結果的に解散への布石となってしまった1998年リリースの問題作。
概要でも述べたとおりロックをやることに限界を感じ、非ハードロック的な方向へシフトしたアルバム。
キーワードとしてはドラムマシン、エレクトロサウンド、アコースティック、ニューウェーヴ、バラード、ピアノといったところか。
かといって実験的な音楽性ではなく、メロディは聞きやすい。
機械的なドラムとエレクトロな効果音と印象的なAva Adore、ゴシックという言葉を連想してしまうTear、ピアノとエレクトロを融合させたCrestfallen、穏やかで爽やかなポップといったところのThe Tale Of Dusty And Pistol PeteとPerfect、ダンサンブルなAppele + Oranjes、ダークなシンセサイザーがニューウェーヴ的なPugなど聞きどころは多い。
14曲目のFor Marthaは8分にもおよび、穏やかなピアノの調から始まり徐々にドラムなどが絡んできて盛り上がってゆき、後半ではハードロック的なギターが爆発を迎えるという素晴らしい曲。
傑作で新境地を切り開いたいえるがアメリカの一部メディアからは酷評され、売上は2ndや3rdアルバムと比べると寂しいものになってしまい(それでも100万枚以上売れたが)、解散への布石となってしまう。
ただ、日本は別だった。
ファンもプレスも「アドア」を評価してくれてたから。
来日が楽しみだったよ。
でも、アメリカとイギリスではひどいもんだった。
悪評、悪評、悪評の連続。
ところが今、アメリカのプレスはパンプキンズ一色だ。
”過小評価された「アドア」”だってさ、ハハ。
パンプキンズのインタビューをする前に改めてちゃんと聴いてみたら、そんなに悪くないじゃん、ってとこだろ。
当時こき下ろしたのが自分たちプレスだってことを、すっかり忘れてる。
ビリー・コーガン クロスビート2000年8月号