Soundgarden (サウンドガーデン)

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最終更新2020年9月30日

Soundgarden (サウンドガーデン)のアルバム紹介

Soundgarden (サウンドガーデン)の概要

グランジ・ブームを代表するバンドの1つ。
84年にシアトルで結成された。

音楽的ルーツはLed Zeppelin、Black Sabbath、Stooges、Melvinsなどだが、どちらかというとHR/HM寄り。
それゆえ単なるメタルバンドと誤解されることが多いが、80年代メインストリームのHR/HMと決定的に違うのはドロドロとしてうねるようなヘヴィネスだ。

クリス・コーネルのハイトーンヴォーカルと陰鬱で重苦しいサウンドは、カート・コバーンに「こいつらには勝てっこない」と言わしめたほどだった。
メタルのようだが今までのメタルとは明らかに違う、90年代ヘヴィネスを代表するバンドの一つで、メタルファンとオルタナファンを繋ぐ存在として「オルタナとメタルの架け橋」と評価されたこともある。

Soundgarden 27曲

(SUB POPは)手始めにサウンドガーデンのシングル・リリースを決めた。
当時は非常にヘヴィなサウンドだったから、曲を世界にアピールするべきだと思った。
正気の音じゃなかったよ。
シアトルの「くだらない」バンドとしては非常に優れていたんだ。
(ジャック・エンディーノ / グランジドキュメンタリー映画hypeから引用)

結成は1984年と古く、シアトル近郊のバンドとしてはGreen RiverやMelvinsと共に先駆者とされる。

SUB POPからシングルやEPをリリースした後、Black FlagのレーベルであるSSTから1stアルバムをリリースしたが、この時点で既にメジャーレーベルから目を付けられていたようで、1989年にメジャーレーベルからアルバムをリリースし、シアトルバンドとしては他のバンドよりも一足先に当時の主流から外れた音楽でメジャーレーベルに殴り込んでいった。

だが、いち早くインディからメジャーに進出したため、インディ界隈からはセルアウトしたとの批判もいち早く浴びることになってしまった。

他のバンドから(メジャーと契約してセルアウトとの)お決まりの文句を聞かされたよ。
でも今じゃ、そういうバンドが一つ残らずメジャーと契約してる。
(クリス・コーネル / ロッキングオン1994年5月号)

しかし、商業的な大成功となるとNirvanaやPearl Jam、Alice In Chainsよりもはるかに遅く、カート・コバーンが自殺する直前の1994年2月にリリースされたSuperunknownが何百万枚も売れてからとなる。
先駆者にもかかわらず後塵を拝することになってしまったが、結果的に急激な成功の反動から生まれるプレッシャーに苦しめられる事態を避けることができた。

サウンドガーデンは何故か全てを逃れることができたバンドだったんだ・・・

ニルヴァーナがバカ売れして、パール・ジャムもバカ売れして、アリス・イン・チェインズさえもバカ売れした。
その間、サウンドガーデンは裏の方で、もっとゆっくりしたペースで成長していた・・・

ちょっと悔しい思いはしている。
先に出てきた俺たちよりも、俺たちの影響を受けて出てきたバンドの方が先に大成功を収めているわけだから。

でも、それらのバンドはその後いろいろな困難に苛まれているだろ。
異常人気に対する反動もあるし、そっくりバンドはやたら現れるし、商業的に成功しすぎたとキッズにそっぽを向かれる。その点でも俺たちはうまくタイミングがズレてくれたわけだ・・・

誇大宣伝、反動、誇大宣伝、反動っていう、そのどの波にも当たらなかったことには感謝しているよ。
(クリス・コーネル / ロッキングオン1996年5月号)

音楽性から見ても先駆者ならではの苦い思いをしている。
Nirvanaが成功してからようやく「メタルとパンクの融合」という解釈が一般的に広がっていった感があるが、それ以前のSoundgardenは単なる従来同様のメタルバンドと解釈され、レーベルにもそういう路線で売り出されたこともあった。
また、先駆者にもかかわらずフォロワー扱いされたこともあったようだ。

そのとき(従来のメタルと同様に扱われていたとき)の俺たちの気持ちは「いつかわかってくれるだろう」ってものだったよ。

おかしいのは、スーパーアンノウンを出したときに、「あなたたちにこういうことができるとは思いませんでしたよ。」って言われたことだね。(クリス・コーネル / ロッキングオン1996年5月号)

このように、急激な商業的成功から発生する混乱に巻き込まれなかったことにより、NirvanaやPearl Jamと違って音楽に集中できる環境におかれることとなった。
90年以降にリリースされた3枚のアルバムからは、混乱の痕が感じられないし、同じことは繰り返さないというオルタナティヴな姿勢を体現した傑作ばかりだ。

このまま末永くマイペースで活躍していくと思われていたが、1997年に突如解散を発表した。
理由は人間関係の破綻や多忙な生活が嫌になったメンバーがいたりと色々あるようだ。

解散後、クリスはソロアルバムをリリースしたり、元Rage Against The Machineのメンバーと結成したAudioslaveというバンドなどで活動。
ドラマーのマット・キャメロンはPearl Jamの正式メンバーとなった。

