Nine Inch Nails Ghosts I-IVについて振り返る

年度始めだから忙しいので久しぶり。

Nine Inch NailsのGhosts I-IVの音的な感想とかリリース方法について書いてみます。


以前にも書きましたが、このアルバムはポップではない。
Aphex TwinのAmbient Worksほどではありませんが、大衆性は無い。
With TeethやYear Zeroのキャッチーな部分を期待していた人は拍子抜けしたかもしれません。
メジャーレーベルだったら素直にリリースをOKしそうに無いですよね。

個人的にはNIN至上最も売れなかったThe Fragileに近いと思いましたし、こういうアプローチの方が好きです。
シラフになってもこういう曲は書けるじゃないか!と感動。

気に入った曲は、3、4、9、11、13、16、21、24、26、28、29、31、32、34、35。
後半の曲が良いです。
特に35がお気に入り。

NINにしてはラフというか音が少ない気がしましたが、ヘッドホンで聞くと結構迫力がありました。

リリース方法はRadioheadの手法を進化させたと思う。
アートワークもあるし、NINらしく音質に拘っていましたしね。

共有ツールでばら撒くのを推奨している感じですが、Saul Williamsの反省を踏まえてオフィシャルからは全部無料というわけではない。
Saul Williamsは想像以上に無料ダウンロードする人が多かったとか。

カネの話が絡むと難しいけど、結局のところ赤字になったら誰がそれを被るのか?という大人の事情もあるわけで。
最上級の限定盤が300ドル×2500セット売れてボロ儲けとか、1億6千万円以上の大金が動いたとか言われているけど、経費の額も相当かかっていると思う。
ボックスセットという通常のCD形態ではないものって制作費がかかるからなあ。
Pearl Jamが特殊なジャケットをリリースしたとき、制作費を自己負担したのは有名な話。

WEBサイトの構築管理維持、発送業務などトータルで考えると確実に軽く100人以上の人間が絡んでいると想像できるわけで。
そうなると逆に、次のアルバムを製作できるほどの利益を上げているのか不安になってくる。
バンドは解体しちゃったし、今回のアルバムの音楽性を考えるとツアーで補えるとは思えない。

でも300ドルは高いし、日本人から言わせると本体価格の3分の2の送料を支払うのは・・・
本体75ドルに送料50ドルっていうのは・・・
結局125ドル払って買ったけどさ。
やっぱり、熱心な音楽ファンならデータだけでなく、置き場に困ってもモノとして所有したいしね。
それを盲目的なファンからの搾取というのだろうか?
難しいですねぇ。

まあ、誰も足を踏み入れていない未知なる領域なので少しずつ発展していけば良いと思います。
だから断固支持w

大物バンドの利益はキャリアの浅いバンドに回すべきだという意見がありますが、NINはSaul Williamsの件で一つの方向を示したと思う。
どうせなら自分が気に入ったアーティストの援護射撃をするんだ!というね。
こういう手法が主流になるなら、いわゆるミュージシャンズ・ミュージシャンが生き残って行くんでしょうねぇ。
大衆に認められるには、まずは大物ミュージシャンに認められる必要があるみたいな。

まあ、こういうネットで独立するという手法に誰も追従しない可能性もありますけど(苦笑)。

Nothing Recordsを復活させればいいのに!と思うのは俺だけでしょうか?
そうなると、自分の音楽制作に集中できないほど多忙になるのかな?

Museはアルバムを製作しない、つまり曲単位でネットで発表して、ある程度の曲数になったらそれをまとめる、というような手法を考えているようです。

個人的には曲単位で聞くよりもアルバムを通して聞く方が好きなんですが、今後はどういう流れになるんでしょうねぇ。

どういう形態が主流になって行くのか予想なんかできないけど楽しみでもあり不安でもあります。

コメント

  1. マイロ より:

    ミューズについては初耳ですが、トゥールのメイナードも今後プシファーやトゥールのリリース形態が「グッズに楽曲がおまけで付くような」ことも考えてるみたいですね。
    正直僕もそんなのいやだー、アルバムで聴きたいよやっぱ。数年後にはそんな形が主流になっていて、自分もそれが当たり前な感覚になっているのだろうか……? マイスペや海外ファンサイトなんかでダウンロードするのは既に慣れっこになってますけど、なんか複雑な気分だな

  2. Hyottoko より:

    Museの場合はレーベルとの契約が残っているので、発言だけで好き放題はできないだろう、というのが大方の予想だそうです。

    iPodが普及してから曲単位で聞く人が増えた気がします。
    last.fmを見ているとそのように実感します。

    数年前に書いたことの繰り返しになりますけど、「捨て曲」だと自覚しながらもそういう曲をアルバムにを入れる酷いバンドがいるようですが、曲単位に発表するなら「捨て曲」をリリースすることが無くなると思うので、そういう意味では良いんですが・・・

    でもリリースする曲全てがシングル向きのキャッチーな曲っていうのは最悪だと思います。

    コンセプトアルバムも敬遠されてしまいますしね。

    特にToolなんて曲単位で聞くべきバンドじゃあないですよね。

    基本はアルバムで聞きたいです。

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    昨年はアルバムを2枚もリリースしたのに、今年になって早速2枚組みの新作がリリースされたNINことTrent Reznor。…

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