商業的成功の否定その5(カート・コバーン)

商業的な成功を否定するという思想がもっともピークに達したのは間違いなくカート・コバーンが自殺した直後だろう。
自殺した理由は様々な要因があるだろうが、急激な成功から生じるストレスが原因でドラッグに溺れるようになり、音楽ビジネスに潰された形で自殺したのだとよく言われる。
真実はどうあれ、とにかく世間はそのように受け止めたのだ。
シーンを作った張本人がこのような死をとげたのだから、その影響は計り知れない。

メルヴィンズからパンクを学び、カルヴィン・ジョンソンのテリトリーであったオリンピアに住んでいたカートは、インディの価値観から強く影響を受けていた。
当時のオリンピアの価値観は、メジャー契約など言語道断、グルーピーと寝るのはご法度、好きなバンドを聞かれたらマニアックなバンドを挙げるのがクール、などだった。

そんなシーンに身を置いていたカートだが、しだいに矛盾した行動をとるようになる。
成功を否定しながらも、成功を望んでいるとしか思えないような行動だ。
例えば、商業主義の象徴であるMTVを否定しながらも、MTVで自分のビデオが流れなかったら文句を言ったりした。
この辺のことはHeavier Than Heavenというカート関連書籍を見て欲しいが、世間が思う最大の矛盾はメジャーを否定しながらも、メジャーと契約したことだろう。
自ら否定していた世界になぜ飛び込んだのか?

このことに関して個人的に色々思うことはあるが長い文がさらに長くなるので省略。

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