Metallica (メタリカ)
Metallica (メタリカ)の概要
今でこそ超ビッグなバンドだが、80年代のMetallicaは主流から外れたオルタナティヴな存在だった。
NirvanaやSoundgardenをはじめ、彼らを敬愛するオルタナバンドも多い。
80年代に誕生したスラッシュメタルと呼ばれるバンドの一つで、Megadeth、Slayer、Anthraxと共にスラッシュ四天王と言われる。
音楽性はNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)とパンク・ハードコアを融合させたものだとされ、速いテンポでブリッジミュートを多用したザクザクしたリフが目立つ。
その攻撃的でラウドなサウンドは80年代に流行したメタルとは確実に一線を画くものだった。
主流から外れた音楽性は、周りがどう思おうが関係がない、我が道を行くのみだというパンク精神そのものだ。
結成は81年でインディからのデビューは83年。
デビュー当時は単なるうるさい音楽との批評もあったが、86年の3rdアルバム”Master Of Puppets”を50万枚以上売り上げ、スラッシュメタルが市民権を得るきっかけとなった出来事だった。
しかし、メンバー最年長で脅威の指弾きベーシストであるクリフ・バートンがツアーバスの事故で死亡。
ベーシストの交代を余儀なくされる。
88年の4thアルバム”…And Justice For All”は全米7位を記録。
この頃から商業的な活動が顔を見せはじめる。
今まで否定していたプロモーションビデオの製作、LAメタルのようなステージ上での派手なギミック。
このような活動は、クリフの不在が原因だと考える人もいた。
NirvanaのNevermindと同年リリースのセルフタイトルアルバムが全米1位を記録し、メタルの王者として君臨するようになった。
通称ブラックアルバムと呼ばれるこの作品では従来のスラッシュ路線からは撤退、早くもグランジオルタナを意識して製作されたと分析されることもあり、90年代ヘヴィネスに通じるグルーヴも感じることができる。
チャートに5年以上ランクインし続け、現在までに2000万枚以上売れているが、80年代のファンからは賛否両論が巻き起こった。
96年には顕著にグランジ・オルタナを意識したLoadをリリース。
ファンを無視して好き放題に音楽を追求して行くパンク精神と解釈するか、流行に合わせたクソアルバムと受け止めるか評価が分かれるところ。
2003年のSt. Angerというアルバムは金属的なドラムとオルタナ以降を意識したヘヴィなリフが印象的なアルバムに仕上がった。
しかし、ニューメタルを意識したヘヴィネスとギターソロのない曲はLoad同様、良くも悪くも解釈できる。
ツアーでは過去の名曲に頼ったセットリスト、2000年のNapsterを相手取った訴訟など、金の亡者と批判されても仕方がない活動が目につくのも事実。
あらゆる面で賛否両論を巻き起こしながらもバンドは存続中だ。
関連リンク
Metallica (メタリカ)のアルバム紹介
1.スタジオアルバム
Kill ‘Em All
インディーレーベルMegaforceからリリースされたデビューアルバム。
音のショボさは否めないが、そういうのが好きなインディ志向の方にオススメ。
後に聞かれる叙情的な雰囲気はないが、初期ならではの荒々しさが存在する。
Four Horsemen、Motorbreath、Seek & Destroyなどはライヴで定番の曲。
Master of Puppets(メタル・マスター)
86年の3rdアルバムで、最高傑作に挙げられることが多いのでオススメ。
このアルバムの成功がスラッシュメタルが広まるきっかけとなった。
無機質でヘヴィなリフ、疾走感溢れるスピーディーな曲、ミドルテンポでのグルーヴは攻撃的でスリリング、爆発的なエネルギーを感じることができる。
1曲1曲が長くて壮大だが大袈裟に感じることはない。
バンドの代表曲であるBattery、Master of Puppets、Damage, Inc.をはじめ、捨て曲無しの歴史に残る名盤だ。
Master of Puppetsの日本盤
Master of Puppets – iTunes Store
Metallica (Black Album)
91年の5thアルバム。
メガヒットを記録し、メタリカを王様の地位に押し上げることとなった。
スラッシュ路線から撤退したこのアルバムを否定するコアなファンは多いようだが、入門としてはこれが最適。
Through the Neverのようにスピーディーな曲もあるが、全体的にミドルテンポの曲が多く疾走感は影を潜め、ギターも機械的で無機質というよりも人間的な音になった。
本当かどうかはわからないが、グランジオルタナを意識したアルバムだといわれ、ヘヴィなグルーヴは90年代のバンドに通じるものがある。
Enter Sandmanは人気が高い曲。
UnforgivenやNothing Else Mattersといったバラード風の曲が注目された。
Load
オルタナが終焉に向かっていた96年リリースの6thアルバム。
前作以上に90年代のバンドを意識した作風により、メタルファンの間からは賛否両論が巻き起こった。
ミドルテンポのうねるようなグルーヴや、ジェームス・ヘッドフィールドの進化したヴォーカルは素晴らしいが、流行に合わせたという批判や、ジェームスは歌うよりもシャウトが合っているという指摘にも納得してしまう評価の難しいアルバム。
このアルバムと兄弟のようなReloadというアルバムも存在する。