「次のニルヴァーナは俺たちだ」とか勝手に信じちゃってるバンドはいくらでもいるんじゃない。
例えばストーン・テンプル・パイロッツなんて、はじめてのレコードがナンバー1になったけど、実際聞いてもらえばわかるように、ナンバー1になるのとそれがどんなバンドかってのは全く関係ない。
いわば完全に作られたバンドって気がするよ。
流行だからこんな感じのバンドを作ってみよう、みたいなね。
ビデオもレコードも、インタビューだってそうだ。
「俺たちが出会ったのはブラック・フラッグのショウだった・・・。」とかなんとか信憑性を持たせようとしてるだけさ。
何から何まで面倒見てもらって無理に皆に聞いてもらう。
そういう意味じゃ彼らはダメなバンドだ。
そうでもしなきゃ、あのバンドがあそこまでたくさんのレコードを売れないよ。
そんなの僕らは関わり合いになりたくないね、マジな話。
Superchunk / マック・マコーン クロスビート1994年6月号
バンド名とフォロワー的な音楽性のパロディでClone Temple Pilotsとバカにされることもある。
カリフォルニア州サンディエゴでNirvanaのNevermindリリース以前から活動していたらしいが、92年にリリースされたデビュー作”Core”が700万枚のセールスを記録した。
この大ヒットこそ、トレンド・金儲けとしてのグランジの始まりだったとするジャーナリストもいる。
売れた理由は、シングル曲”Sex Type Thing”と”Plush”がMTVでヘヴィ・ローテーションされたことと、棚からぼた餅的にグランジ・ブームに便乗したからと批判された。
メンバー達はグランジ以前から音楽活動をしていたようで、Black Flagのライヴでメンバー同士が出会う(上述のようにレコード会社主導の作り話でウソくさい経歴という推測もある)など、インディからの影響もあるようだ。
しかしインディでのリリース歴はなく、シアトル出身でもない。
グランジ旋風が吹き始めた92年の春頃にメジャー契約を獲得し、92年の秋頃にデビューアルバムリリース。
仮に他のオルタナ・グランジ勢とルーツは同じUSインディだったとしてもタイミングが悪すぎた。
レコード会社によるグランジバンドの青田買いとMTVという商業的な要因で台頭してきたバンドといえるだろう。
どの辺りが個のない音楽とされたかというと、シアトル近郊大物バンドにあったミドル・スローテンポでジワジワくるヘヴィなリフとうねり、陰鬱な雰囲気。
Soundgardenなどの偉大な先人たちを通過したサウンドだったが、先人たちよりもヘヴィネスが弱く、ポップだったことが嫌悪された理由だろうか?
だが、決して悪いバンドではないとする評論家も存在するので一聴して判断することをオススメする。
個人的には、偉大な先人たちと似ているのは否めないが、あからさまなフォロワーだとは思わない。
だが、音楽を聴いていると大衆ウケという言葉が浮かんでくることもあるので難しいところ。
偉大な先駆者達の持っていた要素を大衆ウケするように鳴らしたという非難には頷かざるをえない。