Rollins Band (ロリンズ・バンド) Henry Rollins (ヘンリー・ロリンズ)
Rollins Band (ロリンズ・バンド) Henry Rollins (ヘンリー・ロリンズ)のアルバム紹介
Rollins Band (ロリンズ・バンド) Henry Rollins (ヘンリー・ロリンズ)の概要
Black Flagが86年の7月に解散した後、Black Flagのヴォーカリストだったヘンリー・ロリンズは直ちにソロ活動を開始し、87年にRollins Bandを結成した。
音楽性はBlack Flag以上にハードロック・メタル色が強い。
単なるミドルテンポのメタルで終わらないのは、ハードコアを連想させるヘンリー・ロリンズの咆哮と、世間に上手く適合できないアウトサイダーの葛藤を描いたような歌詞によるところが大きい。
聞き易いメロディは少ないので、ロリンズの叫びからリアリティを感じられるかが鍵となる。
Rollins Band 9曲(You Tube)
またライヴパフォーマンスが凄まじかったようで、ロリンズのマッチョな肉体から放たれる本気度120%の咆哮にノックアウトされた人も多いらしい。
しかし後期になると、音楽性に工夫が見られる代わりに緊張感は後退し、単なるハードロック、ヘヴィメタルに成り下がってしまった感がある。
俺の中にあった、「俺はなんて哀れで可愛そうなんだ。」っていう感傷はどこかに捨ててしまったよ。
(2001年 ヘンリー・ロリンズ)
Black FlagやRollins Bandでの活動内容、贅肉を削ぎ落としたマッチョな肉体、禁欲的なライフスタイル、アンチ商業主義、時間を一切無駄にしない仕事依存症的な性格などから、一切の妥協を許さないハードコア精神を貫く、弱い心を持ちながらも鋼のような意志でそれを乗り越える頑固なパンクロッカーといったイメージがある。
しかし、「俺が会ったヘンリー・ロリンズは巷で言われているような人間じゃなかった。」と苦笑するミュージシャンもいれば、日本のインタヴューアに「何で俺のコーヒーが無いんだ!早く持って来い!いちいち言わせるんじゃねえ!」と吠えるロックスターな態度もエピソードとして残っている。
ロリンズ自身、彼の歌詞から読み取れる苦悩、苦闘といったイメージの多くはマスコミによって作られたと語っている。
(歌詞は)気分が良ければそれが反映されるだろう。
うわべだけの感情とか、ある種の(苦闘、苦悩)といったペルソナを映し出さねばならないとは思っていない。
(2001年 ヘンリー・ロリンズ)
Rollins Band活動当初はインディで活動していたが91年にメジャーレベルと契約、第一回ロラパルーザに出演したりと、徐々にメインストリームでも受け入れられていった。
バンドメンバーを総入れ替えしたこともあったが、2001年までにアルバムを7枚リリースしている。
その後は沈黙が続き、音楽活動はもうしないのではないかという噂もあった。
しかし2006年に再結成ツアーを行っている。
ロリンズはワーカホリック(仕事依存症)と思えるほど音楽以外の活動も多かった。
2.13.61という出版社を設立し、エッセイや詩集、写真集をリリースしている。
意外なことに俳優業にもチャレンジしており、JMという映画ではビートたけしと共演している。
Rollins Bandの活動と並行してスポークン・ワード(詩の朗読、ジョークから社会的でシリアスなネタなどを扱う喋り芸)のツアーも行ってきた。
ヘンリー・ロリンズ名義でスポークン・ワードのCDやビデオもリリースしている。
ただし、英語のできない日本人にとっては理解不可能なのが残念だ。
2008年現在でもスポークン・ワードのツアーを敢行しており、こちらの方に力を入れているようだ。
2006年に再結成ツアーを行ったものの、アルバムリリースの話は聞こえてこない。
Rollins Bandとしての活動予定は全く分からない。
関連リンク
Rollins Band (ロリンズ・バンド) Henry Rollins (ヘンリー・ロリンズ)のアルバム紹介
1.スタジオアルバム
Life Time
88年の1stアルバムで、プロデューサーはFugaziのイアン・マッケイ。
ロリンズのエネルギーが凄まじい初期のアルバムから聞いて欲しい。
サウンドもアレンジも素朴だが、ロリンズの咆哮が前面に出ていて素晴らしい。
Black Flag全盛期を彷彿させるほどのキレがある。
日本盤は無い
The End of Silence
メジャーデビューアルバムとなった92年の3rd。
プロデューサーはNirvanaのNevermindで有名なアンディ・ウォレスが担当している。
インディ時代と比べてサウンド、アレンジなどが作り込まれていて、それがロリンズの個性を押し潰しているとの批判もある。
確かにそういう部分もあるが、中盤から終盤にかけては迫力満点。
鉄の意志を感じさせる叫びが素晴らしい。
“Blues Jam”、”Just Like You”、国内盤ボーナストラックの”Lie Lie Lie”がオススメの曲。
中古でプレミアが付いているわけでもないので入手も容易、入門用にも適している。
ジャケットのイラストはロリンズの背中のタトゥーと同じもの。
The End of Silenceの2枚組の再発盤
The End of Silenceの日本盤
Weight
94年の4th。
ベースが黒人べーシストのメルヴィン・ギブスに交代している。
サウンドは前作よりヘヴィでぶ厚くなった。
ファンクっぽいリフも増え音楽的に進化したのは間違いないが、その分ハードコア的な要素が薄れた印象がある。
なので、このアルバムは後回しにした方が良いだろう。
パワーダウンしたとはいえ、ロリンズの雄叫びは健在。
ロリンズのラヴソングと言われた”Liar”は、ラヴソングだとは思えない迫力だ。
Come in and Burn
97年の5thtアルバム。
前作のWeightと比べると、楽しそうなファンク色が後退したため、ロリンズの雄叫びに説得力が戻った印象を受ける。
だがThe End Of Silenceの緊張感には劣ると言わざるを得ない。
本人達は音楽性に限界を感じていたようで、ロリンズはこのアルバムを最後にメンバー全員を入れ替えた。
Come in and Burnの2枚組の再発盤
Come in and Burnの日本盤
Get Some Go Again
2000年の6thアルバム。
開き直ったように大胆な変貌を遂げたことから大問題作だとされる。
メンバー全員を入れ替えてロリンズが目指したものは、クラシックなハードロック、ヘヴィメタルだった。
ロリンズが大好きな音楽を楽しく演奏しているという感じで、苦悩や怒りを表現しているとは思えず、歌詞の内容も以前と比べて落ち着いたとも言われる。
ハードロック、ヘヴィメタルが好きな人にはオススメするが、ハードコア的な要素を求める人は手を出さない方がよい。
Nice
2001年の7thアルバムで、2008年現在オリジナル・フル・アルバムとしては最新作だ。
前作Get Some Go Againよりも攻撃的なサウンドを聞くことができる。
しかしBlack Flagや初期のRollins Bandを体験した後では、物足りない感じは払拭できない。
上で書いたような、今の自分を曝け出すという姿勢は素晴らしいとは思うのだが・・・
衝撃的なジャケットは、「アメリカの成人男性が追い求めるNiceなものは美女とカネ。」といったロリンズらしい皮肉が込められたもの。
裏ジャケットには、それらを清掃しているロリンズが描写されている。
「俺にはカネもなければ女もいない。俺は単なる清掃人。」とのこと。