(インタヴューア):最近じゃあマッドハニーも含めノイジーなギター・バンドがたくさん出てきてますよね。
それと共にシアトル・シーンにもスポットが当たり、そこら辺りをまとめてグランジ・ロックなんて言葉が頻繁に使われているわけですが、しかし実際は「俺たちはグランジなんだ」って言うバンドは一つもないじゃないですか。
その中核とも言えるあなたからグランジ・ロックを定義してもらいたいんですけど(笑)。
(マーク)(笑)グランジィっていう言葉はダーティで醜い音っていう意味でね、
もともとは50年代のロカビリー・バンドのことを総称して言ってたんだ。
ジョニー・バーネット・トリオとかがグランジィだ、なんて言われてたのさ。
だから言葉自体は昔からあってノイジーでファズのきいたギター・サウンドのことをそう呼んでたんだ。
60年代のソニックスやザ・ウェイラーズとかね。
それで最近になって誰かが今のバンドを指してこれはムーブメントだって言いだし始めたわけ。
評論家連中がそういうレッテルを貼るとやり易いだろ?
単なる便宜上の問題なんだよ。だからシアトル・シーンとも全然関係ないんだ。
俺はニルヴァーナもサウンドガーデンもパール・ジャムもアリス・イン・チェインズも全部違うバンドだと思ってるからね。
確かにどのバンドも好きだし今でも付き合いはあるけど、バンド自体はどれも全く違うものなのさ。
様々な雑誌やWEBに目を通してみても、結局のところグランジとは何かはっきり定義されていなかったり、各メディアやライターによって言っていることが違ったりする。
ジャンルを示す言葉なんてどれも定義などない曖昧なもので、グランジも例外ではない。
Mudhoneyのマーク・アームかSUB POP経営者のブルース・パヴィットのどちらかが、80年代初期にファンジンのなかでグランジという言葉を初めて発したという2つの説があるが、
マーク・アームのインタビューは上に載せたとおり。
当時とは完全に意味合いが変わってしまった。
なので、正しい定義などないのだから、グランジ・オルタナの歴史と、そのなかに存在していたバンドの音楽を聞いた上で、あなた自身がグランジの意味を決めるのが妥当である。
このページの下にグランジの解釈例を書いておくので参考にして欲しい。
ただし、グランジと呼ばれたバンドの多くは、自分をグランジだとは思っていなかったし、グランジ・ムーヴメントに嫌悪感を持っていたことは頭に入れて欲しい。
俺は決してグランジ・シーンの中に組み込まれることなんか望んだことはないし、そんなものと関わり合っていたら、ニュー・ウェーヴがそうだったみたいにムーヴメントと一緒に死滅させられるのがオチだ。 (Nirvana / カート・コバーン)
私的には、シアトル5大バンド(Nirvana、Pearl Jam、Soundgarden、Alice In Chains、Mudhoney)は陰鬱でノイジーなギターという共通点があったものの、マーク同様に音楽性は全くの別物だと感じたし、シアトルは陰鬱でノイジーなバンドだけではなかったので、グランジとは音楽ジャンルではなくムーヴメントや流行を意味する言葉だと思っている。
でも、グランジと聞くとシアトルを連想してしまうのも事実。
ただ、シアトルとはあまり関係のないSmashing PumpkinsやSonic Youth、Dinosaur Jrがグランジか否か考えるのは馬鹿らしい気がする。
そんなことを考えていたらキリがないし、グランジであろうとなかろうと、好きなバンドは好きだし嫌いなバンドはクソだ。
個人的には、反主流的なオルタナティヴという言葉は好きでも、グランジという言葉は好きではない。
ジャンルというのは影響を受けたバンド、コピーしようとするバンドが登場した時に形成されるんだ。
例えばグランジのようにね。
Nirvana、Pearl Jam、Soundgarden、Mudhoney、Melvinsがグランジバンドだとは思わない。
これらは独立したバンドだ。
俺にとってグランジバンドとは、Stone Temple Pilots、Silverchair、Bush(3バンドともブーム便乗バンド、フォロワーと強く非難された)だ。
これらの全てのバンドは結合されていって、突然ジャンルが生まれるんだ。
シアトルバンドの要素をつまみ出して組み立てたような、ストーン・テンプル・パイロッツのようなサウンドが俺にとってはグランジなんだよ。
グランジだの、オルタナティヴだの、メタルだの、様々なレッテルを貼られてきたけど、俺たちには関係ないな。
大体、グランジという言葉は、マッドハニーのマーク・アームが発したジョークからきてるんだぜ!
ジョークで言われたことが定着しちまって、いい迷惑だよ。
俺からしてみりゃ、「grungy」という言葉は「水まわりの嫌なぬめり、grungyな汚れを退治しましょう」なんていう、クレンザーのCMで使うような言葉だ。
汚い、気持ち悪い、カビだらけの・・・そういうイメージだ。
まったく、マーク・アームのやつめ(笑)。
グランジ現象について一言でいうと?
マット:笑える。
ダン:君達が見て笑うのと同じくらいにね。でもど真ん中にいる俺達には余計おかしいよ。
スティーヴ:間違っているのが分かるからね。
ダン:こないだMTVで『グランジ・トップ20』とかっていう番組をやってたんだ。
ところが取り上げられてるのがレッド・ホット・チリ・ペッパーズとか、そういう連中ばかりなんだよ。
あいつらがグランジだとは知らなかったよ。
マーク:別に俺はグランジと呼んで下さいなんて頼んだ覚えはない。勝手に呼ばれてるだけだ。
スティーヴ:でも数年前にようやく認めたんだ。そう呼ばれることを。“Damn!俺達はなんてグランジィなんだ!”ってね。
マーク:マッドハニーと同じボートに乗ってる奴らはみんなグランジだよってね。
スティーヴ:それに説明しやすい。『どんな音楽をやってるんですか?』『グランジです』。
マーク:何だい、それって聞かれたら?
ダン:チリ・ペッパーズと同じです(爆笑)。
シーンの中心にいても、どこか客観的に見ているという感じですね。
ダン:グランジ・バンドというのは、どれ一つとして同じサウンドをしてないと思う。
スティーヴ:距離感は保ててるつもりだ。自己陶酔はしてないよ。
でももしみんなが望むんだったら、グランジのど真ん中にどっぷり漬かってもいいけどね。
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