われらの時代 -大江健三郎-

大江健三郎の本を読みました。この人ノーベル賞を受賞しているんだよねぇ。

この小説は退廃的だ。
年増の淫乱な売春婦と一緒に暮らす生活を嫌悪しながら逃れられず、生きながら死んでいる主人公。

アンラッキー・ヤングメンというトリオで音楽活動をしているその弟は、天皇の姿を実際に目撃するが、皇帝とは程遠い姿に幻滅する。
そして、日本にスキャンダルを巻き起こすという好奇心と相重なって、天皇が乗った車を手榴弾で爆発させるという計画を立てる。
しかし、結果的に天皇に恐れおののき計画は失敗に終わる。
また、この出来事がきっかけで3人とも破滅への道を歩む。

一方、主人公は懸賞に応募した論文が認められフランス留学という脱出の機会を得るが最終的には失う。
弟は死に、年増の女、友人とも係累がなくなった彼は自殺を考えるが実行する勇気がない。

自殺が唯一の行為だが実行する勇気が出ない。それで、俺たちは生きていく。しかしふと気が付くと自殺の機会が目の前にある。
自殺の機会に見張られながら生きていく、これが俺たちの時代だ。

主人公はこのような結論を出す。

読んでいて納得してしまった。その通りかもねぇ。

ロックなこの小説はオススメです。

タイトルとURLをコピーしました