ブルックリンは飽和状態?:その2

コンニチハ、NirvanaのBleachなどをレコーディングしたシアトルのジャック・エンディーノです。

80年代にはバンドはメジャーデビューのチャンスを掴もうとLAを目指していたのが、(グランジムーブメントが原因で)シアトルにバンドが集まるようになってしまいました。(グランジドキュメンタリーhype!から引用)

昨日の続きでブルックリンですが、今のブルックリンは90年代のシアトルと同じような状況になっているのでは?と疑ってしまいます。


hype!というグランジドキュメンタリーには、シアトルに行けばメジャーデビューのチャンスを掴んで成功できると思ってバンドが押し寄せ、そのためレンタルスタジオはどこも使用中、ライヴをやろうにもライヴハウスはバンドで一杯だから何ヶ月も待たされるとか、そんな状況も取り上げられていたような。

ブルックリンは「シアトルのグランジ」ほど大規模なムーヴメントではないですけど、それと同じような状況にあると思いますよ。
私はブルックリンに住んでいるわけじゃないんで想像でしかないんですが。

昨日紹介したミュージックマガジンにTV On The Radioのデイヴ・シーテックのインタビューが掲載されているんですけど、「ブルックリンなら成功できるとの風潮が高まりすぎて、たくさんのバンドがやってくるようになって、3年間でスタジオ代が3倍に跳ね上がった。」というようなことを言っていました。
デイヴ・シーテックはもう2年前にブルックリンからLAに引っ越したとのこと。

3倍値上がりって凄いですね。
1時間1500円だったとしたら、それが4500円になるわけですからw

そもそも、昨日取り上げたKill Your Idolsというドキュメンタリーでも、ブルックリンとは限定していませんが、レーベルとの契約を勝ち取るためにニューヨークにやってくるバンドが増えたとのご指摘があります。

Kill Your Idolsは2004年に公開されたものですから、それ以前からそういう風潮があったようです。
契約なんて眼中になかった70年代No Waveで活動していたご老人たちはそれが不快でたまらないようですがw

今年はVampire Weekendが全米1位を獲得したこともあって、更にそういう風潮に拍車がかかるかもしれません。

そういう状況でも、面白いバンドが出てくれば全く問題ないんですが、そろそろマンネリ化してきたかなあという印象を受けます。

サイケデリックなエクスペリメンタルはもうDirty Projectorsが決定打で後はいいやって感じです。
あのアニコレ傘下というか、キラキラ輝いているような音楽ですw

今年に入ってYe●s●yerというバンドが日本の某雑誌から「ブルックリンの切り札」みたいな感じで取り上げられていました。

まあ1stをリリースしたての新人ではないですし、音楽性は没個性と思えませんけど、似たり寄ったりになってきたかなあと。

キラキラ系以外を見渡してみてもThe D●umという80年代リバイバルバンドがチヤホヤされているという。
まあエクスペリメンタル、アートロックばかりという状況の反発から生まれてきたポップなバンドといえばカッコいいですけど、単なる明るくなったJoy Divisionだろうとw

前々回取り上げたA Place to Bury Strangersは良かったですけど、The P●ins of B●ing P●re at He●rtは私に言わせりゃ単なる懐古主義。

だからそろそろ面白い音楽が出てこなくなるんじゃないかと思います。
そして毎度のごとく「ロックはネタ切れ」というのに行き着いてしまうわけです。

まあKill Your Idolsを見直していて思ったのは、最近のバンドは必ず過去のバンドと比較されるから可哀想だということ。

それこそNo Waveは無から生み出していたかの印象を受けますけど、もう様々な表現が出尽くしてしまった現在、一体何をやればいいんだとw
だからどこかで聞いたことがある音になり、過去のバンドと比較されてしまうわけです。

話を戻すと、私はブルックリンは落ち目と予想していますが、そりゃあその予想を裏切って面白いバンドが出てくればいいと思いますよ。
ブルックリン住人にしか知らない真のアンダーグラウンドには面白いことが起こっているかもしれません。

まあブルックリンという地域に関心を限定しない方がいいと思います。
全部が全部良いバンドではないですし、ブルックリンからニューヨークと言葉を変えただけでも該当バンドがたくさん増えるわけですしね。

90年代のグランジとオルタナの関係のようなもんですよ。
Nirvanaが好きだからといってシアトルバンドばかり追及するよりは、全米中のオルタナバンドに目を向けた方が面白い世界が広がっているわけで。

まあそれぞれの地域特有の音って存在すると思いますけど、特定の地域に囚われすぎるのもねえ。

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