エモ嫌いのエモ研究:その2

前回の続きでエモです。
そんなこんなで、エモについて調べたり、エモと呼ばれるバンドを聞いたりしてみたのですが・・・

俺はエモのことを前回書いたように思っていましたが、実際は違うようです。
今日は「エモとは何か?」です。

結論から言えばWikipediaに書いてあるように、グランジ同様にマスコミが勝手にレッテルを貼ったのでしょう。
自称エモバンドなんていないようです。
ただ、現在は以前のエモコアからは懸け離れたバンドすらエモというレッテルを貼られている。
つまり、完全にメインストリーム化、大衆化、商業化しちゃってるようです。


エモの起源は80年代のUSハードコア。
従来のハードコアの枠を超えようとしたバンドのことをエモコア(エモーショナル・ハードコア)と呼んでいたらしいが、イアン・マッケイはエモコアと呼ばれることに嫌悪感を示した。

エモが大きなムーヴメントになるきっかけはGet Up KidsやJimmy Eat Worldといったホスト・ハードコア世代のパワー・ポップ・バンドのブレイク。
(この辺から、ハードコアの要素がないバンドもエモと呼ばれだしたのか? また女の子にフラれたことばかり歌うバンドが増えたのか? この頃から”エモコア”から”エモ”になったのか?)

エモが一大ムーヴメントになった背景には、ネットによるプロモーション、「女の子にフラれたことばかり歌っている」と皮肉られながらも、等身大の日常をライヴにおける大合唱というマジックによってたちまち共感に変えるアンセムが多数作られたことが大きかった。
(Weezerがエモの起源と言われるのは、この要素とリンクするのでしょう。)

エモがまだインディの意味を含んでいた時期(02年)にマイケミがエモだと言われたことがある。
04年にエモと本格的に結び付けられる決め手の一つが”I’m Not OK“のビデオ。

歌詞は各自で検索してください。
検索すると、この曲が日本でもアンセムになっていることが分るでしょう。

「若い男子がどれだけ自分が哀れかをパンキッシュなサウンドに乗せて歌う。」というエモの既成概念に重ねられた。
この曲だけで”エモ=マイケミ”が一人歩き。
マイケミをメインストリームに押し上げた04年の2ndはエモの言葉が持つ意味を拡げてしまった。

アンチ・ロック・スターを掲げていたハードコアを起源に持つエモから、ロックスター志向を持つAll American Rejectのようなバンドが生まれてきた。
その後エモは混沌化、80年代ヘア・メタルに回帰するバンドやエレポップ系のバンドが出現。
(完全にメインストリーム化。泣きのメロディ、叙情的なメロディを熱唱しているバンドならば何でもエモに括られる現在の状態)

物凄く簡単に言えば、かつてはハードコアを根底に、叙情と情熱を激しく訴えるバンドがエモと呼ばれていたのに、現在はハードコアどころかパンクの片鱗も無いバンドがエモと呼ばれている。

エモは00年代の最大のムーヴメント、現代ロックのメインストリーム(チャートの上位にランクインするような主流)。
体育会系のマチズモやWASP的な上昇志向にアンチを唱えるネット世代、オタク世代の若者達を象徴するキーワード。

以上は、ro2007年4月号とCB2007年4月号の内容をまとめただけです。
興味のある人はバックナンバーを買って下さい。

Wikipediaと組み合わせれば曖昧ながらも「エモとは何か?」大まかに掴めると思います。

次はエモバンド批評と俺が思ったところを言いたい放題書こうと思いましたが、長くなったので次の機会に。

コメント

  1. Pignic より:

    エモの定義は難しいですよね。エモのディスクガイドを立ち読みしてみても、本当に様々でわけがわかりません。私も『グランジと同様』説だと思ってます。

    実際、例えば、私はマイケミはかなり苦手だけど、Jimmy Eat Worldの『CLARITY』は結構好きだし、FOBなら『DanceDance』のPVが凄く好きだし、FUGAZIなんか別格だし、ジャンル分けってのは音楽を聴く上では本当に無意味なことだといつも思ってしまいます。でもHyottokoさんの研究報告を読むのはとても楽しいので人間って不思議なものです(笑)。

  2. Hyottoko より:

    Bright Eyesがエモいと言われるのは理解できるけど、Panic! At The Discoなんかと一緒にするのは無理がある!って感じでしょうか。

    強引なジャンル分けかと思いましたけど、最近のエモの有名どころを聞きましたけど、同じようなバンドが多くて・・・
    商業的なムーヴメントって思いました。

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