Touch and Go(タッチ・アンド・ゴー)

Touch and Go(タッチ・アンド・ゴー)

Touch and Go 22曲 (You Tube)

Touch and Goの概要

80年代から続くUSインディの代表的なレーベルの一つ。拠点はシカゴ。

オーナーはコーリー・ラスクで、1983年にNecrosというハードコアバンドを脱退してTouch and Goの運営に専念するようになった人物だ。

タッチ・アンド・ゴーは、元々はパンクのジン(同人誌のようなもの)だったが、しだいにハードコア以外のバンドの作品もリリースするようになり、時が経つにつれ様々なジャンルのバンドをかかえる総合的なレーベルとなった。

所属バンドの主なところはBig Black、Shellac、The Jesus Lizard、Slint、Blonde Redhead、Calexico、Yeah Yeah Yeahs、TV On The Radio、!!!など。

このレーベルの特徴としては利益の50%をバンド側に支払うことで、これは業界標準の約4倍だったそうだ。

このようなレーベルの姿勢や運営手法は、バンドがメジャーレーベルから利益を搾取されるシステムを否定するアンチ商業主義者のスティーヴ・アルビニにも評価され、両者の関係は30年以上も続くこととなった。

あのレーベルの哲学は、バンド、そしてオーディエンスに対して非常に思いやりのあるものだと感じるし、バンドの側にも実に多くの裁量を許している。

そしてそれは、とてもとてもオーディエンス・フレンドリーなものでもあるんだ。

たとえレーベルとしてのタッチ・アンド・ゴーが今後5年間1枚もレコードをリリースしなかったとしても、それでも僕は“あのレーベルは実に素晴らしいレーベルだ”と思うだろうね。

だから、どんなタイプの音楽を出してようが関係ないんだよ。僕は彼らのレーベル運営法、ビジネスにおいて誠実さを保っているところを尊敬してるんだから。

スティーヴ・アルビニ / アメリカン・オルタナティヴ・ロック特選ガイド

また、自身のレーベルに所属しているバンドの作品をリリースするだけではなく、Merge、Kill Rock Stars、Drag Cityなどの他のインディ・レーベルの作品の流通も請け負い、インディバンドの良質な作品を店頭に並べることに一役買った。

80年代~90年代にかけての、音楽は街のCD屋で購入するのが主流だった時代おいて、インディの隆盛に重要な役割を果たしたといえるだろう。

流通の問題を言えば、確かにメジャーレーベルはどんな小さなショッピングセンターにでも店は持ってるけど、そこで皆が買うのはトップ40ものぐらいだろ。

僕らは米国最高のインディ系配給会社のタッチアンドゴーを使ってる。

彼らだってメジャーほどじゃないにせよ、かなりのレコード店に商品を出しているからね。

マック・マコーン(Merge Recordsの設立者でSuperchunkのメンバーでもある) クロスビート1994年6月号

1999年、Butthole Surfersから「Touch and Goからリリースした過去の作品を効果的に宣伝して販売しようとしていない。」として、過去の作品をリリースする権利をバンド側に取り戻そうと訴訟を起こされてしまった。

そもそもButthole SurfersとTouch and Goの契約では、Touch and Goからリリースされる期間が定められておらず、さらにいえば契約書など存在せず、口約束だけだったとのこと。

Touch and Go側の弁護士は元Big Blackのサンティアゴ・デュランゴであったが、タッチ・アンド・ゴーは敗訴し、控訴も断念した。

この事件は、同じビジネスモデルを採用しているインディ・レーベルに、ある日突然バンドが合法的にバックカタログをリリースする権利を持ち去ってしまう可能性を示唆したため、インディ業界に衝撃を与えたと分析されている。

2006年にレーベルは設立25周年記念パーティーを開催し、そのステージでBig Blackが4曲約10分という短い間だけだったが再結成されたことで話題になった。

しかしながら2009年、今後は新作をリリースせずにバックカタログのみを販売し、経営規模を縮小すると発表された。

バンドに対してビジネス面で誠実さを保ってきたがゆえに経営難に陥ってしまったのだろうか?

2024年現在でもレーベルは存続しており、バックカタログ以外だとスティーヴ・アルビニのバンドであるShellacの新作だけはTouch and Goからリリースされ続けた。

Touch and Goの関連リンク

Touch and GoのWikipedia

Pitchforkによるコーリー・ラスクの2006年のインタビュー。

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