2009年、メンバー4人が久しぶりに集まり、10年以上も前から構想していたレアトラック集のリリースなどについて話し合ったとの報道があった。

そして2010年、正式に再結成すると発表され、同年8月のロラパルーザに出演した。
そして2年後の2012年には6thアルバムKing Animalをリリース。
2014年にはレアトラック集もリリースされた。

2015年には新作の話も出始め再結成後の活動は順風満帆なイメージがあったが、2017年にクリス・コーネルが自殺。
再結成後の活動は突如として終焉を迎えることになってしまった。

関連リンク


Soundgarden (サウンドガーデン)のアルバム紹介

1.スタジオアルバム

Ultramega OK

88年にBlack FlagのインディレーベルのSSTからリリースされた1stフルアルバム。
すでにメジャーからのオファーがあったようだが敢えてインディと契約を結んだ。

SUB POP時代の音源と同様に、初期衝動的な側面が印象的。
Flowerは初期の名曲でライヴでは頻繁にプレイされた曲。
ヒロ・ヤマモトがリードヴォーカルを取ったCircle of Powerは衝動的なハードコアといった趣だ。

だが陰鬱で切羽詰った断末魔のようなドロドロしたヘヴィネスがSUB POP時代と比べてパワーアップしている
特にBeyond the Wheelではクリス・コーネルの超ハイトーンヴォーカルと楽器隊のスローなグルーヴが恐ろしいほどのヘヴィネスを生み出している。

アップテンポなHead Injuryすら断末魔の叫びのような印象を受ける。

傑作だが全体的に取っ付き難く初心者には不向きなので、メジャー時代のアルバムが気に入ったなら聞いてみると良いだろう。

Ultramega OKのフォーマット一覧

Louder Than Love

89年のメジャーデビュー作。

メジャーとは言うものの、サウンドはインディのように素朴で薄っぺらい。
それにキャッチーで取っつきやすいとは言えない。
こういうサウンドが好きになれるかは人それぞれなので、Ultramega OKやScreaming Lifeが気に入ったなら聞いてみるといいだろう。
入門用としてはオススメしない。

クリス・コーネルのハイトーンヴォーカルが前面に押し出されるようになって存在感が増し、それに地を這うようなヘヴィな演奏が絡んでくるという、Soundgardenのベースが完全に確立されたような印象を受ける。

スローテンポからアップテンポになっていく超ヘヴィなGun、うねりと高音ヴォーカルが見事にマッチしたLoud Love、その他にもHands All OverやGet On Snake、I Awake、Big Dumb SexなどがSoundgardenの代表曲のひとつといえるだろう。

このアルバムを最後に日系人べーシストのヒロ・ヤマモトは脱退。
現在ではNirvanaのBleachのクレジットで有名なジェイソン・エヴァーマンがヘルプで加入し、その後ベン・シェパードが正式メンバーとなった。

Louder Than Love収録曲の試聴リンク
Louder Than Loveのフォーマット一覧

Badmotorfinger

91年の出世作でこれを最高傑作とする人も多いだろう。
Soundgardenのアルバムの中では最もヘヴィメタルという言葉を連想させるものとなった。

音質は格段に向上し、取っ付き易いメロディも多く、中にはSearching With My Good Eye Closedのように陰鬱というよりむしろ爽やかな印象を受ける曲すらある。

人によっては単なるメタルにしか聞こえないかもしれないが、80年代メタルには無かった低空飛行で重苦しいヘヴィネスは存在すると思う。
それゆえ、メタルとオルタナの架け橋と評価されたこともある。

アップテンポで疾走するRusty Cage、ミドルテンポで重苦しいOutshined、Soundgardenの曲の中でも最もヘヴィな曲の一つであるJesus Christ Poseがオススメ。

Badmotorfinger収録曲の試聴リンク
Badmotorfingerのフォーマット一覧

Superunknown

94年にリリースされた4thアルバム。
一般的にはこれが最高傑作だといわれている。

7曲目のBlack Hole Sunのビデオクリップがグラミー賞を受賞した。
CGを面白おかしく取り入れたこともありMTVで大量にオンエアされた。
UKのMTVでは、2002年の時点で歴代オンエア回数第3位だ。

Black Hole Sunばかりが注目されがちだが、他の曲も名曲揃い。

ディストーションを押さえたFell On Black Days、超重量級のMailman、民族的なフレーズが印象的なHead Down、Soundgarden流の単純パンクという感じのKickstand、「まるで自殺者のようだ」という歌詞が強烈なLike Suicideなど、バラエティ豊かで様々な曲が収録されている。

これを聞いてもSoundgardenが80年代のメタルと同系列だと考える人はいないだろう。

90年代ヘヴィネスを代表する1枚で初心者にもオススメだ。

Superunknown収録曲の試聴リンク
Superunknownのフォーマット一覧

Down on the Upside

96年にリリースされた5thアルバム。

過去のようなヘヴィネスからは撤退し、新しいサウンドに挑戦している。

従来の作品ほどヘヴィではなく、Soundgardenらしい横ノリを王道アメリカンロックのように鳴らすといったところだろうか。
また歌を重視している印象を受ける。

Pretty Noose、Burden In My Headはヒット曲であり名曲。

大ヒットした前作を世襲せず、新しいアプローチにチャレンジするというオルタナティヴ精神を感じられる傑作だが、結果的にこのアルバムをリリースした後に解散してしまった。

