り上げられるのも当然不愉快。
お前らに何がわかるんだ!と。

hypeのサウンドトラックグランジ映画”hype”に登場する鼻栓をした少年の憤りはそのようなものだろう。

街中にはお決まりのグランジ・ファッションをした奴ばかり・・・俺は最初から好きだったんだ!
(hypeに登場する鼻栓少年)

売れるとライヴ会場の規模が大きくなり、チケット入手も難しくなるといった弊害を被るのもコアな音楽ファンだ。
音の悪いスタジアムやアリーナで豆粒のように小さく見えるバンドより、ライヴハウスで密接に体験した方がいいに決まっている。

ヒレルがいた最後のRHCPを観に行って当時の彼女にこう聞かれたよ。
「もし彼らが12万人収容のイングルッド・フォーラムでやるようになってもファンを続ける?」と。
俺は「やめるね。でもやるわきゃないのさ。そんなこと、バンドの一員になったような親近感を抱いてる俺みたいなやつへの裏切り行為だ」って答えたよ。(Red Hot Chili Peppers / ジョン・フルシアンテ CROSSBEAT 1997年8月号から引用)

そういうわけで、人気が出るのを嫌がるリスナーが存在するのである。

また、カート・コバーンはNirvanaのライヴに来る観客の大部分が、彼を迫害してきた人間と同タイプだったことに不快感を持っていた時期もあったように、ミュージシャン側からも不満が出ることもある。

レコードを買う人の大半は、音楽ファンではないんだよ。
音楽を理解できなくて、良い音楽か悪い音楽か判断できない人が多いんだ。
人生の社交的な意味において、BGMとして音楽を使っているのさ。

本当に好きで、音楽を自分のアイデンティティとしている人もいるけど、レコード店に行って、とりあえずトップ10に入っているのを買うって人もいるわけでね。
とにかく人気があるからっていう理由で・・・(電話により中断)

100万枚以上売れてからは、レコード店に行ってトップ10をそのまま買う人ってのは、例えばハイスクール時代に他人に受け入れてもらいたいがために、やるべきことをちゃんとやる人気者で、でも実は音楽なんて大して好きじゃなくて・・・

たまたま入ったクラブでダンスするときにかかっている音楽でもハッピーになれたり一緒に口ずさんだりできる・・・(再び電話で中断)

(トップになって)とても残念さ。
音楽をあまり好きじゃない人たちにまで知られてさ・・・
(Nirvana / カート・コバーン バーン1992年5月号から引用)

ロラパルーザに参加することで、バンド、あるいはオルタナティヴの頂点を味わうことになると考えたんだ。
で、結局わかったのは、こういうこと。

3,000人を前にすれば、オルタナティヴに入れ込んでいる3,000人のために演奏することになる。
ところが30,000人を前にすると、オルタナティヴが好きな3,000人と、オルタナティヴをテレビ番組でも見るように眺める27,000人のために演奏することになるんだ。

つまり大部分は、ただの流行に乗ってきている人たち。
それに気づいたときは、かなり愕然としたよ。
(Smashing Pumpkins / ビリー・コーガン 2000年)


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