Down on the Upside収録曲の試聴リンク
Down on the Upsideのフォーマット一覧

King Animal

再結成から2年後の2012年にリリースされた6thアルバム。
オリジナルアルバムとしては16年ぶりとなった。

90年代には同じような音楽性のアルバムを制作せず、作品を重ねるごとに変化していったが、今作でもその姿勢は健在。

基本路線はハードロックだがSoundgardenらしさを感じさせつつも、16年前にはなかった新たな面も感じさせてくれる。

比較的陽性なハードロックな曲が続いたと思ったら、歌詞もサウンドも陰性なBones of Birdsが飛び出してきたり、吹奏楽器を取り入れたBlack Saturday、ソロ活動で歌を追求したからこそ生まれたHalfway There、歌詞も展開もクライマックスに相応しいRowingなど、聞きどころはたくさんある。

90年代のアルバムを知る身としては最高傑作とは言えないまでもなかなかの良作だと断言できるが、最初に聞くならやはり90年代の傑作を聞いてほしいとは思う。

King Animal収録曲の試聴リンク
King Animalのフォーマット一覧

2.コンピレーション、ベストアルバム

Screaming Life / Fopp

SUB POP時代にリリースした2枚のEPを1枚にまとめたもの。

Soundgardenの開始期ということで、独特のドロドロ感やうねりは完成しておらず、最も初期衝動的。
クリス・コーネルのヴォーカルも良い意味で洗練されておらず荒削りだ。

Black SabbathとStoogesが融合したようなHunted Down、アップテンポで突っ走るTears To Forget、高音で歌い上げるNothing To Say、Green RiverのカバーのSwallow My Prideなど聞きどころは満載。

Soundgardenに興味を持ったならば絶対に聞くべき作品だ。

Screaming Life / Fopp収録曲の試聴リンク

SUB POPがSoundCloudで2013年リマスターの音源を公開しているので、下記のリンク先で全曲フル試聴できます。
Soundgarden ‘Screaming Life/Fopp’ 2013 Reissue by Sub Pop on SoundCloud

Screaming Life / Foppのフォーマット一覧

A-Sides(グレイテスト・ヒッツ)

解散後の97年にリリースされたベストアルバム。
タイトルどおり、インディ時代とメジャー時代ともにシングルのA面となった曲が収められている。
またオマケとしてBleed Togetherというレアな曲も収録されている。

シングルカットされた曲以外にもSoundgardenを代表する曲は多いと思うので、個人的にはこういうベストアルバムは好きじゃないが、入門としては最適だろう。

収録曲はA-SidesのWikipediaを見てほしい。

A-Sides(グレイテスト・ヒッツ)のフォーマット一覧

Telephantasm

2010年の再結成に合わせてリリースされたコンピレーションアルバム。
収録曲は各ヴァージョンによって異なるので、TelephantasmのWikipediaを参考にして欲しい。

レアな曲やレアなヴァージョンが収録されているが、10年以上も前からキム・セイルが構想していた純粋なレアトラック集というわけでもなければ、初心者用ベストアルバムというわけでもない。

代表曲が収録されているが、初心者用ベストアルバムというわけでもない。
選曲が中途半端な印象を受ける。

だが収録曲はリマスターされており、特にインディ時代の曲は音質がクリアになっているのでマニアは是非とも聞いてみるべきだろう。
もちろん音圧を上げ過ぎているリマスターに対する批判もあるが。

また今作の最大の目玉であるBadmotorfinger時代の未発表曲Black Rainは熱心なファンには見逃せない。

オススメはCD2枚とDVD1枚の計3枚組デラックスエディション。

Telephantasm収録曲の試聴リンク
Telephantasmのフォーマット一覧

Echo of Miles: Scattered Tracks Across the Path

2014年にリリースされたいわゆるB面集。

オムニバスに収録されていた曲やシングルのB-Sideに収録されていた曲、カバー曲など、スタジオアルバムに収録されなかったレアな曲を集めたもの。
Stormという曲のように未発表曲の中には新たに再レコーディングされた曲もある。

間違っても初心者が手を出してはいけない。
本当に熱心なファンにのみおススメだ。

収録曲はEcho of Miles: Scattered Tracks Across the PathのWikipediaで。

Echo of Miles収録曲の試聴リンク
Echo of Milesのフォーマット一覧

3.ライヴアルバム

Live on I-5

再結成後の2011年にリリースされたライヴアルバム。
96年の11月と12月のライヴ音源が収録されている。

クリスのヴォーカルは日によって不調好調の波が激しいという噂もあったが、このライヴ音源ではもちろん調子の悪さは感じない。

個人的にはHead Downのサイケ感とHelter SkelterからBoot Campの流れが見事だと思う。

Live on I-5のWikipediaを見て欲しい。

Live on I-5のフォーマット一覧

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